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西欧デモクラシーの哲学的伝統[詳細]

目次著者紹介関連図書



凡人による健全なコミュニティへ

「万学の祖」と呼ばれるアリストテレスは、哲人王による統治を主張した師・プラトンに逆らって、庶民による庶民のためのデモクラシー確立のために有用な道具を用意してくれていた! ヘシオドスの農事詩、ヘーゲルの政治論、マルクスの社会論、パースの批判的常識主義、フッサールの認識論、ハイデッガーの存在論……などを語根や図表を駆使しながら評価・検討し、日本のデモクラシーの向かうべき道を指し示す。国寿(92歳)の著者が生い立ちを振り返りつつ書き下ろした批判的エッセイ。




■目次

1 筆者の素性からお話します
2 この書はデモクラシー擁護のために筆者の持つ全能力を動員して書かれたものです。そしてその先達として先ずアリストテレスを選びます
3 アリストテレスの哲学の本音は存在論でなしに農業労働論だといえます
4 アリストテレスの哲学は労働の哲学だけで終るものではありません。人間の労働には目的というものがあるからです
5 アリストテレスの国家論のもう一つの柱はコミュニティ全員の幸福を目ざす共同体の考えだといえます
6 アリストテレスの国家論には致命的な欠陥があります。つまり彼の国家論は存在論であり, 義務論ではないからです
7 アリストテレスのデモクラシー国家論には国民の軍役についての議論が抜け落ちています
8 以上で本論を終えることにしまして, これからは余論に入ります。
余論:その一 アリストテレスのデモクラシー国家論に対する強力な対立思想がでてきました。そしてそれが社会(society)という奇妙な存在です
9 余論:その二 相互性(mutuality)と共同体(community)とは似たことばですが峻別しなければなりません
10 余論:その三 mercantile(商業本位的)のほうがmutual(相互的)よりもっと反国家的です
11 余論:その四 デモクラシーに至る健全な哲学はアリストテレスの哲学の中に潜んでいます
12 余論:その五 ドイツの著名な哲学者ハイデッガーについての感想を,アリストテレスを参照しながら述べてみます
13 余論:その六 ハイデッガーの師匠筋に当るフッサールについても述べさせていただきます
14 最終章 六つの余論を述べた後に再び本論にもどります。西欧ではデモクラシーの哲学者としてアリストテレスが最初の人物ですがその真意はなかなか読みとられず,それどころかねじ曲げられた哲学が現れました
15 あと書きとして デモクラシーの支えとなる近代哲学としてはアメリカの哲学者パースの批判的常識主義がもっとも強力です



■著者紹介

山下正男(やました・まさお)

1931年生まれ。京都大学人文科学研究所名誉教授。主な著書に『新しい哲学:前科学時代の哲学から科学時代の哲学へ』(培風館 1967)、『科学時代をどう生きるか:科学と科学でないもの』(講談社現代新書 1967)、『論理学史』(岩波全書 1983)、『論理的に考えること』(岩波ジュニア新書 1985年)、『思想としての動物と植物』(八坂書房 1994)、『思想の中の数学的構造』(ちくま学芸文庫 2006)など。主な翻訳書に、ショルツ『西洋論理学史』(理想社 1960)、カント『前批判期論集 第Ⅰ』《カント全集2》(理想社 1965)、W.C.サモン『論理学』(培風館 1967)、『パース 論文集』《世界の名著 48》(中央公論社 1968)、 W.v.クワイン『論理学の哲学』(培風館 1972)、ライプニッツ 『中国学』《ライプニッツ著作集 第I期10》(工作舎 1991)、 『図解き 論理学哲学史逍遥』(工作舎 2020)などがある。




■関連図書(表示価格は税別)

  • 『図解き 論理学哲学史逍遥』 定価 本体2400円+税
  • 『ライプニッツ著作集』第I期全10巻
  • 『形而上学の可能性を求めて』 定価 本体4000円+税
  • 『寛容とは何か』 定価 本体3200円+税
  • 『モナドから現存在へ』 定価 本体4000円+税





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