人形浄瑠璃文楽 外題づくし
[詳細]
勘亭流文字の美しさは比類なく、今の時代を生きている
……ドナルド・キーン
人形浄瑠璃文楽は、耳で聞く語り物音楽の「浄瑠璃」と、
視覚に訴える「人形」の二つが結びついて発達した、いわば総合芸術である。
江戸時代初期から今日にいたるまで、脈々と受け継がれてきたその芸術表現において、重要な役割を担っているのが「文字」の存在。
人形浄瑠璃文楽にまつわる「勘亭流文字」は、決して古びることなく、
また変わることなく、番付等に掲げられる外題(げだい/タイトル文字)や、
語り手の太夫が使用する床本(ゆかほん/テキスト文字)として、現在を生きている。
本書は、文楽勘亭流の第一人者・北浦皓弌(きたうらこういち)が書き下ろした全152の外題(国立劇場・国立文楽劇場の公演プログラムを網羅)とともに、初演記録、あらすじ、見どころ等の解説を収録。
さらに、平成11年(1999)公演から平成26年(2014)公演まで、北浦皓弌が書いた「一枚番付」全120枚を再録。
文楽上演史を「文字」でたどることができる文楽ファン必携の書となっている。
第1部 人形浄瑠璃文楽 外題・段名一覧
赤い陣羽織
[あかいじんばおり] /
明烏六花曙
[あけがらすゆきのあけぼの]/
浅間の殿様
[あさまのとのさま]/
芦屋道満大内鑑
[あしやどうまんおおうちかがみ]/
伊賀越道中双六
[いがごえどうちゅうすごろく]/
生玉心中
[いくだましんじゅう]/
石の花
[いしのはな]/
伊勢音頭恋寝刃
[いせおんどこいのねたば] 等
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第2部 一枚番付一覧 (平成11年7月公演〜平成26年5月公演)
一枚番付一覧より/クリックするとpdfに移動します
第3部 番付を読む・番付を書く
番付逍遥 高木浩志
[インタビュー]文字は生きている 文楽勘亭流・北浦皓弌
人形浄瑠璃文楽 段名索引
跋 北浦皓弌さんのこと 鳥越文蔵
『菅原伝授手習鑑[すがわらでんじゅてならいかがみ]』より松王丸/吉田玉男
(国立文楽劇場にて© 滝澤めぐみ)
■監修:鳥越文蔵(とりごえ・ぶんぞう)
昭和3年、長崎県生まれ。早稲田大学大学院修了。早稲田大学名誉教授。元早稲田大学坪内博士記念演劇博物館館長。特定非営利活動法人 人形浄瑠璃文楽座名誉顧問。近松門左衛門の浄瑠璃を中心に、能、歌舞伎等、伝統演劇の研究を行う。主な編著書に、『虚実の慰み 近松門左衛門』(新典社)、芸術選奨文部大臣を受賞した『元禄歌舞伎攷』(八木書店)、『岩波講座 歌舞伎・文楽』(岩波書店)などがある。
■企画・編集:特定非営利活動法人 人形浄瑠璃文楽座
「太夫、三味線、人形の技芸を具体的に指導普及し、人形浄瑠璃の発展をはかり、わが国の文化振興に資する」ことを目的に組織され、2002年6月、大阪府より特定非営利活動法人の認可を受託。現在、人形浄瑠璃文楽座技芸員の有志45名で運営。人形浄瑠璃の技芸および教養の向上のための講習会の開催、会報および人形浄瑠璃文楽に関する出版物の刊行ほか、幅広く振興事業を行っている。
■文楽勘亭流:北浦皓弌(きたうら・こういち)
昭和10年、大阪府大阪市生まれ。三代続く本染め暖簾屋の「北浦染工場」を営むかたわら、文楽勘亭流文字の書き手として、国立劇場・国立文楽劇場の平成11年7月公演から平成26年5月公演までの一枚番付を書き下ろす。
■第3部 番付逍遥:高木浩志(たかぎ・ひろゆき)
昭和13年生まれ。文楽研究家、元NHKプロデューサー。平成18年、大阪市から文化功労者として表彰。平成26年、文楽劇場30周年を期に、功労に対し感謝状を授与される。主な編著書に、『文楽入門』(文藝春秋)、『文楽のすべて』(淡交社)、『文楽に親しむ』(和泉書院)、『四代越路大夫の表現』(淡交社)、『義太夫年表 大正篇』(「義太夫年表 大正篇」刊行会)などがある。
本書の出版にあたり日本万国博覧会記念基金事業による助成金を得た。