宇宙の神秘[詳細]
Mysterium Cosmographcum
コスモロジーの聖典
宇宙とは何か?
創造性の原理と理法とは?
高貴な数、高貴な形状とは?
「近代天文学の祖」と呼ばれるケプラーの発心の動機は
形状学的問いにこそあった。
ピュタゴラス、プラトン以来
神秘主義のベールに秘されていた五つの正立体が、
コペルニクスを経由して、新たなコスモロジーを描きだす。
中世と近代、神秘と合理、芸術的創造力と科学的創造力の
未分の動態が、ここに躍動する。
■目次より |
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読者への序
第一章 コペルニクス説の正しい理由とその説の解説
第二章 本論の概要
第三章 五つの正立体が二種類に分けられる理由
および地球が正しく位置づけられている理由
第四章 三つの立体が地球のまわりを囲み、残りの二つが中に入る理由
第五章 立方体が正立体の第一のもので、
最も高所に位置する[二つの]惑星のあいだにくる理由
第六章 木星と火星のあいだに正四面体がくる理由
第七章 第二次立体の序列と特性について
第八章 金星と水星のあいだに正八面体がくる理由
第九章 惑星間の立体の配置、それにふさわしい特性、
立体から明らかにされる惑星相互の親縁性
第十章 いくつかの高貴な数の起源について
第十一章 立体の位置と獣帯の起源について
第十二章 獣帯の分割と星位
第十三章 正立体に内接しまた外接する球の計算について
第十四章 本書の第一の目的、すなわち、五つの正立体が
諸軌道のあいだにくることの天文学的証明
第十五章 距離の補正と、プロスタパイレシスの差異
第十六章 月に関する私見および立体と軌道の素材について
第十七章 水星に関する補説
第十八章 全体として見たときの、正立体から算出されるプロスタパイレシスと
コペルニクスのそれとの不一致について。および天文学の精確さについて
第十九章 個別的に見たときそれぞれの惑星に残っている不一致について
第二十章 軌道に対する運動の比はどうであるか
第二十一章 諸数値が不整合であることから何が推論されるか
第二十二章 等化円の中心から見ると惑星が一定の速さで動く理由
第二十三章 天文学より見た宇宙の始めと終わり、およびプラトン年について
ヨハネス・ケプラー年譜・参考文献
後記 幾何学精神に導かれて 大槻真一郎
索引
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■書評 |
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◎2010.6.30 紀伊國屋・書評空間 加藤弘一氏(文芸評論家)書評
ケプラーが25歳の時に出版した処女作である。この本がチコ・ブラーエに認められ、共同研究者格(実質は助手)で招かれ、ケプラー三法則の発見につながっていく。ケプラーの三法則がなかったらニュートンの万有引力の理論もなかったわけで、科学史上きわめて重要な著作である。
しかし……これは奇書である。…
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