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形の冒険[詳細]

アリストテレス、ダ=ヴィンチ、ゲーテ以来の形態学の伝統が、
新時代の科学を創造する武器として
現代に甦生する。
自然と人間のイマジネーションの世界を探り、
生命発生と意識進化の謎に挑戦するホワイトの代表作。
プリコジーヌ、ルネ・トム、ハーケン、ホフスタッターの登場を準備し、
21世紀へ向けた形態学ルネサンスを高らかに宣言する。



■目次より

Ⅰ 理解への模索
  宇宙の存在をめぐる謎/無知の奈落/友人の病/西洋は没落したか/無意識の知/
  発見の営み/デミウルゴスを超えて/12の概念/概念の歴史/創造の神話
Ⅱ 形態とは何か
  プロセス感覚とリズム感覚/道の形成原理を求めて/エジプトの二次元的世界/
  ピタゴラスの園で/数学的魔力/恋人たちの幻滅/時間のある世界/数学者としての神/
  〈構造〉概念の発展/構造のヒエラルキー/本書の立場/感情をよび起こすもの
 形態と構造の世界
  学問の陰謀/冒険に満ちた旅/未来の大学にて/パピリオ/生命ドラマのリアリズム/
  不調和の生/ある女の一生/世界像の個体発生と系統発生/新しい形の出現/
  トルストイの疑問/1953年に戻って
Ⅳ 原子か、全体か、未知の視点か
  機は熟したか/原子論と秩序/思想家は抗争する/スマッツの予見/二つの世界観/
  創造主の不幸な失敗/葛藤の終焉/現代構造派の長所と弱点/単純化への意志/
  科学は遊撃する/原子論と全体論の点検/構造的観点の新たなこころみ/
  物質、生命、意識/神秘的な端正さをもつシステム
Ⅴ 月の表面
  宇宙のなかの人間/混沌ではない宇宙/構造の過去/ニュートンと時間/
  20世紀のプロメテウス/銀色の羊皮紙/月のシンボリズム/天空の歴史構造/
  輝条の解読/起源を解く鍵/凍結された時間/宇宙の編年学/月と生命
Ⅵ 不可視の構造
  自然の潜在能力/時空のスケール/パスカルのコスモス/究極構造の探究/
  構造的ヒエラルキー/幾何学の果樹園/パターン・ゲーム/エスキモーの解答/
  生命と不完全性/構造の進化史/形態哲学/構造の諸法則
Ⅶ 生命とは何か
  解答を求めて/構造の変換理論/二つの破壊集団/生物学的原子論/自己複製作用/  
  生命のオーケストレーション/螺旋の発見/生命の肌ざわり/脈動の形/
  不完全で不安定な組織/生命の定義/調和への動向
Ⅷ 人間とは何か
  自分自身の理解/賢者会議/私の報告書/有機的生命力の表現/
  ホモ・サピエンスの不幸/適応を超えた行動/余剰の生命力/記憶の自立/
  抽象的分析の限界から/簡潔さの回復と知の統一/フロイトの失敗/
  無目的の目的/探検隊「人間」号
Ⅸ プラスチックな脳
  心と体の連絡/精神と脳をめぐる言語的混乱/病の問題/統一的言語への道/
  そこで何が起こっているのか/大脳プロセスの三つの特徴/プラスチックな能力/
  脳とコンピュータ/機械的モデルから有機的モデルへ/
  脳の自己秩序形成/新理論を待望する
Ⅹ 創造的存在としての人間
  創造的物質のパラドックス/タブーとしての想像力/思考の一般的特性/
  創造的活動の発生プロセス/人類史の生物学的展望/人間生物学の魅力/ 
  健全の意味/創造の〈活力〉
Ⅺ 人間の誤謬
  ヒッタイト人とニーチェ/50年後の解答に向けて/生きた科学と死んだ科学/
  思春期の誤解/科学者の領分/ペシミズムの治癒/きたるべき象徴/統合の時代/
  救済の可能性/知性の必要悪/誤謬の本質
Ⅻ 形態の神秘
  生命力を否定する西洋思想史/シャフツベリ伯爵の叙事詩より/美の源泉/
  ダンの絶望とみえない教団/タオと西洋の役割/美は形態形成力にある/
  思考様式の不条理/みはてぬイメージ
解説 L・L・ホワイト体験とその思想的意義 金子務




■著者紹介:ランスロット・ロウ・ホワイト Lancelot Law Whyte 1896-1972

イギリスのエジンバラに生まれる。ケンブリッジのトリニティ・カレッジでラザフォードに師事、物理学を専攻。ブラジル、フランス、ドイツ、オーストラリアを3年にわたり漂泊した後、ロンドン理論生物学クラブのJ・ニーダム、C・H・ウォディントン、J・D・バナールたちと交友。さらにベルリンにて理論物理学を研究し、A・アインシュタインと親交を結ぶ。1949年、自然における非対称性と対称性をテーマにした主著『生物学と物理学の統一原理』を発表。C・G・ユングやミース・ファン・デル・ローエらとの親交によって研究の幅と厚みを加え、1951年、ダーシー・トムソンの業績を記念したシンポジウム『形の全自然学』を編集出版。一連の考察により、西欧科学の還元主義的傾向への疑問を提起、W・ソープやA・ケストラーをはじめとする多くの科学者・思想家にも影響を与えた。
絶筆は『経験の宇宙』。邦訳書に『種はどのように進化するか』(白揚社、1977)がある。


■関連図書

形の全自然学 自然と芸術の形態をめぐるシンポジウム L・L・ホワイト編 2800円
個体発生と系統発生 進化の観念史と発生学の最前線 S・J・グールド 5500円
選択なしの進化 形態と機能をめぐる自律進化 A・リマ=デ=ファリア 5500円
ロシアの博物学者たち  マルサスぬきの進化論の系譜 D・P・トーデス 3800円
進化発生学  ボディプランと動物の起源 B・K・ホール 10000円
動物の発育と進化  時間がつくる生命の形 K・J・マクナマラ 4800円
ホロン革命 個と全体のシステム論 A・ケストラー 2800円
自己組織化する宇宙 自然・生命・社会の創発的パラダイム E・ヤンツ 3200円
形の文化誌シリーズ 美術から宇宙まで形に遊び・驚き・学ぶ 2000円〜2600円





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