異界への旅[詳細]
めくるめく異世界探求史!
ギルガメシュの冒険、オシリス神の死と再生、黄帝の昇天、ラーマクリシュナの恍惚体験、オデュッセウスの遍歴、エノクの黙示録、ダンテの『神曲』… 古今東西の神話・伝説・宗教に見られる数多の「この世の外」の体験は、古代シャーマニズムから発する異界探求の霊魂の旅でもあった。それは、現代の体外離脱、臨死体験、幻覚剤による変性意識、そして多次元世界の研究にまで連綿と通底している。
■目次 |
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謝辞
序論
第1章 四次元探求のための歴史家の旅支度
第2章 遊離霊魂は遊離霊魂を求める…シャーマニズムの輪郭
一般人のための民族心理学/シャーマニズムとは何かシャーマニズム対シャーマニズム/シャーマニズムは魔術か?
魔術はシャーマニズムか?
第3章 暗黒の財宝……メソポタミア宗教の永世希求
不死の代価/イナンナ=イシュタルは地獄の象徴/昇天説話第4章 人形・劇場・神……古代エジプトの死後生
ピラミッドから棺柩(かんきゅう)へ/「ピラミッド・テクスト」「棺柩文」/『死者の書』
第5章 中国道教における鶴駕、霊魂飛翔、幽婚説話
食気/中国の二つの霊魂/シンガポールの霊魂飛翔台湾の幽婚説話/鶴駕の導師
第6章 心への旅……佛教と三界流転三界流転(さんがいるてん)
ヒンドゥー教における遊離魂/佛教における遊離霊魂と三界流転チベット密教の葬祭儀式/死者のためのヨーガ/民間佛教
第7章 熱狂から霊的幻視へ……古代イランの霊魂離脱
イランのシャーマニズムは存在するか?/神官キルディールの幻視義しき人ウィラーフの他界の旅
第8章 ギリシアの巫医
女神をめぐる航海/降霊術(ネキュイア)ギリシアのシャーマン、巫医(イアトロマンティス)
知られざるプラトン/科学革命/プラトン以後
プルタルコスにおける臨死体験と体外離脱体験/プロティノスの神秘主義
第9章 七つの神殿と神の戦車
……メルカーバーからカバラまでのユダヤ神秘主義
黙示録/ユダヤ教黙示録/初期ユダヤ神秘主義/グノーシスの天界帰昇初期キリスト教神秘主義/カバラ/後期ユダヤ神秘主義
第10章 惑星間旅行
……プロティノスからフィチーノに至るプラトン的宇宙周航
宇宙船(スペース・シャトル)としての霊魂/グノーシスの「偽霊魂」霊魂の車駕/近代ヨーロッパ初期の世界観
第11章 天界帰昇の極致……ムハンマドからダンテへ
初期キリスト教の天界帰昇/中世初期/イスラーム教の「昇天(ミウラージュ)」の説話十二世紀ルネサンス/『神曲』
結論
邦訳文献
原注
人名索引
■関連図書(表示価格は税別) |
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■書評 |
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●図書新聞 2022年2月26日号 佐々木啓氏書評
「飛ぶ」ことをテーマに 人間の精神活動全般を「異世界(異次元)との接触として「説明」しようとする試み
…「宗教とは何か」言い換えれば、「諸宗教の根源に共通しているある体験は何か」という宗教学の根本的な問いこそ、本書の密かなテーマである。そのことは、第2章で「シャーマニズム」が論じられていることにも垣間見られる。…
●ブックファースト新宿「名著百選」 松岡正剛さん推薦
私たちの心の中には必ずや「異界的なもの」が出入りする…
●ムー 2021年12月号 書評
全世界の主要な「異界」をほぼ網羅
「ここに集う衆庶に知らしめよう。諸氏は天国と地獄への羈旅に立たんとしている」。本書の冒頭に置かれた「頌辞」の一節である。この一節を見るだけで、本書の訳文の格調の高さ、内容の高尚さがうかがい知れるのではないか。…」→
この書評は2022年6月 星野太朗 著『月刊ムー書評大全』(青土社)に収録。