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二人のアインシュタイン[詳細]


驚異の1905年をリードした女性


ノーベル賞受賞理由となった光電効果の理論をはじめ、
ブラウン運動の理論、特殊相対性理論など、
アルベルト・アインシュタイン
20世紀最大の科学者として決定づけた研究成果が公にされた1905年。

このめざましい実りは、アルベルトの妻であり、
共同研究者でもあったミレヴァの協力があって、初めてもたらされたものだった。

早すぎたセルビア人女性科学者、
ミレヴァ・アインシュタイン=マリッチ(1875-1948)の壮絶な魂の浄化の物語



■目次より

まえがき アルベルト・アインシュタインの陰で

1 兵士と入植者

2 少女の世界から学校へ

3 新たな決意・チューリヒへ

4 工科大学:学生生活 アインシュタインとの出会い
  編者の付記 往復書簡の公開

5 南スラブの女友だちとの交遊
  編者の付記 ミレヴァとアルベルト

6 結婚・ベルリンでの生活

7 偉大な年「1905年」

8 チューリヒからプラハへ・ミレヴァの孤立と憂うつ

9 三度目のチューリヒ・深まる亀裂と苦悩

10 ベルリン・戦争・別離

11 離婚・ミレヴァの病気

12 父親の死・弟との断絶
  編者の付記 ミロシュ・マリッチその後

13 息子の病気

14 ノーベル賞

15 母親と妹の死

16 孤独な死

編者あとがき ウェルナー・G・ツィムマーマン




■著者紹介:デザンカ・トルブホヴィッチ = ギュリッチ
        Desanka Trbuhovic-Gjuric 1897-1983

1897年クロアチアのクラビナに生まれる。ザグレブプラハの大学で数学と物理学を専攻。ギムナジウム教師となり、その後大学教授となる。1969年に、ミレヴァ・マリッチ = アインシュタインの初めての包括的な伝記として本書を出版し、アインシュタインの栄光の陰に葬り去られようとしていたミレヴァの復活をはかる。アルベルトとは対照的な資質の持ち主だったミレヴァの人間として、研究者としての魅力を、激動のヨーロッパ事情とともに描きだす。クロアチア語で書かれた本書が1982年に私家版ながらドイツ語で出版され、ようやく国際的な流通の可能性が見えはじめた翌1983年、ベオグラードで逝去。

デサンカもまた早すぎた女性科学者・ライターだった。




■関連図書

お母さん、ノーベル賞をもらう  14人の女性科学者の素敵な生き方 シャロン・バーチュ・マグレイン 2800円
ジェンダーは科学を変える!?  医学・霊長類学から物理学・数学まで ロンダ・シービンガー 2600円
女性を弄ぶ博物学  リンネはなぜ乳房にこだわったのか? ロンダ・シービンガー 3200円
科学史から消された女性たち  アカデミー下の知と創造性 ロンダ・シービンガー 4800円
女性を捏造した男たち  ヴィクトリア時代の性差の科学 シンシア・E・ラセット 3200円
ジェンダーの神話  [性差の科学]の偏見とレトリック アン・ファウスト-スターリング 2816円
セックス&ブレイン  [女と男]の科学最前線 ジョー・ダーデン=スミス他1900円
リプロダクティブ・ヘルスと環境  共に生きる世界へ 上野千鶴子+綿貫礼子=編 2400円
セックスの発明  性差の観念史と解剖学のアポリア トマス・ラカー 4800円
アインシュタインの部屋 上・下   プリンストン高等研究所に集う天才たち エド・レジス 各1800円
アインシュタイン、神を語る  宇宙・科学・宗教・平和 ウィリアム・ヘルマンス 2200円
量子の公案   現代物理学のリーダーたちの神秘観 ケン・ウィルバー編著 2400円


■書評

深田睦美氏(『女のしんぶん』2003年5月25日)
「アインシュタインの最初の妻、ミレヴァの再評価がすすめられている。最近の書店の店頭には『アインシュタインの恋』という小説化された本が並んでいるけれども、私はやっぱり、女性の書き手によるこちらの本を読みたいと思った。……  この本の著者はミレヴァより22年遅れてクロアチアに生まれている。後からきた女性が、ミレヴァの功績に光を当てようと発掘調査を行った執念に感動する。原語の初版は1969年、著者が70歳をこえての出版であった」

中村桂子氏(『毎日新聞』1996年1月8日)
「人気者アインシュタインの重要な仕事はすべて1905年に行われています。しかもその時彼は特許局職員でした。その謎を解く鍵が、妻ミレヴァだというのがこの本の主題です。当時女性の入学を許可していた唯一の大学、チューリヒ大学で学んだミレヴァ。アインシュタインは、自分の解けない演習問題をスラスラ解くこの年上の女性に惹かれます。そして結婚。ミレヴァは、アインシュタインがよい仕事ができるように献身する控えめな女性でした。しかし、強烈な自己抑制が一つの原因でしょうか。少しずつ暗くなる妻が夫には疎ましくなり、離婚そして再婚します。ちょっと早く生まれすぎたのか、西欧文化のせいか、夫のためか……わからないけれど少し気が重くなりました」



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