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宇宙を叩く[詳細]

目次図像著者紹介関連図書関連情報著者インタビュー編集後記書評



アジアの楽器、天界の響き、マンダラの煌き
人が奏でる人籟、風が吹き起こす地籟、
天籟は大自然の声、大自然の呼吸。
森羅万象のざわめきと呼応し、 天人一体となる響きこそが音楽だと考えられた。
まさに天籟受器、楽器。
その形に投影されたアジアの宇宙観がひもとかれる。

南庭舞御覧の儀より



■目次より

1 天籟受器(てんらいじゅき)

一 感覚と感知
  眼は、日月の光を放つ・・・
  網膜と鼓膜と、脳髄と・・・
  鼓膜、耳の中の太鼓・・・
  無音を、聴きとる・・・

二 天籟と風声
  人籟、地籟、風声の叫び・・・
  天籟、天人一体の響き・・・
  スンナリ、天籟を感知する・・・
  ブバリン、祖靈に呼びかける・・・
  ルンタ、大宇宙の呼吸を視る・・・

三 触知と微音
  触る、押す、叩く・・・
  音圧を、触知する・・・
  微音、神靈を呼び覚ます・・・
  神靈来りて、ささやく・・・
  弓の呪力を、響かせる・・・
  声で、悪靈を祓う・・・
  声で、幽冥の境を護る・・・

四 乱声と振魂
  万物、現われいでる音・・・
  生の響き、死の響き・・・
  天地自然が、響鳴する・・・
  陽気を起こし、陰気を鎮める・・・

五 陰陽と四季
  文字を叩く、書物を鳴らす・・・
  世界を封入する箱、〓(しゅく)・・・
  〓(ぎょ)、秋を告げる白虎・・・
  四季の推移を、音で伝える・・・

六 龍鳳と神亀
  無音の音、無音の響き・・・
  琴、龍と鳳凰の姿が潜む・・・
  「天円地方」を、写しとる・・・
  宇宙摂理が、発現する・・・
  亀甲紋をまとう、瑟・・・
  三味線が包みこむ、宇宙論・・・

七 天声と地鳴
  玄武、甲に天の星を戴く・・・
  天と地、大気と水の変幻・・・
  亀甲から、文字が生まれる・・・

八 亀體と噴流
  チェンチェン、大地の律動・・・
  亀鉦(かめがね)、法具となる・・・
  終わりなき蛇と、火を噴く亀・・・
  世界を支える、亀と蛇・・・
  マグマを押さえる、吉祥結び・・・
  靈獣、自然が宿す神秘の力を感知させる・・・
  亀に座し、瞑想する・・・

九 一対性と神性
  宝珠を象る、火焔太鼓・・・
  鮮烈な対比を見せる太鼓の意匠・・・
  宝珠は、万宝を雨降らす・・・
  輪宝-宝鏡-宝剣-宝珠、響きあう形・・・
  占星術の、靈亀に似る・・・

十 祈りと「楽の器」
  太鼓は、亀太鼓か・・・
  蓬莱山を背負って泳ぐ・・・
  爬虫類の記憶との共振・・・
  大宇宙の響きに、照応する・・・

2 建鼓

一 宙に浮く宇宙太鼓・・・建鼓
  はじめに・・・
  一本の心柱が建鼓を貫く
  一羽の鳥、龍の首、華蓋、流蘇、四方を向く虎・・・
  韓国にも、壮麗な建鼓が聳えたつ・・・
  建鼓。過剰な意匠で飾られた大太鼓・・・
  「洛神賦図」に描かれた、二つの建鼓・・・
  漢代の画像石には、さまざまな建鼓が現われる・・・
  建鼓は、三世界を貫いて聳えたつ・・・

二 建鼓。宇宙軸であり、生命樹である
  建鼓の柱は天の梯子、宇宙軸・・・
  天の柱を祀る祭礼がアジア各地で行なわれている・・・
  豊穣と再生の柱、エジプト王朝のジェド柱・・・
  建鼓の鳥。太鼓の精靈・・・
  太陽の輝きや、天神としての雷の力を象徴する・・・
  建鼓は生命の樹を象徴する・・・
  聖獣たちが、生命の樹に力をあたえる・・・

三 建鼓は崑崙山となって、聳えたつ
  建鼓の虎と鳥、西王母と宇宙山に結びつく・・・
  崑崙山上に住む西王母。神仙の世界を統べる・・・
  建鼓は、宇宙山・崑崙山を象るもの・・・
  崑崙山を守護する陸吾。西王母を運ぶ鳳凰・・・
  建鼓の響き。死者の魂を、崑崙山頂に送る・・・
  靈山の鳴動。垂直世界を活気づける・・・

四 大自然の蠢動を叩きだす
  (しゅく)と〓(ぎょ)、朔鼓(さくこ)と応鼓(おうこ)・・・
  杵と臼を模す〓(しゅく)。陸吾、あるいは白虎である・・・
  楽曲のはじまりを告げる打音、終わりを告げる打音・・・
  気の発動を告げ、大自然の蠢動を叩きだす・・・

3 火焔太鼓
  二つで一つ。宇宙原理を叩きだす対太鼓・・・

一 左方と右方。対をなす火焔太鼓・・・
  宝珠形の大火焔。対をなして並びあう・・・
  雲象板。火焔宝珠や、仏の光背の功徳を象る・・・
  日・月輪を戴く太鼓。天空へと伸びあがる・・・
  唐楽と高麗楽。「左」「右」の律動を打ち分ける・・・
  「左方」と「右方」。二つの火焔太鼓が示す「対原理」・・・
  鼓面に印された対原理。巴の渦、色の輪、剣先紋・・・
  剣先紋は、山となって聳えたつ・・・
  六つの要素が対をなす・・・
  火焔太鼓は「ただならぬ響き」を過剰に視覚化する・・・

二 二つ巴、三つ巴。陰・陽原理を渦巻かせる・・・
  巴紋。太鼓の打音と身体の律動を結びつける・・・
  「太極図」と巴紋の重なりあい・・・
  火焔太鼓に現われた「陰-陽原理」をまとめてみる・・・
  万物は、陰を負いて陽を抱く・・・

三 阿-吽の叫びを放つ龍と鳳凰
  「阿-吽」の叫びは、インドの「オーム・OM」に由来する・・・
  「阿-吽」は、「太初と太終」の循環を告げる・・・
  雌雄の口、左--右の太鼓から発せられる・・・

四 「龍」と「鳳凰」。「水」と「火」の相剋を表わす
  「水の変幻」を象徴する、万獣の祖。龍・・・
  天の思想を象り、「天の火」を象徴する鳳凰・・・
  月・日の輝き、龍・鳳凰の結びつきにねじれが潜む・・・
  陰・陽の逆転。対極図の巧妙なダイナミズム・・・

五 火焔宝珠。「火」と「水」を結びつける・・・
  如意宝珠は不思議珠。真珠、気の精髄・・・
  火焔宝珠は、「水」と「火」の結合である・・・
  チベットの光背。豊穣原理を写しだす・・・
  チベットの法輪が、火焔太鼓の姿に似る・・・
  火焔太鼓に、五大の働きを写しだす・・・

六 二にして一・・・両界曼荼羅にも結びつく・・・
  火焔宝珠。胎蔵界と金剛界をあわせもつ・・・
  両界曼荼羅。「二而不二」の宇宙真理を解き明かす・・・
  火焔太鼓、曼荼羅、都市構造、身体原理が結びつく・・・

七 まとめ・・・
  宇宙構造を物語る建鼓。陰陽原理を示す火焔太鼓・・・
  建鼓と火焔太鼓の共通性・・・
  相似しながら、なお、違いを見せる・・・
  音楽は、天と地が和したものである・・・

疾風迅雷

疾風迅雷


建鼓

建鼓


火焔太鼓

「左方」の火焔太鼓

「左方」の火焔太鼓部分
火焔太鼓

「右方」の火焔太鼓

「右方」の火焔太鼓部分

本書に収められた美しい図像は [Recommended Image:宇宙の音を観る…杉浦康平アジア図像の世界 ]をご覧ください。>>>




■著者紹介:杉浦康平(すぎうら・こうへい)

グラフィックデザイナー 1932年生、東京まれ。55年、東京芸術大学建築学科卒。64-67年、ドイツ・ウルム造形大学客員教授。85年、インドIDCにおいて客員教授。89-02年、神戸芸術工科大学教授。
70年ごろからブックデザインを始める。独自のヴィジュアル・コミュニケーション論、曼荼羅をはじめとするアジアの図像研究、知覚・音楽論を展開。日宣美賞、毎日産業デザイン賞、野間出版文化賞、文化庁芸術選奨新人賞、ライプツィッヒ装幀コンクール特別名誉賞、毎日芸術賞、紫綬褒章などを受賞する。
主な著書に、[万物照応劇場]シリーズとして『日本のかたち・アジアのカタチ』(三省堂 94年)、『かたち誕生』(NHK出版 97年)、『宇宙を呑む』(講談社 99年)、『生命の樹・花宇宙 2000年』(NHK出版)。また編・著書に『ヴィジュアル・コミュニケーション』(共編・講談社 78年)、『文字の宇宙』(共著・写研 85年)、『文字の祝祭』(共著・写研 95年)、『芹沢けい介の文字絵・讃』(共著・里文出版 97年)、『アジアの宇宙観』(共著・講談社 92年)、『立体でみる星の本』(共著・福音館書店)、『円相の芸術工学』(編・共著・工作舎)などがある。




■関連図書(表示価格は5%消費税込)

【杉浦康平 著作】
  • 日本のかたち・アジアのカタチ  万物照応劇場 杉浦康平 三省堂書店 1994年 3360円
  • かたち誕生  万物照応劇場 杉浦康平 NHK出版 1997年 3150円
  • 宇宙を呑む  万物照応劇場 杉浦康平 講談社 1999年 3990円
  • 生命の樹・花宇宙  万物照応劇場 杉浦康平 NHK出版 2000年 2940円
  • 疾風迅雷  杉浦康平 雑誌デザインの半世紀 トランスアート 2004年10月 4725円
    【杉浦康平 論文寄稿・インタビュー】
  • 円相の芸術工学  神戸芸術工科大学レクチャーシリーズ エッセイ執筆 工作舎 1995年 2625円
  • アジアの形を読む  形の文化誌[1] 講演収録 工作舎 1993年 2100円
  • 形を遊ぶ  形の文化誌[5] 講演収録+荒俣宏との対談 工作舎 1998年 2310円
  • ブックマッププラス  インタビュー+本棚 工作舎 1996年 1890円
  • 武蔵野美術No.113タイポグラフィ  松岡正剛との対談 東京美術 1999年 1260円
  • 本とコンピュータ2002秋号  特集:汎アジア人杉浦康平 トランスアート 2002年 1575円
  • 月刊ブレーン2004.11月号  原研哉によるロングインタビュー 宣伝会議 2004年10月
  • 装幀時代  臼田捷治 晶文社 1999年 2730円
  • 現代装幀  美学叢書02 臼田捷治 美学出版 2003年 2730円
    【杉浦康平 アジア的造本を中心に】
  • 虹と雲  ドルジ・ワンモ・ワンチュック(現ブータン王妃) 平河出版社 2004年10月 5775円
  • 敦煌石窟 精選50窟鑑賞ガイド  樊 錦詩+劉 永増 文化出版局 2003年 1785円
  • 原インドの世界  フジタ・ヴァンテ=編 東京美術 1995年 2853円
  • 中国の巫術 張紫晨 学生社 1995年 6300円
  • 新探 中国文明の起源 言叢社 2004年 2940円
  • ミャンマー黄金  管洋志写真集 東方出版 1997年 7140円
  • メコン4525km 管洋志 実業之日本社 2002年
  • ブータン・風の祈り 田淵暁写真集 平河出版社 1996年 5631円
  • マンダラ群舞  加藤敬 平河出版社 1984年
  • マンダラ蓮華  加藤敬 平河出版社 1985年
  • 曼荼羅イコノロジー  田中公明 平河出版社 1987年 2940円
  • 道教事典  野口鐵郎 平河出版社 1994年 10500円
  • 道教1〜3   平河出版社 1983年
  • 幸福と平和への助言  ダライラマ トランスビュー 2003年
  • 敦煌石窟(全10巻) 文化出版局 2001〜02年
  • 古凧の美 日本古凧絵四十選 斎藤忠夫との共著 未来社 1987年
  • 中川幸夫作品集 魔の山  求龍堂 2003年
  • 歳時記のコスモロジー 北沢方邦との共著 平凡社 1995年 3262円
  • 芹沢(金圭)介の文字絵・讃  芹沢長介との共著 里文出版 1997年 3570円
  • イタコとオシラサマ—東北異界巡礼 加藤敬 学研 2003年
  • 世界の食文化(全20巻)  農文協 2003年〜 各3200円
  • ライプニッツ著作集(全10巻)  工作舎 1988年〜99年
  • セリーヌの作品(全15巻)  国書刊行会 1978〜2003年
  • 神戸芸術工科大学レクチャーシリーズ 杉浦康平=編 工作舎 1995年〜 各2625円
  • 夢の場所・夢の建築 吉武泰水 工作舎 1997年 2625円
  • 立体で見る[星の本] 杉浦康平+北村正利 福音館 1986年 2415円
  • 人間人形時代 稲垣足穂 工作舎 1975年 2310円
  • 夢の本 ボルヘス  国書刊行会 1992年
    【杉浦康平 入手可能な雑誌装幀】

  • 遊 第2期1002〜1006 工作舎 1978〜79年 1575円
  • 季刊 銀花 文化出版局
  • 季刊 自然と文化 日本ナショナルトラスト
  • 日本の美学 ぺりかん社
  • DOLMEN(全6冊)  ヴィジュアル・フォークロア(言叢社) 1989年〜
    【アジア図像】

  • 中国古代の神がみ  林 巳奈夫 吉川弘文館 2004年 3360円
  • 神と獣の紋様学—中国古代の神がみ  林 巳奈夫 吉川弘文館 2003年 3360円
  • 生と死の図像学—アジアにおける生と死のコスモロジー  林 雅彦=編 至文堂 2003年 10000円
  • 新千年図像晩会  武田雅哉 作品社 2001年 3360円
  • 肉麻図譜—中国春画論序説 中野美代子 作品社 2001年 3990円
  • チャイナ・ヴィジュアル—中国エキゾティシズムの風景 中野美代子 河出書房新社 1999年 3045円
  • 屏風の中の壺中天  ウー・ホン/中野美代子訳 青土社 2004年 4620円
  • アジアの仮面  あじあブックス 廣田律子 大修館書店 2000年 1995円
  • 中国の年画—祈りと吉祥の版画  あじあブックス 樋田直人 大修館書店 2001年 1890円
  • 中華図像遊覧  杉原たく哉 大修館書店 2000年 3150円
  • 天翔るシンボルたち  図説中国文化百華 第2巻 張 競 農文協 2002年 3200円
  • 神と人との交響楽  図説中国文化百華 第6巻 稲畑耕一郎 農文協 2003年 3200円
  • 「元の染付」海を渡る  図説中国文化百華 第18巻 三杉隆敏 農文協 2004年 3200円
  • 龍とドラゴン  イメージの博物誌25 ハックスリー 平凡社 1982年 1886円
  • 聖なるチベット  イメージの博物誌14 フィリップ・ローソン 平凡社 1992年 1937円
    【アジア音楽】

  • 別冊太陽 雅楽  遠藤 徹 平凡社 2004年 2625円
  • 雅楽壱具  林 陽一+東儀俊美ほか 東京書籍 2002年 12600円
  • 雅楽縹渺  東儀俊美 邑心文庫 2002年 5040円
  • 神霊の音ずれ—太鼓と鉦の祭祀儀礼音楽  朱 家駿 思文閣出版 2002年 3675円
  • 雅楽入門  音楽選書 増本伎共子 音楽之友社 2000年 1890円
  • 雅楽—僕の好奇心  東儀秀樹 集英社新書 2000年 735円
  • シルクロードの響き  MUSAEA JAPONICA 古代オリエント博物館 山川出版社 2002年 1700円
  • 中国音楽再発見〈楽器篇〉  Academic Series NEW ASIA3 滝 遼一 第一書房 1991年 3363円
  • 中国音楽再発見〈歴史篇〉  Academic Series NEW ASIA6 滝 遼一 第一書房 1992年 3873円
  • 中国音楽再発見〈思想篇〉  Academic Series NEW ASIA7 滝 遼一 第一書房 1992年 3058円
  • 中国音楽と芸能—非文字文化の探究  中国学芸叢書 吉川良和 創文社 2004年 3675円
  • 音楽の源へ—中国の伝統音楽研究  東川清一 春秋社 1996年 2940円
  • 韓国音楽探検   植村幸生 音楽之友社 1998年 1785円
  • アジア音楽史  柘植元一+植村幸生 音楽之友社 1996年 3675円



  • ■関連情報

    2005.12.27〜2006.1.23 銀座松屋にて杉浦康平企画展「火焔太鼓 宇宙を叩く」
    杉浦康平氏の展覧会「火焔太鼓 宇宙を叩く」が銀座松屋で開催。タイトルのごとくテーマは本書『宇宙を叩く』そのもの。日本の火焔太鼓、中国・韓国の建鼓などの華麗なビジュアルが展示されました。

    杉浦康平企画展「火焔太鼓 宇宙を叩く」
    会期:2005年12月27日(火)〜2006年1月23日(月)入場無料
    会場:松屋銀座7F デザインギャラリー
    主催:日本デザインコミッティー
    セミナー:杉浦康平「宇宙を叩く〜火焔太鼓、建鼓の意匠を読み解く」
    セミナー日時:1月21日(土) 14:00〜16:00

    韓国「パジュ出版都市」杉浦康平作品展(2005.12.13 毎日新聞より)
    アジアに新しい「本の道」 高橋 豊(専門編集委員)
    「…今秋、韓国の「パジュ出版都市」で杉浦さんの作品展が開かれた。この出版都市は、ソウルから車まで約40分、広大な敷地に出版、流通、印刷、製本、デザインなど、出版に必要な会社200社が集まる。本を愛する温かい雰囲気にあふれているのが特長で、心臓部に「アジア出版文化情報センター」がある。同センターは国を越えてアジア出版人の交流を図っている。杉浦さんは記念シンポジウムで、韓国、中国、台湾の出版人らと語り合い、センター図書館に「東アジア・ブックデザイン・コーナー」を設立しようと協力を約束した…」

    2005.6.16〜9.6 杉浦康平雑誌展覧会、福岡アジア美術館にて開催
    「疾風迅雷〜杉浦康平雑誌デザインの半世紀展」が銀座・大阪・名古屋に続き、福岡に登場。6/16と7/22には杉浦氏による「デザイントーク」も開催。
    デザイントーク:
      6月16日(木) 『〈意表の夢〉をデザインする』
      7月22日(金) 『アジアの心をデザインする』
     いずれも18:00〜20:00 あじびホール(福岡アジア美術館8F)

    ダ・ヴィンチ5月号に杉浦康平氏インタビュー
    杉浦康平が注目する中国の最新ブックデザイン
    杉浦氏インタビューと、氏の事務所で研修し帰国後中国ブックデザイナー界のリーダー的存在となった呂敬人(リュ・チンレン)氏のインタビューが掲載されています。

    「中国のブックデザインはここ数年、目を見張る展開を見せています。…本を手にとる人々の五感を刺激する、さまざまな工夫が施されたオビジェ本。本の既成概念とらわれ過ぎた日本の読者・出版人は『こんな本の形があったいいのか!』と驚くはずです…」(杉浦康平)

    DTP WORLD 2005.4月号に杉浦康平氏インタビュー
    至高のデザイナー杉浦康平氏が考える「デザイン」とは? 「DTP」とは?
    …『あ、面白いな』と思えるものは、1+1が5、100×100が0になる。つまり等式の論理を超えたデザイン。常識の間尺に合わないものこそ、皆に驚きを与えるはずです。…間尺に合わないもの、まだ存在しえなかったものをどう作っていくかが、いいデザインを生む秘訣だと思います。そのためにはまず自分自身の間尺からはみ出なければならない。その秘訣は、感激したり感動したりすること…

    インタビューでは工作舎から刊行予定の『造本の宇宙』にも言及。また、タイトルこそ出ませんでしたが、本書『宇宙を叩く』の内容、太鼓への感動を熱く語っています。

    2005.4.22〜5.22 名古屋・国際デザインセンターで杉浦康平雑誌展覧会
    「疾風迅雷〜杉浦康平雑誌デザインの半世紀展」が銀座ggg・大阪dddに続き、愛知万博で盛り上がる名古屋に登場。4/22(金)には杉浦氏による「デザイントーク」も開催。

    ダ・ヴィンチ 2005.3月号に杉浦康平インタビュー、『宇宙を叩く』も紹介
    本は魅惑のオブジェ、呼吸し、血が通う生きた物体です
    本は生き物であり、ひとつの身体をもつものです。今はみんな『顔』しか見ていない。本でいうと表紙だけ。それでは本の元気がなくなってしまう。人間の身体がさまざまなパーツで成りたっているように、本も表紙をめくって見返し、トビラ、本文へとリズムを生み、一体となって呼吸し血が通う物体とすることが大事。そういう本であればこそ、読む人にとって命の糧になるのではないでしょうか。

    2005.1.12〜2.7 大阪 dddで杉浦康平雑誌展覧会
    10月東京・銀座のgggで開催され大好評だった「疾風迅雷〜杉浦康平雑誌デザインの半世紀展」が大阪dddに巡回。会期は1/12〜2/7。杉浦氏のギャラリートークも1/12(水)15:30〜。

    2005.10.10〜11.10 リブロ池袋店にて刊行記念フェア&杉浦康平講演会、開催
    2005.10.10〜リブロ池袋店3F人文書と2F芸術・音楽では、『宇宙を叩く』を中心とした合同フェアを開催。
    3F人文書では下りエスカレータ前で、「杉浦康平が誘(いざな)うアジア図像学の魅力」、 2F芸術・音楽コーナーでは「杉浦康平、音のデザインを読み解く」フェア。
    11月7日には、杉浦康平氏の講演会を開催し、大盛況。講演会の模様はこちらへ

    2005.9.29〜11/17 青山BC六本木店復活オープン記念・杉浦康平フェア、開催
    9/29にリニューアルオープンした青山ブックセンター六本木店にて、「杉浦康平の造本世界」フェア開催。
    杉浦氏のブックデザインを広く集めたフェアとしては近年まれにみる大掛かりなフェア。万物照応劇場シリーズはもちろん、写研『文字の宇宙』『文字の祝祭』、平河出版社『マンダラ蓮華』、国書刊行会『セリーヌの作品』、『世界幻想文学大系』、ヴィジュアル・フォークロア『DOLMEN』など、貴重な書籍が多数そろいます。
    また、工作舎からは、『人間人形時代』、『遊1002〜1006』、企画・編集した『神戸芸術工科大学シリーズ』に加え、『遊1期』『全宇宙誌』を見本として展示。
    *フェアの様子はこちらへ>>>

    2005.10.5〜10.30 ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)にて「疾風迅雷—杉浦康平 雑誌デザインの半世紀展」開催
    書籍と平行して手掛けた雑誌は40タイトル、総数2千冊以上。『銀花』『SD』『都市住宅』『エピステーメー』『遊』『噂の真相』『自然と文化』など、約500点を展示。
    https://www.dnp.co.jp/gallery/ggg/

    『疾風迅雷—杉浦康平の雑誌デザイン半世紀』(トランスアート)刊行
    雑誌造本を集成した作品集を展覧会にあわせて刊行。松岡正剛氏との対談や臼田捷治氏らの論考も収録。

    『ブレーン』11月号(宣伝会議)で原研哉氏によるロングインタビュー

    臼田捷治氏の新刊『装幀列伝』に、「杉浦イズム咀嚼者の仕事」
    9月10日に刊行された『装幀列伝—本を設計する仕事人たち』(平凡社新書)では、「戦後装幀市史の最大のメモラブルな『事件』は杉浦康平の活躍にあったといっても過言ではないだろう」と杉浦氏へ最大の賛辞を贈る一方、「杉浦イズム咀嚼者」として、羽良多平吉、工藤強勝、松田行正各氏を挙げています。
    「(弟子など)身近にあった人たちと違って、杉浦とはいうならば見えない糸のつながりである。しかし、三人は、杉浦と深いかかわりのある工作舎で働いたことがあることで共通している。…それぞれが杉浦イズムの咀嚼をとおして、独自のデザイン姿勢を歩んできた。」




    ■書評

    ONKAN(音楽鑑賞教育)2005.2月号にて書評
    …雅楽の火焔太鼓の左右一対の装飾や、巴模様の意味についての詳細な考察は興味深い。近代の西洋楽器は機能性の追求により過度な装飾を捨て去ってきたが、元来楽器には各民族の様々な美意識が凝縮していたものであった。
    アジア各地の楽器も例外ではなく、特に古代中国の哲学の影響と我が国独自の世界観を併せ持つ雅楽の太鼓のデザインは、特異といってもよいほど装飾に意匠が凝らされたものとなっている。
    陰陽、霊獣、配色など、一見すると音とは無関係にみえるさまざまなデザインが、楽器の中にびっしりと詰まっている様は、音楽こそ宇宙の秩序の実現であるという理念が現実のものとなっていることを実感させてくれる。…

    2005.1.30 日本経済新聞書評
    古代アジア人が聴いた天の声
    機能的な西洋の近代楽器に比べ、日本の楽器は音程や響きが微妙に揺れ動く。深い神話性が隠されているからだ、とグラフィックデザイナーの著者は指摘する。中国や韓国の大太鼓「建鼓」は「宇宙山」の崑崙山を象徴し、日本の「火焔太鼓」は対をなして陰陽原理を解き明かす構造をしているという。古代アジア人が楽器を通じて天の声を聴こうとした姿がうかがえる」

    レコード芸術2004.12月号 片山杜秀氏書評
    大地の象徴=《ダ》太鼓が掻き立てる想像。地震国日本と雅楽、音楽鎮護国家論?
    日本の雅楽は、もしかして地震と関係があるのではあるまいか。地震国たる日本の宮廷音楽は、地震を鎮め大地を飼い慣らすための呪法と、どこかでかつては繋がっていたのではあるまいか。西村朗、新実徳英、佐藤聰明といった作曲家に。絶大な思想的感化を与えている著者による、アジアの伝統楽器から主に打楽器類を扱い、その神話学的・図像学的・神秘学的探求を試みた本書を読み、そんな想念から離れられなくなった。…

    高山宏氏 図書新聞04年下半期読書アンケートに
    本として全く別概念ゆえ順番をつけるのもおこがましい杉浦康平『宇宙を叩く』。楽しい人文書絶無の寒空に小気味良く響く書の宇宙太鼓でした。

    intoxicate 2004.12月号 小沼純一氏書評
    …著書が武満徹の《コロナ》などを共作したことを想起してみると、はたして、武満作品の耳の傾け方も変わってくるかもしれない。何より想像力を掻きたてられる本である。

    藤森照信氏 毎日新聞書評欄「2004年この3冊」に
    残された図像から人間の精神や心を読みとく杉浦イコノロジーの今年の成果。“万物照応劇場”と銘うつシリーズの五冊目にあたるが、前人未到前途未詳の試みだけに、眼力と知力の続くかぎりつづけてほしい。

    音楽の友2005.1月号 小沼純一氏書評
    失われた全人的な感覚の回復
    (耳という)身体のなかにある小さな太鼓が、外界の音にはじつに敏感であるのに、内で鳴っている音にはほとんど反応しないという事実。そこから本書は、アジアにおける太鼓のありよう、そのコスモロジ−にはいってゆく。…メディアの発達で、良くも悪くも、音も音楽も身近なものになった。だが、そうした環境のなかで失われている全人的な感覚、宇宙のなかで音に触れるということが忘れられている。本書はそうした感覚・思考の回復を、言葉とイメージによって、つよく、誘いかけてくるものを持っている。

    『言語』2005.1月号 臼田捷治氏 書評
    交響楽を思わす精妙さ
    …まず目につくのはカバーの上下・背に配された6ミリ幅の黒い罫と両端の〈うろこ〉。衝立(ついたて)の枠か神社の鳥居、あるいは漢籍本の真ん中の折り目に描かれる〈魚尾(ぎょび)〉を連想させもする。シリーズを通して使われ、読者のまなざしを導く〈窓〉であるとともに、イメージを統一する役割を力強く果たしている。中央にあるのは、一対の火焔太鼓のうちのひとつ、三つ巴の太鼓(もうひとつは二つ巴)。余白を生かした布置が心憎い。表紙にも使われている金箔押しは、題字などがいちばん目立たせたいところに使うのが通例だが、ここでは挿図の図柄に使われている。太鼓から発せられる轟きと響きあうような華やかな乱離……。
    杉浦の情熱あふれる語り口に応えて、本文も1ページたりともゆるがせにしていない。緩急を心得た構成にくわえて、豊富な図版とのかみ合わせも丹精を凝らしている。内から外回りまで、あたかも交響曲を思わせる精妙さである。

    2004.11.7 毎日新聞・藤森照信氏 書評
    人間精神の古層に迫る太鼓の図像学
    杉浦の図像研究の特質は、身体から出発(体を震わす太鼓)して図像に及び、さらに宇宙にいたり、そこから一転して身体に帰るという離れ技にあるのだが、巴の場合はどう帰着するか。宙返りして、一気に母体にもぐり込み、発生期の胎児の姿に思いをいたすのである。
    柳田民俗学は、文字化されない習俗を通して日本人の心の古層を探ろうとした。杉浦図像学は、文字化されない図像を通して人間の精神の古層に迫ろうとしている。読まずにおけるか。

    2004.11.7 毎日新聞・書評欄には「COVER DESIGN」にも『宇宙を叩く』を紹介していただきました。

    2004.11.7 京都新聞・福島民報ほか・立松和平氏 書評
    太鼓の音 知的に論考
    打楽器にすぎない太鼓をめぐって、いまだこのような知的な旅をした人を、他に私は知らない。本書は、著者が全存在をかけて求めている『万物照応劇場』シリーズの第五弾…思いは森羅万象へ飛び、宇宙へと広がっていく。時には抽象的に傾きかける論考が、そのつど見事な図版が提示されることによって、精彩と説得力を持ってくる。当代一流のグラフィックデザイナー杉浦康平にしてはじめて可能な、示唆に富む論考の広がりである。

    邦楽ジャーナル 2004.11月号
    東アジアの二つの美しく大きな太鼓、建鼓と火焔太鼓を対比し、その装飾が何を物語るのかを、ブックデザイナーの著者が考察」

    バチ2 2004.11月号
    アジアの楽器が物語る意味
    アジア図像に造詣が深いグラフィックデザイナー杉浦康平が織りなしてきた『音』と『形』に迫り読み解こうというもの。韓国の『建鼓』や日本の『火焔太鼓』から見えてくるアジアの宇宙観など、興味深い内容が、たくさんの珍しい図像とともに楽しめる。

    アマゾン・カスタマーレビュー  小西昌幸さん
    杉浦ワールド全開。万物照応劇場、待望の第5弾!
    …杉浦先生が以前から折に触れて言及されていたアジアの大太鼓「建鼓」「火炎太鼓」について、膨大豊富な図版と共に杉浦ワールドが全面展開されている。アジアの巨大打楽器の装飾や宇宙観についての考察である本書の第一章で、杉浦先生は《聴覚の成立過程》から論を進めてゆく。実にスリルに満ちているのだ。私は、本書を入手後、直ちにダストジャケットにビニールカバーをかけてありがたく抱きしめたりしている。宝物です。大推薦します。 全文はこちら >>>

    イーエスブックス・「黄金のしおり」ろろうく店長さん
    現代屈指の名文家、杉浦康平
    もちろんエディトリアル・デザインの至宝である著者の眼力にも舌を巻く。が、杉浦康平は現代屈指の名文家でもあるのは疑いない。彼が強く影響されただろうドイツ語の響きが、記述の内側に秘められている。その簡潔さが、内容の充実を語って余りある。…かたちに秘められた物語に気づけたら、日常の些細なかたちも雄弁に語り始めるのに気づくはず。その後の人生数年間がはっきりと変わってしまう。大オススメ。






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