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ビュフォンの博物誌[詳細]


ビュフォン伯爵は1707年に生まれた。
この卓越した人物は、捉われずに自由に物を見る眼と、人生に対する愛情をもっていたし、
ありとあらゆるものに対して溌剌とした関心を示すことができた。
彼は世俗にたけた、なかなか粋な通人であったから、自分の学説が人の気に入り、
自分の授業が聴衆に受けることを望んでやまなかった。
彼の表現の仕方は、無味乾燥な叙述というより、生き生きとした描写である

ヨ-ハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ





■目次より

解説篇 ビュフォンの生涯と博物学をめぐって 荒俣宏
    個別から一般への飛躍
    大博物学者の誕生
    文学としての〈博物誌〉と理想郷としての〈製鉄所〉
『一般と個別の博物誌』より
図像篇 A 地球の理論
    B 自然の諸時期
    C 鉱物の博物誌
    D 動物の博物誌
    E 人間の博物誌
    F 四足獣類の博物誌
    G 猿類の博物誌
    H 鯨類の博物誌
    I 鳥類の博物誌
    J 両生・爬虫類の博物誌
    K 魚類の博物誌
    L 軟体動物の博物誌
    M 節足動物の博物誌
    N 植物の博物誌
    O 一覧表・付図
          図像篇・生物名補足
テキスト篇 
第一説 博物学の研究方法および取り扱い方法について
    博物学徒の心得/唯一の方法と屈辱的な真理/植物学の失敗/
    研究の二つの障害/博物学の目的と文体/「自然」な分類法/
    リンネ式動物区分法の批判/古代の博物学者たち:アリストテレスとプリニウス/
    新たな博物学の真の目的/真理の諸相/自然学における数学と観察および実験の役割
「動物の博物誌」より
第2章 生殖一般について
    部分と全体の相似/無限の前進と成長/解決可能な問題/
    「内的鋳型」とは何か/自然は体制の生成を目指す
第3章 栄養と成長について
    内的鋳型と有機部分と浸透力/機械論的原則
第6章 生殖についての実験
    有機部分と精液動物/顕微鏡観察上の注意/
    実験1/実験2/実験3/実験4/実験5/実験6/実験25/実験26
図像索引・参考文献
    和名索引/学名索引/参考文献




■著者紹介:ジョルジュ=ルイ・ルクレール・ビュフォン(伯爵)
■著者紹介:
Georges-Louis Leclerc (Comte de) Buffon 1707-1788

ブルゴーニュ地方の田園地帯の一角、モンバールに生まれる。ディジョンのイエズス会のゴンドラン学院でユークリッドやニュートンを学ぶ。アンジェ医学校に進学し、しだいに数学から博物学へと関心を移す。パリの王立植物園園長として50年間にわたって君臨し、同園を「全ヨーロッパをリードする科学の殿堂」へと発展させる。1749年より『一般と個別の博物誌』の刊行を開始(初版44巻)。その美しい図版と華麗な文体は一般市民を魅了した。1788年4月15日夜半、王立植物園内で永眠。




■関連WEB:

◎京都大学所蔵資料でみる博物学の時代
『一般と個別の自然誌』(1785-91刊・54巻)の図版が閲覧できます。
https://ddb.libnet.kulib.kyoto-u.ac.jp/exhibit/b01/




■関連図書

大博物学者ビュフォン 18世紀フランスの変貌する自然観と科学・文化誌 J・ロジェ 6500円
エラズマス・ダーウィン チャールズの祖父の破天荒な生涯 D・キング=ヘレ 6500円
女性を弄ぶ博物学  リンネはなぜ乳房にこだわったのか? L・シービンガー  3200円
ダーウィン 世界を変えたナチュラリストの決定版伝記 A・デズモンドほか 18000円
ダーウィンの花園 植物研究と自然淘汰説 M・アレン 4500円
ダーウィンと謎のX氏 第三の博物学者ブライスの消息 L・アイズリー 2816円
ダーウィンの衝撃  文学における進化論 G・ビア 4800円
ロシアの博物学者たち マルサスぬきの進化論の系譜 D・トーデス 3800円
英国心霊主義の抬頭 ヴィクトリア・エドワード朝時代の社会精神史 J・オッペンハイム 6500円

■書評

高橋義人氏(『マリ・クレール』1992年3月)
「……18世紀の人々はどんな驚きをもってこれらの図版を眺めていたのだろうか。今日とは比較にならないほど、その驚きは新鮮だったはずである。人々は図版を通して具体的に未知の動物(それも哺乳類、植物ばかりではなく、魚、貝、軟体動物、昆虫、そして精子も)に接することができたのだ。
 しかも図版の並べ方が面白い。ビュフォンは人間にとって有用なものこそ重要だという見地に立ち、ヨーロッパ人に身近なものから順番に並べている。哺乳類について見ると、最初にはヒトが、次いでウマ、ウシ、ヒツジ、イヌ、シカ、キツネ等が、それからしばらくするとクマ、ライオン、トラ、ヒョウ等が、そしてもっと後の方にはゾウ、サイ、ラクダ、カバ等が出てくる。つまりヨーロッパの読者は、まず自分たちの住み慣れた生活世界を確認することから始め、やがてその世界を同心円のように拡げていって、18世紀の著名な探検家のように見知らぬ生物と出会うのだ。おそらく胸をわくわくさせながら。
 これらの図を見ているとビュフォンが一大コレクターであったことがよく分る。まさしく本書は自然の一大コレクションなのである」



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