ジェンダーは科学を変える!?[詳細]
Has Feminism Changed Science?
ジェンダーの視点から科学の新しい可能性が見えてくる
女性は違ったやり方で科学をするか? 科学は公正中立か? 教育の機会はジェンダー・フリーか? 家事と育児は誰がするのか? 数学にジェンダー・バイアスはかからないか? 科学のフィールドから 女性が排除される社会的・文化的背景を 徹底的に洗いだし、 ジェンダーの視点から新しい科学の可能性をさぐる。
■目次より |
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第一部 科学における女性
第一章 ヒュパティアの伝統女性科学者の系譜
第二章 平等の計算
異文化間の比較/女性の土着の知識/論文生産数/被引用度/実地調査
第三章 パイプライン
教育の機会はジェンダー・フリーか
第二部 科学文化におけるジェンダー
第四章 文化の衝突科学のジェンダー化/イメージの意味/専門職の文化における女性/競争、科学、そしてスポーツ
第五章 科学と私的生活
家事と育児は誰がするのか
第三部 科学内容のジェンダー
第六章 医学歴史/生物医学モデルの訂正/共同体モデル/何が成功をもたらしたのか
第七章 霊長類学・考古学と人類の起源
霊長類学/人間の進化/考古学
第八章 生物学
言語論的解読/構築原理としてのジェンダー/学問分野
第九章 物理学と数学
物理学はハードか?/物理学と軍部/数学と女性の脳
むすび
学問世界/ジェンダー分析の道具/政府の動き/社会と文化
付表 1◎自然科学の各分野における女性博士号取得者分布/2◎民族別女性博士号取得者分布
■関連図書(表示価格は税別) |
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■書評 |
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●「ジェンダー 生と性を考える50冊」に紹介
(神田外語大学異文化コミュニケーション研究所編/神田外語大学付属図書館 2006.3.31発行)
ジェンダーの立場から「科学」を再検討する
…ジェンダーと科学についても様々な分野で研究されてきたが、著者はこれらの研究がジェンダーの問題解決にあまり活かされてこなかったと述べている。研究成果の多くは自己満足的な研究のための研究だったのかもしれない。…著者は今までの研究論文を総括的に分析することで、歴史や文化などを含めた広い視点で問題を明確にし、分かり易い言葉で解説している。…
●『We learn』2002.11月号(日本女性学習財団発行)紹介
『科学史から消された女性たち』『女性を弄ぶ博物学』に継ぐ3作目は、フェミニズムが科学にもたらした有益な変化は何かという課題に取り組んだ意欲作だ。
(ヌエック女性教育情報センター・ボランティア)
●『化学史研究』2002年(29巻)第3号 西村名穂美氏
…この著作で示されたのは、科学で用いられる言語を唯一絶対的とは見なさないこと、〈異なる角度からの分析や理解の仕方があり得ると気付くこと〉の重要性であった。シービンガーが示した見解は、フェミニズム科学論に限らず、種々の分野で共有され得る問題をおそらく含んでいると言える。
●2002.7.26 週刊読書人「2002年上半期の収穫」荻野美穂氏
ジェンダーは多様な科学において理論と実践を形作るオルガナイザーとなっていることを、豊富な例をあげながら明らかにしている。
●毎日ライフ 2002.8月号書評
同一の社会的生活条件を与えられれば、女性は男性とまったく遜色ない研究業績をあげることができるだろう…。…女性への偏見は男性が歴史的に作ってきたことを多角的に論証している
●北九州市立男女共同参画センター「ムーブ」発行『Cutting-Edge』第7号(2002年6月刊)紹介
藤原智子氏(九州歯科大学生化学講座)は『ジェンダーは科学を変える!?』の概要を紹介したうえで、「細胞の生存に不可欠な基本的なタンパク質をコードしているハウスキーピング遺伝子を、著者のシービンガーが“あらゆる退屈な家事(house keeping) の遺伝子として軽視されている”としたことに違和感がある」と生化学者として直言
●『科学』2002.5月号 汐見稔幸氏書評
科学とジェンダーというテーマが、科学自体を相対化するきわめて有力な窓口だということがよくわかる好著である。科学は今、民族的、歴史的文脈によって異なって発展してよいし、むしろその方が自然である、というエスノ的な視点と、この本が示すようなフェミニズムの視点の双方から、よい意味で攻勢をかけられている。
●2002.3.17 毎日新聞 村上陽一郎氏書評
…フェミニズム嫌いの男性にも、ジェンダー問題にも関心をもつ両性にも、等しく強く推薦できる理由は、爽やかな語り口もさることながら、筆者の立脚点がしっかりとしていて、いささかのブレも見せないところからくる穏やかな説得性があるからだろう…。
●bk1ブックナビゲーター 彦坂暁氏(広島大学 総合科学部)書評
女性を排除してきた科学を、ジェンダーの視点で変革する
●2002.3.3 読売新聞 金森修氏書評
…この本はサイエンス・ウォーズという激しい論争を念頭に置いて書かれた、女性の手になるフェミニズム科学論の自己分析だ。記述は端正かつ公正で、少し大人しすぎるくらいである。ともあれ、この分野を知るための格好の教科書が出現したことを喜びたい。
●2002.3.5号 「ふぇみん」書評
…フェミニズムが科学にどのような影響を与えてきたかの分析は圧巻だ。分子生物学でのヒトゲノム批判に触れて著者は言う。「…誰にとっての科学なのか? 特定のプロジェクトから富と幸福の名で恩恵を受けるのは誰であり、受けないのは誰なのか?と」読後にも興奮が残る。