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無限の天才 The Man Who Knew Infinity[詳細]

目次ラマヌジャンとハーディ著者紹介関連図書書評



「神についての思索を表現しない方程式は、僕にとって無価値だ」 シュリーニヴァーサ・ラマヌジャン

──推薦の言葉──

暑い南インドの港町、第一次大戦下のケンブリッジ、
そして天才の頭の中に存在した解析的数論の世界、
この三つの世界の組み合わせというだけでも、十分に刺激的だろう。
……ナマジリの女神に導かれて奇妙な公式を吐き出した
神秘的な天才ラマヌジャンは、 この20世紀という天才の出にくい時代ゆえに、
とても魅力的に感じられるのだ。
そしてそれを支えたハーディの姿がまた好ましい。
……インドとイギリス、それはもはや過ぎ去った図式かもしれないが、
それゆえにかえって、一種の文学的構図として、想像力をかりたてるのだ。
ハーディの仲間だったフォースターとは別の、もう一つの「インドへの道」。

森 毅(数学者)




■目次

プロローグ

第1章 冷厳なる寺院にて

  1 ダクシン・ガンゲ:南のガンジス
  2 サーランガーパニ・サンニージ横町 
  3 バラモンとしての幼年時代
  4 評定の彼方
  5 ナマッカルの女神

第2章 歓喜に満ちて

  1 カーの書
  2 南インドのケンブリッジ
  3 出奔
  4 再挑戦
  5 ノート
  6 神についての思索
  7 もう、たくさんだよ!

第3章 庇護者を求めて

  1 ジャーナキ
  2 売り込み
  3 マドラスでの“レジャー”
  4 ヤコプ・ベルヌーイとベルヌーイ数
  5 港湾信託局
  6 英国統治
  7 手紙

第4章 ハーディ

  1 永遠の若者
  2 蹄鉄横町
  3 フリントと石の壁
  4 トリニティのフェロー
  5 “魔法の空気”
  6 ハーディ学派

第5章 「自己紹介をさせて下さい…」

  1 インドからの手紙
  2 「あなたのなかに友をみました」
  3  「ラマヌジャンはポーランド語がわかるのか?」
  4 ナマッカルの夢
  5 桟橋にて

第6章 ラマヌジャンの春

  1 インドを出る
  2 共同研究
  3 ルヴェンの炎上
  4 ゼータ関数のゼロ点
  5 ラマヌジャン、学士になる

第7章 イギリスの冷気

  1 ハイテーブル
  2 イギリスのインド人
  3 “絶妙な共同研究”
  4 墓穴を深める
  5 “我らが大型汽船”
  6 デンマーク現象
  7 故郷の諍い
  8 ネルソンの記念碑
  9 ラマヌジャンの神と数学
  10 x=1における特異点
  11 記憶からすっかり消えて

第8章 「やや変調をきたして」

  1 「全世界が甦ったかのようだ」
  2 コーヴェリへの帰還
  3 「最後の事件」
  4 インドの息子
  5 ラマヌジャン、復活す
  6 高性能の溶鉱炉?
  7 スヴァヤブー(自ら生まれしもの)

エピローグ



■ラマヌジャンとハーディ

シュリーニヴァーサ・ラマヌジャン Srinivasa Ramanujan

本書の主人公。1887年に生まれ、32歳で夭逝したインドの天才数学者。独学で高等数学を修め、新しい公式を次々と発見する。当時36歳の大数学者G・H・ハーディによってその才能を認められ、イギリスにわたって共同研究を始める。自由な思索の日々と、そこから生まれた輝かしき数学的成果の数々。しかし、ようやく長年の夢をかなえたラマヌジャンの前にたちはだかったのは、第一次大戦の戦禍と、不治の病の兆候だった…

G・H・ハーディ G.H.Hardy

本書のもうひとりの主人公。1877年に生まれ、少年時代から数学的才能を発揮する。イギリス数学界の最高学府であるケンブリッジのトリニティ・カレッジに入学し、23歳でトライパス(数学優等試験)を第一位で通過。以来、数学者としての輝かしき活動が始まる。数論の分野で数多くの論文を発表し、33歳で王立教会フェローとなる。異国の見知らぬ事務員ラマヌジャンから最初の手紙を受け取ったのは、彼が文字通り゛数学界の最高峰″に登りつめたそのときだった…




■著者紹介:ロバート・カニーゲル Robert Kanigel

1946年生まれ。サイエンス・ライターとして『ニューヨーク・タイムズ・マガジン』をはじめとするメディアに寄稿。1989年、科学上の著作に贈られるグラディ・スタック賞受賞。1999年より7年間、マサチューセッツ工科大学教授として、サイエンス・ライティングプログラムの大学院コースをたちあげ、自ら指導にあたる。現在、ボルチモア在住。
1991年に出版した本書を契機にラマヌジャンの天才ぶりがひろく再認識されるようになり、本書を原作とした映画もイギリスで製作され、2016年春より欧米で絶賛公開。同年秋、日本でも『奇蹟がくれた数式』として公開される。
著作はほかに『High Season: How One French Riviera Town Has Seduced Travelers for Two Thousand Years 』(Viking 2002)、 『The One Best Way: Frederick Winslow Taylor and the Enigma of Efficiency 』(Viking, 1997)、『Apprentice to Genius: The Making of a Scientific Dynasty 』(Macmillan, 1986)などがある。




■関連図書

【ラマヌジャン】
  • ラマヌジャン その生涯と業績に想起された主題による十二の講義  G.H. ハーディ 丸善出版 2016年9月刊行
  • ある数学者の生涯と弁明  G.H. ハーディ+C.P.スノー 丸善出版 1994年刊行
  • ラマヌジャン書簡集  バーント+ランキン 丸善出版 2001年刊行
  • ラマヌジャン《ゼータ関数論文集》  黒川信重+小山信也 日本評論社 2016年2月刊行
  • ラマヌジャンζの衝撃  黒川信重 現代数学社 2015年刊行
  • 数式に憑かれたインドの数学者 上・下  D.レヴィット 日経BP社 2009年刊行
  • 心は孤独な数学者  藤原正彦  新潮文庫 2000年刊行
  • 天才の栄光と挫折 数学者列伝  藤原正彦 文春文庫 2008年刊行
  • 数学の魔術師たち  木村俊一  角川ソフィア文庫(平凡社『数術師伝説』解題)2015年刊行
  • 異説 数学者列伝  森 毅 ちくま学芸文庫 2001年刊行

    【工作舎の数学本】
  • 思考の道具箱 ルディ・ラッカー
  • プラニバース A・K・デュードニー
  • ピュタゴラスの現代性  オスカー・ベッカー
  • ジオメトリック・アート カスパー・シュワーベ+石黒敦彦



  • ■書評

    2022.8.6 日本経済新聞「リーダーの本棚」大栗博司氏(東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構長)
    愛読書として、「インドの天才数学者ラマヌジャンの伝記。学生のときに彼の未発表の数式を知り、博士論文のアイデアにつながった」全文は日本経済新聞

    日本数学会「数学通信」2017年2月号 高瀬幸一氏書評
    …本書の興味深い所は、それが単なる Ramanujan の伝記にとどまらず、Hardy の評伝を含んでいて、当時の英国の数学研究の雰囲気や、それに対する Hardy の立場が描かれていていることである。Newton 以来の古式ゆかしき大学にあって、Hardy は一人の異端児あるいは反逆者だったのである。…[全文は「数学通信」へ]
    (高瀬幸一氏:宮城教育大/翻訳にハーディ著『ラマヌジャン その生涯と業績に想起された主題による十二の講義 』(丸善出版))

    日経ビジネス 2016.11.14号 松浦晋也氏書評
    現実世界と「数学」との接点

    有史以来最高最強とも評される天才中の天才数学者はどのような生涯を送ったのか。『無限の天才』は、その数学者シュリニヴァーサ・ラマヌジャン(1887〜1920年)の伝記だ。…最も偉大で、最も異端な数学者の悲劇的生涯は読み応え十分だ。…
    (松浦晋也氏:ノンフィクション作家/科学技術ジャーナリスト)

    2003.11.26 bk1 松浦晋也氏書評
    「……天才、男、友情、女、嫁姑、文明、戦争——これだけそろって面白くないはずがない。数学にのみならず、科学全般に興味を持つ人にとって、本書はどんな小説よりもすばらしいエンタテインメントとなるだろう。
     著者は本文中で、いくつかラマヌジャンの研究をわかりやすく紹介している。紹介される数式はどれも謎めいていて魅惑的で、しかも確かにただのでたらめではなく何か堅固な数学的実体の現れと感じられるものだ。彼のノートに残された数式は、今もなお未解明の謎を含んでおり研究が続いているという。
     おそらく真のエンタテインメントはそれらの数式の中にこそあるのだろう。天才ならざる我々は、本書でその片鱗に触れることしかできない。数学の才能を持ち合わせていないことが非常にくやしく思えるほど面白い一冊である。」

    1994.11.8 産経新聞 秋山 仁氏書評
    「……本書の魅力を絞り込むと次のようになる。
     一つは、ラマヌジャンの圧倒的な天才ぶりが難解な数式や理論抜きに存分に語られていること。“神についての思索を表現しない方程式は、僕にとって無価値だ”とラマヌジャン自身が語っているように、彼の発見した定理はどれも奥深く、神秘的に輝くものばかりだ。もう一つは、ハーディの科学者としての謙虚で真摯な姿勢、豊潤な感性が余すことなく綴られていることだ。彼らは名誉や金には目もくれず、無垢な心でひたすら真実を追い求め続けた。慣習の違いや人種差別、戦争などが二人の共同研究を何回も引き裂こうとするが、堅い絆で結ばれた友情が困難を乗り越えさせ、ついには数学史上不滅の金字塔を打ち立てさせた。まさにロマンである。門外漢でも思わず、二人が追い求めた“数学の美”とは何か、“神の思索を表す方程式”とは何かを知りたくなる、そんな一冊だ」

    『科学』1995年2月号 佐々木 力氏書評
    「数学にはどうも悲劇が似合うようだ。ガロワやアーベルしかり、そして本書の主人公ラマヌジャンもそうである。今日数学というと水も漏らさぬ論証を伴った厳密な学問として理解されている。しかしながら、そのような性格をもった数学が、数学のほんの一面にしかすぎないことを教えてくれるのがラマヌジャン流の数学なのであった。本書は、そういった数学を作ったインドの数学者ラマヌジャンのそう長くはない生涯と、彼をイギリスで“発見”し、二人三脚ですぐれた数学論文の生産に励んだゴットフリー・ハロルド・ハーディの生涯が織りなす知的交流に焦点を当てたすぐれた評伝である。これまで謎を多く含んだ伝説の形でしか知られていなかった歴史が、親しみやすいジャーナリスティックな筆致でみごとに活写されている。……」






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