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人々は古来より生命のパワーにさまざまな研究、思索、想像をめぐらせてきた。 血液が凝固して形成される胎児、 精子の中にじっとうずくまるミニチュアの人間、 豊饒への願いを込めた性器信仰。 古今東西の民俗学、文学、そして生物学を題材に、 性の営みや、肉体の力、生命誕生の神秘をめぐる、豊かなイマジネーションの世界を読み解く。 |
■目次より |
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序章 なぜ子供を産むのだろうか 1 個体の維持 2 寿命と種族保存 3 有親発生 4 男女の違いの本質は 脊椎動物の子づくり/哺乳類では 5 性は個体の相互関係の基本である 6 直立姿勢と人間の性 第1章 男と女 1 男と女の見分け方 2 男・女をあらわす言葉 ヲトコとヲンナ/ヨーロッパでは/漢字の「男」と「女」/記号 3 古典における男と女 『古事記』では/『創世記』の記事/プラトンの考え方 4 男女性器の性状:言葉の吟味 女性性器/男性性器 5 男女の違いの相対性 男でも女でもなく/男女性器は共通の形から分かれた 第2章 性器の呪力 1 性器崇拝 2 女陰呪力 女陰露呈/女陰と死 3 子安貝 女陰の象形/子安貝の多様な力/副葬される子安貝/宝貝 4 三角形 性的三角形/三角形の霊妙な力 5 桃 桃の実/桃の木 6 石棒とファロス 石棒/ファロス 7 蛇 蛇と男根/蛇のシンボリズム 第3章 とつぎと受胎 1 とつぎ とつぎをしへどり/とつぎとみとのまぐわひ/色の字形/丹塗矢 2 性的結合が暗示するもの 性行為と生成/交合と豊饒/双対神 3 性的結合と妊娠の関係 交合と妊娠は無関係だった/妊娠と交合の関係の発見 4 両性の生殖要素 精と精液/白滞と赤滞 5 腎気と腎虚 6 胎児の発育 胎児をみる/胎児の発育段階/新生児と霊魂 第4章 月のめぐり 1 月の障り ミヤズヒメ/月周期と生理周期/月経をあらわす言葉 2 月と豊饒 月と太陽/月と不死/三日月形 3 月と月経のかかわり 4 成熟のしるし 5 潮汐と出産・死亡 6 血の穢れ 赤不浄/月経血の毒性と邪性/流血の禁忌 第5章 血のつながり 1 血のはたらき 中国医学/血と乳/心臓と血流/古代ギリシア/古代インド 2 血と胎児形成 血液と精液の役割/アリストテレスの理論/血縁と血族 3 父母をさす言葉:パパ・ママは世界的幼児語 チチ・ハハの語義採集/東西文明に共通するパパとママ/母も乳房も食べものもパパ・ママ 唇音にもとづくパパ・ママ/父はpで母はmではじまる謎/オモの検討 復活願望と血・穢土/誓いと血交い/犠牲 第6章 頭と豊饒 1 頭とは何か 2 頭蓋骨崇拝 3 頭と豊饒の呪力 犠牲の首/首狩り 4 頭と生命生殖霊 生命生殖霊の座として/花と脳/還精補脳 5 くしゃみと生命 くしゃみとまじない/くしゃみの文化 6 毛と角 毛/角/勾玉 7 生命物質 脳髄・脊髄・骨髄/膝/脂肪/生命と液汁 8 生命力強化と豊饒の呪力 葬制と復活/昆虫/たまふり 第7章 受胎システムの解明 1 哺乳類の卵 2 卵巣周期と生理周期 卵胞と排卵/黄体 3 精子の発見 4 発生をめぐる仮説 前成説と後成説/卵子論と精子論/胚葉説─後成説の確立 5 細胞としての卵と精子 卵も精子も生殖細胞/受精過程/卵形成と精子形成 男女同数になる仕組み/卵割と分化 |
■著者紹介:碓井益雄 Masuo
Usui |
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1911年、朝鮮京城(現韓国ソウル市)に生まれる。東京帝国大学理学部動物学科卒業。動物実験発生学専攻。理学博士。1974年、東京教育大学理学部教授を定年退官。 著書は『動物の発生』、『文化史の中の科学:生命観と宇宙観の歩み』、『動物の左右性をさぐる:生命への模索』、『霊魂の博物誌:原始生命観の体系』、『蛙』、『イモリと山椒魚の博物誌』など多数。訳書にウォディントン『生命の本質』、ブルーワー『脳と脊髄』、エーアリックほか『地球市民のための生物学序説』(いずれも共訳)などがある。1997年永眠。 |
■関連図書 |
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・イモリと山椒魚の博物誌 本草学、民間信仰から発生学まで 碓井益雄 2900円 |
■書評 |
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◎西村三郎氏(『日本経済新聞』1994年5月29日) 「……もとより、ポルノ的な内容の書物などではない。さながら万華鏡のように多彩で変化極まりないこの世界を、著者は、専門である生物学はもとより、古今東西の民族学・神話・宗教・科学史などなど、あらゆるジャンルの資料を駆使しつつ、読み解いていく。 イザナキ・イザナミ神話、豊穣への願いを込めた性器信仰、生殖霊の座としての脳、精子のなかにうずくまるミニチュア人間、血液がおどろおどろ凝固して形成される胎児……。生命と生殖のパワー、そして人間の性と個体の発生をめぐって、古来ひとはいかに多くの夢想と願望、妄説と呪術を展開してきたか、いまさらながら驚かされる。 長年にわたって大学で動物発生学の研究にたずさわってきた篤学の士である著者の、その博学ぶりはつとに定評がある。読者は本書からそれを如実に感じとるにちがいない。 ちなみに本書は、著者若き日の協同研究者だった夫人に献じられている。傘寿を過ぎてなお旺盛な著者の知的関心・好奇心もさることながら、こうして成った本書は、一組の男女の、こまやかな夫婦愛の記念碑とも称せよう」 |
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