工作舎ロゴ 書籍解説

HOME > 書籍 > ジャンル一覧新刊一覧 > 恐竜解剖/基本データ




恐竜解剖[詳細]
Dinosaurs, Spritfires, and Sea Dragons

目次内容より著者紹介関連図書書評


走る・飛ぶ・泳ぐ

中生時代爬虫類について、
かつてないすばらしい物語を聞かせてくれる

スティーブン・ジェイ・グールド

1億5千万年もの間地球に君臨した恐竜は、6500万年前に姿を消し、骨のみが残されました。骨だけをみてゾウが長い鼻をもち、多くの時間を水に浸かって過ごすとはだれが想像できるだろう? 絶滅動物に関する知識も同じレベルだ。
ゾウやキリンなど現生生物の構造や機能を理解することによって、はじめて恐竜も理解できる。
また、建造物のI型鋼から竜脚類の骨の構造を、スピットファイヤー(第2次大戦中の英国の主力戦闘機)の翼の形から翼竜の翼を理解することもできる。
生物学、技術工学からの援用で恐竜の全貌を解明する、恐竜本の決定版!




■目次より

序章  恐竜、胸ときめく「爬虫類の時代」
第1章 骨と歯の材料科学
 古生物学者の道具/柱と梁について/骨の特性/軟骨、靭帯、腱のヤング率
第2章 第一資料「化石」
 「タフォノミー」の再興/負傷と病気による骨の変化/軟部の解剖学的構造
第3章 脊椎動物の骨格
 骨格の保守的傾向/歯の磨耗パターン
第4章 恐竜の骨を読む
 標本、ハドロサウルス/姿勢と骨格と歩行スタイル/トサカの謎を解く
第5章 大きさの問題
 最大の現生陸上動物、ゾウの場合/キリンと血圧/巨大であることの意義
第6章 内温性と外温性
 恐竜は温血だったか!/代謝、内なる炉/動物たちの体温調節法/恐竜内温性説
第7章 脳と知力の関係
 脳の大きさとその読み方/恐竜には脳がふたつ?
第8章 魚かトカゲか
 メアリー・アニングの発見/「魚かトカゲか」の研究略史
第9章 遊泳のメカニズム
 流れと抵抗/流線型の効果/魚類の体形と機能/マグロ型とサメ型
第10章 海の竜たち
 魚竜たちの水中の生活/妊娠か共食いか/三畳紀の魚類たち/ジュラ紀/白亜紀
第11章 翼のある怪物
 ジェット戦闘機のごとき翼/コウモリに似ている!/二足歩行と硬い翼/
 メッサーシュミットとスピットファイアーの場合/巨大飛行装置、プテラノドン
第12章 漸次の衰退か、瞬時の絶滅か
 地球に何が!/衝突か火山か、その物理的な証拠/一時代の終焉



■内容より

  • ゾウは頭部が大きいが、その頭蓋骨自体は軽い。頭部の支えを軽減するため、骨の内部に多数の空洞があるからだ。同じことがティラノサウルス類にもみられる。
  • 高い樹木の若葉を食べたり捕食恐竜から身を護るために、竜脚類が後肢で立ち上がったとする説がある。血圧の問題だけからしても斥けるべきだ。
  • 竜脚類は自分の体以外に支点がないため、長い頸や尾を地面から離しておくだけでも大変なはずだ。だが、尾が緩やかに湾曲して地面に近づく箇所に椎骨の癒合があり、尾の大部分が地面から浮いていることがわかった。
  • サメ類、クジラ類など尾のアスペクト比(長さの幅に対する比率)が高く、体が流線型の遊泳動物を「マグロ型」と呼ぶ。ジュラ紀、白亜紀の魚竜はマグロ型の体型を示し、高速の巡航に適していた。
  • 翼竜はコウモリのように皮膜状の翼によって飛行する。コウモリが地上では四足でぎこちなく歩くのに対し、翼竜は二足歩行ができた。
  • 始祖鳥はカラスほどの大きさで羽根と長い尾があるため、裏庭で見かけたら鳥だと思うだろう。だが骨格は獣脚恐竜のものだ。実は鳥の胎児も同じ骨格をもつ。



  • ■著者紹介:クリストファー・マクガワン Christopher McGowan

    「最良の恐竜展示」の一つといわれる、カナダのトロントにあるロイヤル・オンタリオ博物館で、古脊椎動物学部門の学芸員を務める。トロント大学の動物学教授。初の邦訳となった本書のすぐ後に、『チキンの骨で恐竜を作ってみよう』(青土社)が刊行。専門は魚竜類。現在は家族とともにオンタリオ州オーローラに暮らす。




    ■関連図書(表示価格は税別)

  • チキンの骨で恐竜を作ってみよう C・マクゴーワン(=マクガワン) 青土社 2200円
  • 恐竜の力学  R・M・アレクサンダー 地人書館 2400円
  • 恐竜異説  R・T・バッカー 平凡社 4175円
  • 恐竜の博物館  レノルほか 青土社 3301円
  • アメリカ東海岸の恐竜たち  ワイシャンベルほか 青土社 2600円
  • がんばれカミナリ竜 上・下  S・J・グールド 早川書房 各1900円
  • 大絶滅  D・M・ラウプ 平河出版社 2400円
  • 絶滅野性動物の辞典  今泉忠明 東京堂出版 2816円
  • レッドデータ プランツ 宝島社 2980円



  • ■書評

    AERAムック「恐竜学がわかる。」の「ブックガイド50冊」
    魚竜について3つの章をさいているのがいかにも魚竜の専門家であるマクガワンらしい。



    ALL RIGHTS RESERVED. © 工作舎 kousakusha