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7/10(セブンテンス)[詳細]




この素晴らしい海底の世界に匹敵するのは、
なにもない宇宙空間にちがいない。
太陽光が地球を取り巻く空気の塵芥にとらわれず、
透明な世界をつくる。
宇宙探査と海底探査には、たしかに共通点がある。
どちらの場合も複雑な生命維持装置の助けを借りて、
正か負かの違いはあるにせよ、周囲の極度の圧力に対抗しながらの冒険が必要だ。

(本書第5章「深淵と闇」より)



■目次より

エピソード[1]
第1章 海図と命名 
Ⅰ 深海の地殻を測る
  海を記憶する/調査船ファネーラ号が逝く/海洋学者たちとの旅/
  地質学の過去/クリスマスの帰宅まで


Ⅱ 名前がなければ景色は退屈
  地を言葉の支配下に

Ⅲ 余録:ゼネティクス
  遊び心に富む絶対懐疑主義

エピソード[2]
第2章 島々と境界 
Ⅰ ティワリク島の喪失
  「開発」という名のもとに/ 海:流動的な空虚/島は最後の陸地か

Ⅱ 羨望の的
  小さい島についての四か条

Ⅲ 余録:島国イギリス
  白い絶壁が崩壊して

エピソード[3]
第3章 サンゴ礁、その姿
Ⅰ こんなにも生きている
  動物か、植物か/ダークマターに呼応する/何かが間違っている

Ⅱ 見えないものを感じて
  海とのコミュニケーション

Ⅲ 余録:みやげもの
  旅の象徴はどこへ行く

エピソード[4]
第4章 難破船と死
Ⅰ 海難事故その後
  墓、タイムカプセル、宝の山、それとも/潜水艦の行方/
  沈んだ船をめぐって/海が永遠に証拠を消す


Ⅱ 鼻孔への最後の一針
  タイタニック号発見/引きずり込まれるように/漂着物が語る

Ⅲ 余録:船酔い 
  手当は可能か

エピソード[5]
第5章 深淵と闇
Ⅰ 深海に挑む
  荘重、陰鬱、神秘的/「アゾイック」説の終焉/
  チャレンジャー号の業績/マリアナ海溝の底に達する


Ⅱ 怪物の気配
  宇宙と深海の間で

Ⅲ 余録:地球の起源をさぐる
  そして地球の死はいつ?

エピソード[6]
第6章 漁と失われゆくもの
Ⅰ 漁業の行方
  スコットランドの漁師たち/資源枯渇の陰謀/日本漁船団の無謀/
  乱獲と環境汚染/ほとんど無駄のない漁


Ⅱ かつて美しきものありき
  わずかな「生」から始まった/悲しむべき遺体もない

Ⅲ 余録:ブダイ
  サンゴ礁を傷つける

エピソード[7]
第7章 海賊と流浪の民
Ⅰ 多島海に暮らす
  バジャウ族の死と儀式/陸を離れて水上の生活へ/
  自然にゆだねて暮らす/生まれながらの知がある


Ⅱ テクラにあてた詩
  極限愛好派/海という無限の深み/風景が彼に近づく時

Ⅲ 余録:別れのテープ
  旅は死に似ている





■著者紹介:ジェームズ・ハミルトン = パターソン
■著者紹介:James Hamilton-Paterson

1941年、イギリスに生まれる。オックスフォード大学に在学中、優れた詩に与えられるニューディキッド賞を受賞。卒業後ジャーナリストとして、南米や東南アジア各地を旅した。作家となって詩や小説を発表。いま、イギリスでもっとも優れたネーチャーライターと評される。王立地理学会特別会員。現在、フィリピンの田舎町か、イタリアのアペニン山脈奥地かのいずれかで暮らす。




■関連図書

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■書評

山室恭子氏(『毎日新聞』1995年7月11日)
「セブンテンス。地球の7/10は海。  詩人は耳を澄ます。調査船の一室、静かに吐き出されるプリントアウトに。最新鋭の電子の触手が心細げにさぐる海底の震動の周波数に。そこから「この惑星のもつ生来の音色」を、「わが偏球の奏でる音楽」を聴きとろうとして。
詩人は耳を澄ます。闇夜の珊瑚礁の深み、ピチッと跳ねるテッポウエビに。あらゆる海の生物が集い、明滅し続ける不夜城の窓に。そこから「海という複合体の核心」を、「喧噪と彩りと想像もつかない臭いに溢れた賑やかな中庭」を感じ取ろうとして。
「かつては人も海の生き物だったのに、失われた国はあまり暗い」。憧憬にもがきながら、北海でトロール網を曳き、フィリピン沖でウミアメンボに見惚れ、ひるがえって「生物や潮流が作り出す夜光虫の光の渦の中を、凍える火花にふちどられて漂うわが身」を思う。

『科学朝日』(1995年9月)
「深海で生を営むウミユリや大イカがある一方で、海面に張りついて生きているアメンボがいる。なんでまたこんな極限状態に、とも思うが、海は未知のことがあまりに多い世界なのである。一様に静的な空間ではないのだ。そして、この未知の世界に対して、科学技術の進歩により、人間が、一定の認識を得つつあることもわかる。しかしまた、海を中心とする生態系を急激な勢いで破壊しつくしていることも見逃さない。 著者は世捨て人さながらの日々を送る作家。ジャーナリストによるルポルタージュでもなければ、研究者による報告でもないが、海と人間について誠実に思いをめぐらせている」




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