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『新天文学』週刊読書人にて金子務氏書評


新天文学


2013年11月に刊行したケプラー『新天文学』に、早くも1月24日付 週刊読書人に、科学史家の金子務氏が書評してくださいました。『宇宙の神秘』『宇宙の調和』を合わせた三部作原典完結を「一つの事件である」と。

大転換をもたらした証言の書 「天円」固定観念の対して

…ついに今回、惑星楕円軌道の発見(第一法則)と面積速度一定の法則(第二法則)を含むもっとも生産的なプラハ時代の記念碑『新天文学』(1609年)全70章が原典訳の日本語で揃った。一つの事件である。
 円が不生不滅の完全な天上界の表象であり、直線が生成消滅の不完全な地上界のそれと言われて2000年。長きにわたる西欧思想史の「天円」固定観念は、二段構えで突き崩された。まずティコ発見の新星が恒星であるはずだが、数ヶ月輝いて消滅し、恒星天球の不安定さを露呈した。さらにケプラーが火星軌道の計算結果から楕円形軌道を突きつける。この大転換をもたらした証言の書なのである。

…岸本良彦氏の適切な注と解説も訳書の紙価を高めている。
 序文以下全600頁余。熟読すれば、ケプラーによるティコ毒殺説は噴飯もので、二人にはクールな信頼関係のあったことがわかる。死の床でティコは、「私がコペルニクス説に与しているのを知りながら」(第六章139頁)、ティコの体系ですべてを総合的に論証することを求めた。…ケプラーはティコの科学的態度を評価し、火星軌道決定にその精緻な目視観測データが使える点に感謝する。ティコの遺族に観測資料の保管を許されたのも、ケプラーへの信頼の証であろう。…


「日経サイエンス2014年2月号」でも、「現代物理学の夜明け前を知るうえでも貴重な一冊」と紹介していただき、よいパブリシティが続きます。




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