生命のニューサイエンス[詳細]
A New Science of Life
天才シェルドレイクの世界をゆるがす仮説
「シェルドレイクの形態形成場の仮説が証明されれば、
ダーウィン、アインシュタインにならぶ大革命!」
アメリカPBSのテレビシリーズで、スティーヴン・ジェイ・グールドや
オリバー・サックスらとともに
六人の注目すべき科学者のひとりとしてインタビューされ、
話題を呼んだ震源の本。
生物学、進化論、動物行動学いずれのジャンルにおいても棚上げにされてきた
《形態》と《行動の進化》の問題。大胆な仮説を軸に、
この残された最大の謎にいどむ。
生命科学の新時代は、ここからはじまる。
第1章 生物学における未解決の問題
成功の背景/形態形成をめぐる問題/行動/進化/生命の起源/
物理学的説明の限界/心理学/超心理学/まとめ
第2章 形態形成をめぐる三つの理論
記述的な研究と実験的な研究/機械論/生気論/有機体論
第3章 形態がもたらすもの
形態の問題/形態とエネルギー/化学的構造の予測/形成的因果作用
第4章 形態形成場
形態形成の胚
/化学的形態形成
/「確率構造」としての形態形成場
生物の形態形成における確率的プロセス
/生物システムにおける形態形成の胚
第5章 過去の形態の影響
形態の不変性と反復
/時間を超えた因果的関連の一般的可能性
形態共鳴
/過去の影響
/形態共鳴作用が減少することの意味
経験的検証の可能性
第6章 形成的因果作用と形態形成
連続的形態形成
/形態形成場の極性
/形態形成場の大きさ
形態形成に伴う形態共鳴における特異性の増大
形態の維持と安定
/物理学的「二元性」について
/まとめ
第7章 形態の遺伝
遺伝学と遺伝
/形態形成の胚の変更
/形態形成経路の変更
/優性
家族内の類似性
/環境の影響と形態共鳴
/獲得形質の遺伝
第8章 生物学的形態の進化
ネオダーウィニズムの進化論
/突然変異
/クレオドの分岐
/クレオドの抑制
クレオドの反復
/他の種からの影響
/新しい形態の起源
第9章 運動と運動場
はじめに
/植物の運動
/アメーバ運動
/特殊化された構造の反復的形態形成
神経系
/形態形成場と運動場
/運動場と感覚
/調整と再生
第10章 本能と学習
過去の行動からの影響
/本能
/サイン刺激
/学習
/学習の生得的傾向
第11章 遺伝と行動の進化
行動の遺伝
/形態形成と行動——ある実験
/行動の進化
/人間の行動
第12章 四つの可能性
形成的因果作用の仮説
/修正唯物論
/意識的自己
/創造的宇宙
/超越的リアリティ
■著者紹介:ルパート・シェルドレイク Rupert Sheldrake |
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ケンブリッジ大学で自然科学を修めた後、ハーバード大学で一年間哲学と科学史を学ぶ。ふたたびケンブリッジに戻り、生化学で博士号を取得。1967年から73年まで、同大学で生化学と細胞生物学の研究員・講師をつとめながら植物発生学や細胞老化の研究を推進。74年から78年まで、インドのハイデラバードで国際作物研究協会の半乾燥地帯研究所(ICRISAT)研究員として熱帯作物の生理学の研究に従事。その後、同研究所の植物生理学のコンサルタントをつとめる。英国王立協会会員。
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南インドのアシュラム滞在中に執筆された本書は、『ネイチャー』からは「焚書もの」と糾弾され『ニューサイエンティスト』からは絶賛されるという、文字どおり賛否両論の話題をよび、形態形成場の仮説を検証するさまざまなテレビ実験も行われた。
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94年に刊行された『世界を変える七つの実験』(邦訳97年)はイギリスおよびドイツでベストセラーとなり、同年の英国社会創造研究所のベストブック賞を受賞。アメリカPBS のテレビシリーズで六人の注目すべき科学者の一人としてインタビューされ、97年4月NHK教育テレビでも放映される。
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日本では、96年に『なぜそれは起こるのか』(喰代栄一/サンマーク出版)というシェルドレイクの解説本が出版され、話題を呼ぶ。
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2000年11月11日には日本テレビのゴールデンタイムのバラエティ番組「スーパースペシャル:この先撮影禁止……の先」への出演。『世界を変えた七つの実験』のうちの「ペットはなぜ飼い主の帰りがわかるのか」を実験し、その結果についてシェルドレイクがインタビューを受けている。
■訳者紹介
:幾島幸子(いくしま・さちこ)
1951年東京生まれ。早稲田大学政経学部卒。科学、エコロジー、女性問題などをテーマにしたノンフィクション単行本を多く手がけるほか、児童書や「ニューズウィーク日本版」「ナショナルジオグラフィック」などの雑誌翻訳にも携わる。主な訳書に、カウフマン『エイジレス・セルフ』(筑摩書房)、ラバスティーユ『絶滅した水鳥の湖』(晶文社)、ケラー『ジェンダーと科学』(共訳、工作舎)、ブラウンミラー『レイプ・踏みにじられた意思』、『女らしさ』(共訳、いずれも勁草書房)、サートン『総決算のとき』(みすず書房)、シェスカ『タイムワープ三人組』シリーズ、マーヒー『悪者は夜やってくる』(いずれも岩波書店)など。
:竹居光太郎(たけい・こうたろう)
1957年生まれ。東京大学大学院理学系研究科修了。理学博士。慶應義塾大学医学部、日本医科大学で研究と教育に携わった後、米国ハーバード大学分子細胞生物学研究所の研究員として神経生物学の研究と新規細胞生物学研究技術の開発に従事。三年半の留学の後、科学技術振興事業団(科学技術庁)の研究グループリーダーとして神経系の発生に関する研究を行い、現在、東邦大学医学部にて大学教員として医学教育に携わる一方、神経発生と神経再生の分子機構に関する最先端研究を行っている。複雑緻密な神経回路網が形成される仕組みを解明して脳機能が発揮される基盤的メカニズムを理解することを人生の目標にしている。学生時代は哲学や生物学思想論に傾倒して生命研究のあり方を探り、その中、大学院博士課程在学中に本書に出会い、訳出を行った。
■シェルドレイクの形態形成場(モルフォジェネティク・フィールド)の仮説とは |
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生物の同一種が同じ形態になるのは、形態形成場に時空を超えた共鳴現象が起きることによる、という説。これは形態に限らず、行動パターンにも現れ、数が多いほど顕著になる。ロンドンの実験室でラット千匹にある行動パターンを学習させた場合、ニューヨークでまったく別のラットがこれを学習する時間は、ロンドンの実験よりも速くなる。
本書の発刊以来、この仮説を検証するさまざまなテレビ実験も行なわれ、論議をよんでいる。
実に刺激的でチャレンジングな仮説だ。
───────────『ホロン革命』著者アーサー・ケストラー
ダーウィンの進化論に匹敵するほど示唆に富む一書。
───────────『アクエリアン革命』著者マリリン・ファーガソン
生物の形態、発生、行動の理論を啓発する、注目に値する本。
───────────『近代医学の壁』著者バーナード・ディクソン
『ネイチャー』誌は「焚書!」と糾弾し、『ニューサイエンティスト』誌は絶賛した問題の本は、さすがに退屈させなかった。
───────────『タイムズ・リテラリー・サプルメント』(英国書評誌)
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