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……ある女子学生から、私は牛乳瓶に満たした彼女の尿を買った。 彼女は瓶を手渡すとき、瓶の生温かさに気づき、温かいことに羞恥し、 瓶を水で冷やし、冷たくしてから手渡してくれた。 私が瓶に口づけし、一息に飲むところをじっとみていた。 つまり、彼女と私とには関係が生じた。 この関係のありようの微妙な一線を画す秘密こそフェチの秘密でもある。 それは、下着マニアの、下着をとおして語られる向こう側との関係を示唆する秘密でもある。 関係の秘密を解き明かすには、マゾヒズムについて語らねばならぬことになってくる。 本書所収「フェティシズムの形而上・下学 」より |
■目次より |
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プロローグ 女創世記─男は没落し、豊饒な女の世紀がはじまる 第1章 妖女論 女神の小水を飲んだ神話的宇宙観 女怪の魔、闇の迷宮 玄獣、幻獣─美女と野獣のテーマ 第2章 SF論─夢想と科学のアンドロギュノスとしてのSFの原点 SFにおけるセックスの位置 SFロマンチシズムの由縁 第3章 畸形論・やくざ論─奇形をもてあそんできた人類史の奇形性を暴く 淫なる奇形史 背中で耐えるものと性解放スノビズム 第4章 倒錯論─聖なる倒錯体験から生まれるエロスの本質論 MとHのシャボン玉 コプロラグニー浄福 フェティシズムの形而上・下学 あるマゾヒストの個人的事情 K女史の肖像 |
■著者紹介:天野哲夫 (あまの・てつお) |
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1926年、福岡に生まれる。戦後、東京で雑誌編集をつとめるかたわら、『えろちか』などに異色エッセイを執筆、注目を浴びる。奔放な想像力にあふれた倒錯小説『家畜人ヤプー』の幻の著者の「代理人」として、作家・沼正三をセルフプロデュースし、一大センセーションをよぶ。 天野哲夫として、卓抜な論理で沼正三の幻想世界を深化させつつ日常の裂け目に位置づける作業をつづける。著書に『異嗜食的作家論』、『禁じられた女性崇拝』、『人切り彦斎』、『女帝ジャックリーンの降臨』などがある。 |
■関連図書 |
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・愛しのペット 獣姦の博物誌 M・デッケルス 3200円 |
■書評 |
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◎石井氏(『FOOL'S MATE』1992年9月) 「『家畜人ヤプー』をご存じですか。昭和40年代、エロ・グロ・ナンセンスの芳香漂う時代に近未来のサド/マゾ社会を先鋭的に描き切った問題作です。当初は謎の作者=沼正三をめぐって三島由紀夫説なども流れましたし、あの石ノ森章太郎が劇画化もしました。その「ヤプー」も昨年、『SMスナイパー』誌上で連載された完結篇が35年ぶりに発表され、天野哲夫氏も“沼正三の代理人”という仮面?を駆使しつつ多方面にてご活躍中であります。とにかく古今東西の“倒錯”に深い造詣のある氏ながら、各誌紙にて発表してきた論文やエッセイをまとめたこの本には、妖女論・SF論から畸形論・やくざ論、そしてフェティシズム、マゾヒズムのオハコを捉えた倒錯論まで、流行のソフトSMやヘンタイの浅薄をせせら笑うエロスの影と本質を照射しております」 |
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