古木(こぼく)の物語[詳細]
「大いなる木」と「人」の15編の物語
晩秋の夕陽を浴びる古木。
その姿はまるで「市井の仙人」のよう。
干ばつ、大洪水、地震、豪雪、
相次ぐ災害に見舞われ続けた一千年もの間、
傷つき耐えて、なおも共に生きる巨樹は人々の心の支え。
荘厳な杉参道に結実した歴史の偉業、篤志信の念仏者ゆかりの柿の木・・・
ときに威風堂々と、ときに素朴に平凡な姿で、ただ静かに
この世の人々の生業を見守る大いなる木の精霊たち。
日本人と木との暮し、カミ観念や信仰心を綴る十五の物語。
樹木の声が聴こえる、
人の心が観えてくる。
■目次より |
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序 木は人のおもかげ |
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■関連図書(表示価格は税別) |
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■書評 |
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●2007.12.11付 日本海新聞 書評
ページに吸い込まれそう
…木は単なる木にあらず。人に語りかけ、ときに笑い、ときに涙を見せるのである。このように直言するのは巨樹と桜に魅せられた随筆家の牧野和春さんだ。…豊かな資料や挿話が明快な文章で紹介され、読みながら体ごとページに吸い込まれそうになった。快著である。
…(須崎俊雄/文芸誌『断層』同人)
●2007.12.2 THE NIKKEI MAGAZINE 書評
…古希を過ぎた著者の、巨樹に対するまなざしが温かい。一期一会の心で各地の古木と向き合い、その体感を素直な気持ちでつづっている。30年近く全国各地の木々を見つめてきた著者だけに「巨樹の立ち振る舞いには尋常ならざる気を感じる」との言葉には説得力がある。
登場するのは新潟県上越市で風雪に耐え抜いた大杉や、埼玉県ときがわ町の大榧(おおかや)など推定樹齢数百年から一千年の木々だ。著者は歴史を重ねた樹木を通じて、その地に生きる人々の暮らしやゆかりの人物に思いをはせ、日本人の心に刻み込まれた自然を敬う心を描き出そうとしている。…(松永高幸)