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6月は男女雇用機会均等月間。ということで、ジェンダーについて考えてみようと思います。

ジェンダーとは社会的、文化的に作られた性差のこと。「男らしさ」「女らしさ」はまさにそれ。誰しも暗黙のうちにそういった「〜らしさ」を期待し、逆に期待されていることがよくあると思います。

私事ですが、ある男の子に「男のくせに」なんて言ったら「逆セクハラだ!」なんて言われたことがありました。一方で「女のくせに料理くらいしろ」とか言われるとツライんだなぁ。面白かったのは、「女卑」はないけれど、「男尊」はある(なんだそりゃぁ)、と言っていた男の子。日常の気付かないところで偏見や先入観が誰かを傷つけ、抑圧しているのかも。

そこで提案されたのがジェンダーフリー。「女性的な人」や「男性的な人」を否定するわけではもちろんなくて、誰もがありのままの自分、ありのままの他者を受け入れることのできる社会を目指します。その実現のために、ジェンダーに敏感な視点をもつことが大切。まず第一歩としてジェンダーに関する知識を深めてみましょう!

工作舎からは科学とジェンダーという切り口で多数刊行しています。科学が植え付けた性差に関する偏見の数々。信じられないっ!と思わず口にしてしまうことばかり。ぜひご一読下さい。 

 シムラミドリ 

                              
  医学・霊長類学から物理学・数学まで
ジェンダーは科学を変える!?
ロンダ・シービンガー
小川眞里子+東川佐枝美+外山浩明=訳
四六判/上製 308頁 2002.1
定価 本体2600円+税 [注文] [目次]
バービー人形が「算数ってむずかしいわ」って言ったって! 女性は算数ができないものという偏見がバービーちゃんに与えたセリフ。本当に女性は算数ができないの? 科学のフィールドから女性が排除されてきた事実をジェンダーの視点から大検証─すると新しい科学の可能性が見えてきた。
  リンネはなぜ乳房にこだわったのか?
女性を弄ぶ博物学
ロンダ・シービンガー
小川眞里子+財部香枝=訳
A5判/上製 280頁 1996.10
定価 本体3200円+税  [注文]
女性を見せ物にする科学があっていいものか! 男性研究者の好奇心の的となったのは乳房や性器の形の研究。これは科学? ポルノ? そして、リンネが命名した「哺乳類(字義どおりには乳房類)」には女性を妻・母のジェンダーに限定していく裏面が。これってジェンダーの罠!
  アカデミー下の知と創造性
科学史から消された女性たち
ロンダ・シービンガー
小川眞里子+藤岡伸子+家田貴子=訳
A5判/上製 448頁 1992.10
定価 本体4800円+税  [注文]
知性に性の区別なし」とは、フェミニズムが台頭する前の17世紀、思想家プーラン・ド・ラ・バールのお言葉。しかし、その後の科学革命の歴史には女性科学者の名はほとんど登場しない。なぜか? 科学の発展を陰で支えた女性科学者たちが抹殺された背景や性差の価値観が今、明らかに。
  性差の観念史と解剖学のアポリア
セックスの発明
トマス・ラカー
高井宏子+細谷等=訳
A5判/上製 392頁 1998.4
定価 本体4800円+税 [注文]
古代ギリシャ以来の、ワンセックスモデルにはじまり、やがて18世紀以降には二つの「セックス」が絶対的なものに。そしてその傾向の真打ちともいうべき、女性の性感をめぐるフロイトのクリトリス性愛からヴァギナ性愛への成熟説。セックスについての広範な展開にS・J・グールド氏も大絶賛!
  ヴィクトリア時代の性差の科学
女性を捏造した男たち
シンシア・イーグル・ラセット
上野直子=訳 富山太佳夫=解題
A5判/上製 312頁 1994.5
定価 本体3200円+税  [注文]
「女性は肉体、精神ともに男性よりも劣る」「女性は進化論的には未発達の男性である」‥‥。女性への偏見の度合いが劇的に頂点に達したヴィクトリア時代。当時の科学者は最新の学問の成果を駆使して、女性が男性よりもっていることを証明しようとした。おぉ、なんという虚妄!
  [性差の科学]の偏見とレトリック
ジェンダーの神話
アン・ファウスト=スターリング
四六判/上製 384頁 1990.5 池上千寿子+根岸悦子=訳
定価 本体2816円+税   [注文]
有能で慎重な科学者たちが、性差の研究となると間違いをしがちになるのはなぜ? 女性は生まれつき情緒不安定、男性は攻撃的‥‥「科学」の名の下に定説とされてきた数々の神話。混沌に満ちた性差の科学を著者が科学者かつフェミニストの視点から、
  [女と男]の科学最前線
セックス&ブレイン
ジョー・ダーデン=スミス+ダイアン・シモーヌ
池上千寿子+根岸悦子=訳
四六判/上製 376頁 1985.9
定価 本体1900円+税  [注文]
『話を聞かない男、地図が読めない女』などで話題の、脳の性差。著者曰く「男と女はちがう。いろいろな点で想像以上に。この相違を否定することは、自然と人間の注目すべき遺産に目をつむることになる」と。ならば新しい男女の科学を予告してもらおう!
  共に生きる世界へ
リプロダクティブ・ヘルスと環境
上野千鶴子+綿貫礼子=編著
土井たか子+長沖暁子+M・ミース+鶴見和子ほか
四六判/上製 272頁 1996.12
定価 本体2400円+税  [注文]
チェルノブイリ、添加物など、数知れない環境汚染が深刻化。人体という「内なる環境」の汚染も例外ではなく次世代の生命にまで受け継がれている。「リプロダクティブヘルス」(性と生殖に関する健康)を地球生命系の観点からとらえ直し将来世代とも生き合う社会のあり方をさぐる。


■もっとジェンダーについて知りたいあなたに■
  性のアナーキー
E・ショウォールター
みすず書房
文芸作品や絵画にまつわるジェンダー論を中心に、世紀末の性の危機を浮かび上がらせ、性の新たな可能性を見据える。

差異の政治学 
上野千鶴子
岩波書店 
フェミニズム研究の第一人者による、ジェンダー、セクシュアリティ、女性史など基本的な論点についての最新の考えをまとめた論集。

女性たちのアイルランド 
大野光子
平凡社
国民投票で二代つづけて女性大統領を選出したアイルランド。古代ケルトの文化の伝統から、カトリックの因習、独立問題、現代の文学・大衆文化まで、アイルランドの精神史を「女性」という観点から改めて問い直す。

ジェンダーがわかる。(アエラムック78)
朝日新聞社
ジェンダーをやさしく解説。さまざまの意見、インタビューに触れ、社会によって決めつけられた「女/男らしさ」や性的役割について考える。




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