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生 き て い る 地 球 = ガ イ ア |
■ガイア理論(ガイア仮説) ラヴロック博士が提唱した科学理論。 バクテリアから人間にいたるすべての生命と、大気や海洋などの環境とが一体となって、機能し進化している地球。博士はこの地球の姿を動的に「ひとつの生命体」として捉え、ギリシア神話の地母神の名をとって「ガイア」と呼んだ。「ガイア」は、ディープエコロジーの端緒を開き、フロンやCO2問題などの地球環境を考えるためのキーワードとして広く浸透している。 |
■J.ラヴロック:James Lovelock | ▲ |
1919年生まれ。マンチェスター大学で化学を修め、ロンドン大学で生物物理学の博士号を取得、衛生学、熱帯医学においても博士となる。オックスフォード大学名誉客員研究員。イギリス南西部の田園地帯の自宅をベースに研究活動を続け、フリーの科学者という立場を貫く。61年からNASAのコンサルタントとして火星の生命探査計画に参画したことが、「ガイア理論」誕生の契機となった。また、研究資金の大半を発明収入でまかなっており、環境分析に革命をもたらした電子捕獲検出器(ガスクロマトグラフィー)の発明者でもある。この検出器で大気中のフロンを測定し、フロンによる成層圏オゾン破壊説が提唱されるきっかけをつくった。こうした活動が認められ、97年、地球環境問題解決への功労者に贈られる「第6回ブループラネット賞」(旭硝子財団)を受賞。 |
■関連情報 | ▲ |
森毅氏が『地球生命圏』『ガイアの時代』を「スローライフを謎とくヒント」として紹介 ラヴロックのガイア仮説については、イメージだけがひとり歩きしている気がしている。ついアニミズム感覚と共鳴しかねないし、ファンタジーを含めての癒しの気分にもつながるが、実際はもっと理知的で、むしろヒューマニズムとさえ言える面を持っている。人間よりもガイアを取るのがラヴロックの立場なのだから。 彼がガイア仮説を唱えたのは三十年も前だし、『地球生命圏』(工作舎)が本になったのでも、二十年以上も昔。 地球の歴史を考えるのには、十億年が単位、十分間が人間の生命を断つことがあるように、百年間が地球の生命を断つことだってないわけではないにしても、やはり長い歴史のなかで地球を考えるよりないだろう。彼の解釈の論拠が十分とは思わないが、地球という生命圏(ガイア)の流れが、生物学的な微妙なバランスで成立する謎であることは確実。たとえば、海のなかの塩、空気のなかの酸素は、なぜ今のような均衡を続けられるのか。 それから十年ほどして出たのが『ガイアの時代』(工作舎)で、これはガイア仮説というよりガイア理論の開示。そのころ、数理生態学やシステム工学、ひろくいうなら情報学にそれなりの関心があったぼくには、こちらのほうが面白かった。当時の情報学の問題意識に近かったし、デイジーワールド(※)のコンピュータによる物理生態学モデルも魅力的だった。それからまた十年以上たって、ぼくも大学を離れて情報学への関心も薄れたが、それだけにかえって、この十年が気になる。 環境学が話題になっているが、どうもそれが世間の大勢で流れている気がしている。ラヴロックだって、エコロジストとしてなら異端。異端を抱えこむのが、ガイアの生命であって、人間のほうの大勢で流れてはつまらない。 森 毅(もり・つよし) 評論家。京都大学名誉教授。1928年東京都生まれ。大阪育ち。東京大学理学部数学科卒業。北海道大学助手、京都大学助教授を経て71年に教授に。91年に退官してからは、自称フリーターとなり、『朝日新聞』の書評(終了)をはじめ、「隠居」の立場から鋭い評論を発し人気を得る。著書は、『快食・快便・快読』(青土社、92年)、『ゆきあたりばったり文学談義』(日本文芸社、93年)、『ボクの京大物語』(福武文庫、95年)など多数。 (※)ガイアの思想の中にあるモデルケースで、仮想惑星に黒色から白色まで明度の異なるヒナギク(daisy)が生育するだけで環境条件が創造的に制御されることを示したシミュレーション手法のこと。現在、国際的に使われる大規模な気候予測モデルケースなどに使用されている。 「本の万華鏡“スローライフを謎とくヒント”」(『CEL』2002年9月号 大阪ガス エネルギー文化研究所発行) 2002年9月7日 ラヴロック博士『未来への教室』に登場! 『地球生命圏』『ガイアの時代』の著者ラヴロック博士が、9月7日(土)NHK教育『未来への教室』に出演。「いのちある地球に生きる」というテーマを子供たちと共に考えます。放送は夜8時から(再放送:9月14日11時) ◎2001年秋「ガイアシンフォニー第四番」完成 ガイア説に触発されてつくられた映画「地球交響曲(ガイアシンフォニー)」第四番は、ついにラヴロック博士が出演。多くの人々の共感をよびました。 ガイアシンフォニーHP ◎ラヴロック博士のインタヴュー「news23」で放送 2000年12月25日(月) 2000年最後の「news23」の特集は手塚治虫。手塚マンガをとおして20世紀の科学の進歩をふりかえり警鐘を鳴らすというもの。 「地球は生きている」という『火の鳥』のなかの台詞からラブロック博士につながり、2つのインタヴューを交えてガイア理論が紹介されました。 一つは、草野満代アナがイギリス・コーンウォールのラヴロック博士の自宅を訪ねてのインタヴュー。 博士が自然を守るために買い取った広大な土地を二人で歩きました。 もう一つは、筑紫哲也氏が来日したラヴロック博士に行なったインタヴュー。 「地球交響曲(ガイアシンフォニー)」の監督、瀧村仁氏への取材もあり、映画公開への期待が高まります。
[来日の足跡]
・11月27日 草月ホール(東京・赤坂) |
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