生きねばや[詳細]
ハンセン病の歴史は、悲劇と絶望の歴史であるとともに、
患者たちの勇気と希望の歴史でもある。
この物語も、我々に大きな勇気と希望を与えてくれる。
日本財団会長・WHOハンセン病制圧大使 笹川陽平
■目次より |
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第一章 故郷
第二章 東京の病人宿
第三章 天才俳句少年現る
第四章 国立療養所栗生楽泉園
第五章 『句集 獨眼』
第六章 両眼失明
第七章 紫綬褒章受章
第八章 凱旋帰郷
第九章 化石の死
■関連図書(表示価格は税別) |
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■関連情報 |
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●2023.7.23〜8.11 「魂の俳人 村越化石展」
国立ハンセン病資料館ギャラリーにて開催。ハンセン病資料館友の会主催。
〒189-0002 東京都東村山市青葉町4-1-13
電話:042-396-2909
営業時間:9:30〜16:30(月曜休館)
●2023.6.14〜27 「魂の俳人 村越化石生誕100年記念展」
『生きねばや』著者、荒波力さん企画。静岡県川根温泉近くのギャラリーやませきにて開催。
〒428-0103 静岡県島田市川根町身成3533
電話:0547-53-4545
営業時間:10:00〜17:00(最終日〜15:00)
●2023.1.5〜29 静岡県藤枝市郷土博物館・文学館 企画展「魂の俳人 村越化石」
村越化石の出身地、静岡県藤枝市郷土博物館・文学館にて、生誕100年記念展示開催。若き日の化石が俳句の研究のために使った自筆ノートや功績を称えられて、叙勲された紫綬褒章の賞状・勲章など、静岡県内初公開の資料とともに、人々の胸を打つ、化石の人生を紹介する。
〒426-0014 静岡県藤枝市若王子500
電話:054-645-1100
■書評 |
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●「現代俳句」2023年11月号 田中亜美さん書評
ヒューマニズムの原点
…「俳句のおかげで自然のありがたさ、人と人のぬくもり、生命の貴さをしみじみ感じながら生きてきました」とは故郷の人々を前に化石が語った言葉だ。本書を通じ、俳句も含めて文学とはヒューマニズムの原点なのだと改めて思った。
●月刊「俳句界」2023年7月号
大特集は「魂の俳人 村越化石」。荒波力さんのインタビューも掲載。
「…化石は俳句を詠む為に生まれて来たような人だ、という思いを強くしました。ハンセン病で群馬の山奥に隔離されましたが、化石の目は、その自然に向かっていきます。化石の句は、一木一草にも神が宿るという汎神論の色彩を次第に強めていきますが、彼の句を読んで心地良くなる秘密は、ここにあると思います。〈わが夜長森の夜長とつながれり〉。人間も自然も同じなんだよ、というこの句が私は大好きです。
また失明してからは、心眼が開け、今度は耳を通じてリズムの大切さにも気づくようになります。化石は、たった十七文字の俳句に、無限の可能性を見ていたのだと思います。普通だったらマイナスに働くことが、俳句を詠む化石の場合、すべてプラスに働いていることにも驚きました。…」
●2023.6.1 点字毎日 紹介
「療養所の俳人」の生き方
…療養所暮らしという環境の中で優れた作品を残せたのはなぜか。化石にとって俳句とは何だったのか。数々のインタビュー記事を引きながら、その答えを導き出していく。…
●「俳句」2023年6月号 名取里美さん書評
再来、村越化石
…化石が俳句と出会い、俳句によってその窮地から救済され、俳人として立ち上がっていった過程が、俳句作品、化石の言葉、俳壇における作品評などを交えながら、つまびらかに語り尽くされてゆく。ときに、小説のように状況が綴られ、読者は化石の人生に自ずと引き込まれてもゆく。…
…化石俳句に感銘し、さらに化石が苦難を経て発した重厚な言葉に、読者は鼓舞されるだろう。また、読者は、化石のあたたかな言葉に、心が洗われて清々しくもなるだろう。化石俳句を生んだ化石の精神に近づいたことが、本書の真骨頂でもあるのだ。…
…本書は村越化石の「生きねばや」の精神に近づき、あまたの示唆を与える評伝である。私は村越化石の再来を歓ぶ。
●2023.5.1 静岡新聞コラム「大自在」
静岡県岡部町の村越化石の句碑についてのコラム中に、本書への言及がありました。
「化石にとって故郷とは母親だった。句碑は大小に割れた石で、見る者に母子を連想させる。…横面に曲線的な亀裂があり、作業していたら亀裂が広がって、見かけ一対の組石となったと「生きねばや 評伝村越化石」(荒波力著、23年)は記す。」
●月刊「俳句界」2023年4月号
「私にとっての俳句革新者」として田中亜美さん(「海原」)が持田紫水とともに村越化石をあげてくださいました。
「このほど刊行された作家の荒波力氏による『生きねばや 評伝 村越化石』を読むと、闘病俳句の範疇だけにはおさまらぬ、苦難に直面した人の逡巡や葛藤、奮起や覚悟という根源的な思いがありありと感じられる。化石の本格的な評伝だ。」
●2023.4.2 静岡新聞「著者訪問」
郷土の俳人 浮き彫りに
…人生をたどる過程で最も驚いたのは、化石の生涯の師、大野林火との固い絆という。「林火は『心は病んでいないのだから、心の俳句を詠みなさい』と説き、導いた」。化石は期待に応え、当時俳壇をリードした金子兜太や飯田龍太らが一目置く「“突き抜けた”存在になった」と捉える。…
●2023.2.23 鳥取県「日本海新聞」コラム「海潮音」
ハンセン病と闘いながら俳句を作り続け〈魂の俳人〉と呼ばれた村越化石の評伝だ。…
書名となった〈生きねばや鳥とて雪を払い立つ〉は視力を失った自分自身を鼓舞しながら詠んだ句で、読者に生きる勇気を与える。
●2023.2.14 群馬県「上毛新聞」
「魂の俳人」生涯たどる
草津町の国立ハンセン病療養所「栗生楽泉園」で創作を続けた俳人、村越化石さん(1922〜2014年)の生涯を紹介する『生きねばや 評伝 村越化石』が刊行された。…
荒波さんは執筆した理由を「過酷な運命に負けることなく、ひたむきに俳句に精進して大輪を咲かせた彼(村越さん)の評伝があれば、絶望の淵に沈んでいる人たちに勇気を与えてくれると思った」としている。