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北極の神秘主義[詳細]
Arktos

目次著者紹介関連図書書評


人類の記憶に刻まれた「極の元型」の封印を解く!

太古、満天の星空が遙か北の一転を中心に回転していることに
人類が気づいて以来、われわれの心の奥深くに住み着き、
精神史の中に隠れた流れを形成してきた「極の元型」の記憶。
それは天の、地球の両極にまつわる観念を集積し、
古今の宗教やオカルト哲学に神々しいヴィジョンを提供する一方、
異端科学のさまざまな思想を編み上げてきた。
そしてナチスを優越人種の幻想に駆り立てたのも、
この「極の元型」がもつ強大なエネルギーだった!




■目次より

巻頭カラー:北極の神秘主義たちの肖像

第1部 ヒュペルボレアにて

第1章 黄金時代
地球の失われた時代/時代の周期
第2章 不滅の聖地
ブラバツキーの七つの大陸/ゲノンのヒュペルボレア論/ジャン・フォールの秘教年代学

第2部 北極光

第3章 北極の原郷
バイイの北方文化説/ウォレンの極の楽園説/ティラタの北極原郷
第4章 アーリア人の神話
アーリア人の優越性/アーリア主義と神智学/アーリア人のさまざまな原郷
第5章 トゥーレ協会
トゥーレの復活/ロシアのスワスティカ/ナチズムのオカルト的源流/監視者(ヴェイユール)たち/20世紀の神話/ユリウス・エヴォラ
第6章 黒騎士団
人ランディヒのトゥーレ主義小説/黒騎士団を追って/セラノは総統を賛美する/死者との進軍:ジャン・パルヴレスコの場合

第3部 隠された地

第7章 アガルタと〈北極星〉
アガルタ神話の起源/サン = ティーヴ・ダルヴェドール/極の同胞団/シャラトンのブラフマトマ
第8章 シャンバラ
チベットのシャンバラ観/ゴビのシャンバラ/リョーリョフ一家/シェイヴァー・ミステリー
第9章 極点の穴
地球空洞論小史/サイコメトリストと予言者たち/現代の地球空洞論者たち
第10章 南極大陸
南極の神話/ポオ、ヴェルヌ、ラヴクラフト/北と南の極性
第8章 シャンバラ
チベットのシャンバラ観/ゴビのシャンバラ/リョーリョフ一家/シェイヴァー・ミステリー

第4部 復活のアルカディア

第11章 象徴の極
ジョン・オニールの極の神話解読/スワスティカ/カドゥケウス/天の意志
第12章 太陽の伝説と極の伝統
ゲノンの黄道12宮仮説/黄道12宮の始まり/ミトラス教/諸天球の上昇
第13章 霊極
アンリ・コルバンによる神智学解釈/ダンテと〈極の伝統〉/二つの伝統とその危険性/地下の流れ

第5部 傾斜

第14章 激変論者たち
ギリシア哲学者たちの地軸傾斜観念/地球の神聖理論/初期の科学理論/彗星による洪水/月の接近
第15章 斉一論者たち
黄道傾斜角測定の変遷/モンマルトルの予言者/ノリッジの靴屋/現代の地質学理論
第16章 複合理論
ランドルフとドレイソンの破局理論/ブラヴァツキーの破局史/バビュスとサン = ティーヴ・ダルヴェドール
第17章 さまよえる極理論
大陸移動説小史/現代の地質学理論
第18章 復興/救済
極移動に関する科学の公式見解/極移動の予言




■著者紹介:ジョスリン・ゴドウィン Joscelyn Godwin

1945年生まれ。イギリス出身の音楽史家。1966年にアメリカに移り、コーネル大学でPh. D. を取得。現在はコルゲート大学の音楽教授をつとめる。ピュタゴラス以来の音階的宇宙論への関心から、比較宗教学の領野も縦横に渉猟する。
邦訳書は『キルヒャーの世界図鑑』『星界の音楽』『音楽のエゾテリスム』(以上工作舎)、『交響するイコン』『図説 古代密儀宗教』(以上平凡社)がある。




■関連図書(表示価格は税別)

  • キルヒャーの世界図鑑  よみがえる普遍の夢 J・ゴドウィン 2900円
  • 星界の音楽  音楽の霊的次元 J・ゴドウィン 3200円
  • 音楽のエゾテリスム  秘教的音楽の系譜 J・ゴドウィン 3800円
  • ジュール・ヴェルヌの暗号  レンヌ=ル=シャトーの謎と秘密結社  ミシェル・ラミ 3600円
  • 奇天烈紳士録  あっぱれな人生と奇妙な信念 ジョン・ミッチェル 2500円
  • 超人の午餐  危険で痛快な大暴言小説 ルイ・ポーウェル 1600円
  • 迷宮  都市・巡礼・祝祭…迷宮的なるものの解読 ヤン・ピーパー 4200円
  • 英国心霊主義の抬頭  19世紀末の社会精神史  ジャネット・オッペンハイム 6500円
  • バロックの神秘  タイナッハの教示画の世界像  エルンスト・ハルニッシュフェガー 8000円
  • ルネサンスのエロスと魔術   想像界の光芒  ヨアン・P・クリアーノ 4800円
  • 狼憑きと魔女  17世紀フランスの悪魔学論争 ジャン・ド・ニノー 3200円



  • ■書評

    谷川渥氏(『読売新聞』1995年10月29日)
    両極あるいは一方の極に穴があいているという突飛な説はとりわけ19世紀に大はやりし、数々の小説に題材を提供したが、著者はこれを「極の元型」の観点から仔細に検討し直している。北極にまつわるさまざまな神話と異端科学を編み上げた博物誌。たわいないといってしまえばそれまでだが、人種の精神史の暗部を教えてくれる本だ。それにしても北極はイメージの宝庫ともいうべき豊かな場所にほかならなかったわけである。




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