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ハンセン病 日本と世界 [詳細]

目次関連図書書評



現代に託された負の遺産をめぐる
「いのち」の旅

ハンセン病とは、
文明に突き刺さった棘(とげ)であり、
現在只今の難題であり、
未来を量(はか)るコンパスである。


いのちの檻『ハンセン病 日本と世界』p.015より
療養所の現在 いのちの檻

ドリアン助川『ハンセン病 日本と世界』p.093より
小説『あん』の顛末 座布団一枚分の居場所  ドリアン助川

伊波敏男『ハンセン病 日本と世界』p.163より
隔離と社会復帰 病み捨ての戻り道  伊波敏男

富永夏子『ハンセン病 日本と世界』p.209より
ハンセン病を撮り続けて ひとりと世界の物語  富永夏子

松岡正剛『ハンセン病 日本と世界』p.321より
違例と救済—「癩」が歴史を語っている  松岡正剛




■目次

 はじめに   ハンセン病とは

1章 いのちの出会い

 療養所の現在  いのちの檻  写真=川本聖哉
 テレビ出演での出会い  私は何も知りませんでした  サヘル・ローズ
 山下道輔さんの記録  孤高の人  黒崎 彰
 ある「語り部」の証言  怨念を消した後に  平沢保治
 桜井哲夫さんを描く   幻の泪  木下 晋
 ベトナムと熊本、療養所慰問記   遠山の金さん、恵楓園へ行く  杉 良太郎
 医療と制圧活動  いつか「らい菌」とも共生できる  湯浅 洋

2章 語りのかたち

 資料館収蔵品より  日々の道具  写真=永田陽一
 小説『あん』の顛末  座布団一枚分の居場所  ドリアン助川
 戦後ハンセン病治療史と文学  「鼻の周辺」の周辺  佐藤健太
 ライフストーリーを聞く  〈語りえぬこと〉をめぐって  蘭 由岐子
 『ハンセン病文学全集』を編む  忘れてはいけない歴史の真実がある  加賀乙彦
 愛楽園と「歌声の響」  「うた」の生まれた島

3章 こことむこう

 療養所記録写真から  隠された「共和国」
 隔離の島で生きる  ここがふるさと  中尾伸治
 隔離と社会復帰  病み捨ての戻り道  伊波敏男
 草津・湯之沢部落  病者にとっての「生きていく場所」  廣川和花
 回復者と服でつながる  ナグモ洋品店、本日も営業中  谷岡聖史
 隔離と大衆社会  伝染る恐怖をめぐる制度と人情  武田 徹

4章 世界と結ぶ

 ハンセン病を撮り続けて  ひとりと世界の物語  富永夏子
 海外取材現場から  「不可触民」になるということ  華恵
 ドキュメンタリー・ディレクターとして  〈病い〉を撮る  浅野直広
 生きた歴史・生きられる場所  中国南部の隔離村を訪ねる  岡原功祐
 日本財団とハンセン病制圧  いまだ闘いの途上  田南立也
 世界の回復者の証言・アメリカ  ハンセン病とスティグマの肖像  ホセ・ラミレス・ジュニア
  世界の回復者の証言・ブラジル  九歳の少女のひとりぼっちの旅  バルデノーラ・ダ・クルス・ロドリゲス
  世界の回復者の証言・インド  「リトル・フラワー」から  ランバライ・シャー
  国連決議と日本財団  差別の問題に世界が取組む  横田洋三
  対談・ハンセン病制圧活動をめぐって
       人類史の負の遺産に挑む  高山文彦+笹川陽平

  スティグマとしてのハンセン病
       違例と救済—「癩」が歴史を語っている  松岡正剛

アンケート
 池田清彦・菅 直人/安倍昭恵/渥美雅子/金子兜太/麿 赤兒/村上陽一郎 /湯川れい子/香山リカ/制服向上委員会(野見山杏里・木梨夏菜)

回復者による写真作品
 加藤 健/田中 栄/入江 信/伊藤秋夫/山本勝正

資料篇
 ハンセン病年譜/グローバル・アピール/世界のハンセン病の制圧状況/棄民の島/国内ハンセン病療養所・資料館マップ/ハンセン病を読む



■関連図書(表示価格は税別)

[いのちを考える工作舎の本]
  • 貢献する心 谷川多佳子+上田紀行ほか 1400円
  • 家族をこえる子育て 渥美雅子=編著 1400円
  • 子どもの神秘生活 ロバート・コールズ 3800円
  • にほんとニッポン  松岡正剛 1800円



  • ■書評

    2016.4.18 PENブログ 岡原功祐氏
    「ハンセン病【日本と世界】」という本が出版され、そこに僕が中国のハンセン病患者だった人たちが隔離されていた(る)村々で撮影したストーリーも掲載されています。元々隔離されていた(る)村なので、とんでもない場所にあったりします。ドラゴンボールに出てきそうな山を越えて、さらに川も越えて、といったような旅でした。食べるものを持って行かないといけないので、カメラと一緒に中華鍋も背負って旅をしていたのを思い出します。… 376ページ、オールカラーで、ハンセン病というテーマではあるのですが、重すぎず、暗すぎず、色々な方が色々な視点や経験から色々な文章や写真、絵を寄稿しています。…[全文はPENへ]

    2016.4.3 東京新聞 黒坂愛衣氏(東北学院大准教授)書評
    真の解決に向かって
    カラフルな本だ。ハンセン病療養所の風景やこの問題に関わった人々の笑顔のカラー写真がたくさん並ぶ。差別や隔離といった厳しい現実とともに、そこを生き抜いた回復者の生の断片や、かれらに寄り添った人々の声が紹介されている。
    例えば「自分たちが生きた証しを残したい」とハンセン病関係の資料を丹念に集め園内の図書館を充実させた男性と、その姿を撮り続けたカメラマンとの交流(山下道輔/黒崎彰)。入所者との五年越しの約束を果たし園内の舞台で「真実の拍手を受けた」と述懐する表現者(杉良太郎)。国家賠償訴訟のさなか園に入り、過酷な体験を「『恥』ではなく『被害』として」証言する入所者たちの姿を見つめた研究者(蘭(あららぎ)由岐子)。有名人も登場し全体としては明るいイメージで、未知の読者も手に取りやすいだろう。…

    2016.2.28 産経エクスプレス 松岡正剛氏「BOOKWARE」
    右の写真は平沢保治(やすじ)さんである。1927年の茨城生まれ。ハンセン病患者として国立療養所の多磨全生園に入り、回復したのちはさまざまな社会運動にかかわってきた。ごく最近では宮崎駿(はやお)さんとの対談なども果たした。『もののけ姫』はハンセン病を扱っていた。
     平沢さんに自由の効かない両手先で持ってもらったのは、ぼくが監修し執筆もした『ハンセン病:日本と世界』という一冊である。多くの執筆・対談・アンケートと図版・写真・資料を収めた最新のハンセン病ブックになっている。…[全文はSankeiBiz × SANKEI EXPRESSへ]




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