11月の新刊『しめかざり』
こんどのお正月、どんなしめかざりを飾りますか?
11月の新刊は『しめかざり——新年の願いを結ぶかたち』。著者の森須磨子さんが全国を訪ね歩き、「飾りのない」しめかざりの姿=わらでつくられた「素のかたち」の美しさ、そしてそこに込められた土地の祈りと願いをひも解きます。
1章(100頁)はオールカラーで、鶴、宝船、海老などの5系統の形を紹介。英文解説もついた美しいビジュアルページです。2章は20年近く続く年末年始のしめかざり探訪の旅から山形・埼玉・香川・福岡を抜粋。軒下に気になるしめかざりを発見して即取材、作り手たちとの交流や、しめかざりに込められた土地の願いを綴ります。3章はしめかざりの構造や飾りについての解説。
この1冊でしめかざりのほぼすべてがわかる決定版。しめかざりの本は、著者が書いた絵本『しめかざり』(福音館・たくさんのふしぎ傑作集/2010年刊行)くらいなので、画期的な本です。
発売は11月上旬、A5判上製、200頁(カラー124頁)、本体2500円。どうぞお楽しみに。
鶴(大分県由布市)「1章しめかざりのかたち」より
■目次より
図解:「しめ縄」から「しめかざり」への造形的展開玄関用しめかざり形態分布地図
1章 しめかざりのかたち
宝珠[広島・宮城・長野]打出の小槌[長野]
松竹梅 [京都]
鶴[大分・福岡・熊本・鹿児島]
宝船[徳島・秋田]
俵[山形]
海老[鳥取・京都・新潟・千葉]
蛇[滋賀・岐阜]
杓子[愛媛]
馬[三重]
鋏[静岡]
懸の魚[香川]
お顔隠し[群馬]
七五三縄[長野]
おっかけ[広島]ほか・・・・・・5系統の
しめかざりの〝素〟の姿を写真付で紹介
2章 しめかざり探訪
山形:稲作の苦難の歴史を超えて「俵じめ」に新年のエネルギーを蓄える埼玉:旧家の家長が代々受け継ぐ、あたりまえの「正月準備」
香川:漁網を持つ手で稲藁を綯い、大漁と安全の願いをこめる
福岡:島の鶴、街の鶴 自在に舞い、南の土地を寿ぐ
3章 しめかざりを知る
構造:綯い、作り、飾る・・・・藁の縄目に思いを込めて装飾:扇・橙・海老・譲葉・・・・装飾それぞれにも意味が宿る
これまでとこれからの道:人、土地、時間を結び、しめかざりはこれからも引き継がれる
飾られた宝珠のしめかざり(長野県上田市)「1章しめかざりのかたち」より
■著者紹介:森 須磨子(もり・すまこ)
1970年、香川県生まれ。武蔵野美術大学の卒業制作がきっかけで「しめかざり」への興味を深めてきた。同大学院造形研究科修了、同大学助手を務め、2003年に独立。グラフィックデザインの仕事を続けながら、年末年始は全国各地へしめかざり探訪を続ける。本書の収録写真もすべて著者による撮影。著書に、自ら描いた絵本・たくさんのふしぎ傑作集『しめかざり』(福音館書店・2010)がある。
2015年には香川県高松市の四国民家博物館にて「寿ぎ百様〜森須磨子しめかざりコレクション」展を開催。「米展」21_21 DESIGN SIGHT(2014)の展示協力、良品計画でのしめ飾りアドバイザー業務(2015)。2017年は武蔵野美術大学 民俗資料室ギャラリーで「しめかざり〜祈りと形」展(10月16日〜11月18日)、かまわぬ浅草店「新年を寿ぐしめかざり」展(11月23日〜12月5日)開催予定。