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生命潮流[詳細]

解答が見つからないといって神秘主義的なまじないや神々などに救いを求めたり、
絶望したりすることはないと思う。
私はかえって矛盾に充ちたわれわれの自然界に対して強い誇りをもつ。
昔から疑問のあった問題に対しては、新たな、より有意義な問いかけをする決意を抱き、
われわれが神秘に充ちた奥深い宇宙の一部であるということに変わらぬ驚嘆と歓喜を感じるのである。

ライアル・ワトソン(序文より)



■目次より

序文 潮流のながめ:来たるべきものの予感

第1部 生命の水際
第1章 種子:宇宙進化の渦中で
    呼吸する宇宙/生命を育む星間雲/
    彗星のヒッチハイカー/インフルエンザの謎
第2章 土:地の計画
    複製と誤差の条件/生命の鋳型、粘土/
    生命のプログラミング/大地の記憶
第3章 花:生命の開花
    まず生命にマントを/遺伝子の戦略/
    生命の共生者たち/夢見るミトコンドリア


第2部 意識の源流をたどる

第4章 感じる:ミクロの自己
    何がヘレンをそうさせたか/細胞間認識システム/
    自己認識と社会行動としての免疫/脊椎動物の形態関数
第5章 考える:オーガニズムの中の自己と他者
    雷雨、アリの巣、脊椎動物/内なる他者の声と脳の進化/
    遺伝子王国の攻防/コンティンジェント・システムの波頭
第6章 知る:脳の進化と自己
    進化の途上で/脳の二分化から/
    「100匹目のサル」が出現するとき/フロイト、ユング、そして……


第3部 精神圏の潮汐
第7章 うねる:意識
    自然淘汰説を超えて/コンティンジェント・システムの抗争と和解/
    異種間交信を成り立たせるもの
第8章 流れる:無意識
    なぜ眠るのか/睡眠と夢の自然史/
    夢みられる生命/夢と白日夢の知恵
第9章 交わる:集団的無意識
    脳が選択するリアリティと幻想/集団的幻影体験の背後/
    信心の進化生物学/時代を映す集団的無意識の元型

第4部 新たなる生命神話の波頭
第10章 招来:過去がよみがえる
    催眠術が明かす無意識世界/進化史探訪/
    精神の二層構造とトランス論理/複重の意識と複重のリアリティ
第11章 喚起:立ちあがる現在
    母子の共生関係とテレパシー/誰の声を聴いているのか/
    超常現象解明への新しいアプローチ/オーガニズムの共感/生命潮流の四原型
第12章 創造:未来を創る
    概念が受精する/科学探究における同時性(シンクロニシティ)/
    種の集団的無意識/そして生命は進化する……

エピローグ 潮流の行方:流を顧みて





■著者紹介:ライアル・ワトソン Lyall Watson 1939-

東アフリカのモザンビークに生まれる。ケニア、ナイジェリア、南アフリカ、オランダ、ドイツ、イギリスなどでの学究をへて、医学、植物学、化学、数学、心理学、物理学、動物学、海洋生物学、人類学で学位、ロンドン大学ではデズモンド・モリス(『裸のサル』著、ロンドン動物園)のもので動物行動学において博士号を取得。広い視野と広範なフィールドワークを重視する実践的ライフサイエンティストとして、「科学の遊牧民」「生物学のシュリーマン」などと称される。ヨハネスブルグ動物園長、英国国営放送(BBC)のプロデューサー、ライフサイエンス財団理事などを歴任。クジラやイルカの行動学研究も駆使し、徹底した自然学派、生物学者の観点から、生命と「意識」を結ぶ謎と神秘の解明にとりくんでいる。
邦訳書は『スーパーネイチュア』(蒼樹書房) 、『モンスーン』『ロスト・クレイドル』『ダーク・ネイチャー』(以上筑摩書房)、『未知の贈りもの』『アースワークス』『ネオフィリア』『シークレット・ライフ』『ロメオ・エラー』(以上ちくま文庫) 、『水の惑星』(河出書房新社)、『アフリカの白い呪術師』『風の博物誌』(以上河出文庫) 、『スーパーネイチャー 2』(日本教文社)、『匂いの記憶』(光文社)など多数ある。




■関連図書

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■書評

山根誠久氏(1997年琉球大学附属図書館「読書案内」)
「生命の本質を、時間的かつ空間的な拡がりへの意思をもった潮流として理解する彼の考えが全篇にわたって表現されている。多くの生物学的事例を引用し、できるだけ平易に論じている。確かに難解な部分も多いが、感性に富む若い学生諸君に是非一読を勧めたい」

木幡和枝氏(「風の消息」『DAGIAN』2001年10月、コスモ石油発行)
「科学者として生命、自然をテーマに取り上げながら、彼の著述は結局のところ、人間の心に訴えかけるものとなっている。その意味で、今まさに博士の一連の著作に注目が集まるのは当然のなりゆきだろう」
全文はこちら>>> 

島武実氏(WEB「niloの本棚」2003年1月10日)
(「大好きな本のタイトルと、好きな理由をきかせてほしい」と尋ねられて)
「 『生命潮流』/ライアル・ワトソン著/木幡 和枝 訳  それがすごく好き。どういう本か簡単に言うと、生命がいかにこの宇宙で貴重たぐい稀なものであるかってことかな。命がこの宇宙で誕生することっていうのはすごく低い確率なんだよ。(奇跡的な確率。奇跡分の1)だから、動植物からウイルスにいたるまで、命あるものすべての大切さを読む度に考えさせられる」



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