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幻のクーデター [詳細]

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昭和史発掘!
このクーデターが起きていたら、
二・二六事件はなかった・・・

昭和8(1933)年、埼玉県熊谷市において大がかりなクーデター計画が発覚、まさにその決行前夜に一味が逮捕されるという事件が起こった。世に言う「救国埼玉青年挺身隊事件」である。

政財界の要人暗殺をもくろんだこの事件を、新聞各社は号外を発行して大々的に報じた。この3年後に起きた二・二六事件の前史とも位置づけられる事件だが、詳細な記録が残されていない。

本書は、この「幻のクーデター」の全容をたんねんに調べ、腐敗した社会構造を改革せんとする憂国の若者たちの心情を追うドキュメンタリー。





■目次より


差し止められた報道/埼玉県下の国粋主義運動
第一章 事件の発端
時局批判演説会──熊谷公会堂/熊谷署──村松部長の第1報告 /吉田豊隆──挺身隊の中心人物 /皇国青年芳流会 /急進的国家改造をめざした栗原運動
第二章 内偵・捜査
杉田幸作以下同志加盟の経緯 /内偵の岐路──村松部長の苦悩 /同志・市川國助の来熊参加 /熊谷市最初のアジト/特高の緊張──熊谷署/焦燥──吉田の苦衷/栗原中尉最後の訓示/熊谷班単独決起/決行資金の調達──吉田の東奔西走/現地視察/武器調達係/第二の行動──帝都の撹乱
第三章 検挙
警察部特高課の検挙対策/熊谷署検挙隊の整備 /佐久間旅館に水野、杉田を襲う /アジト外での一味の検挙/県下各署ならびに東京よりの快報
第四章 「決起」のその後
青年たちの憂国の想い/歌に心を詠む獄中の被告/事件以後
埼玉青年挺身隊事件資料集
予審終結決定書 /公判日誌/論告(永井太三郎検事)/判決書/挺身隊事件関係者一覧 /主要参考文献




■著者紹介:猪又明正  (いのまた・みょうしょう)

昭和12年、岩手県盛岡市に生まれる。岩手県立岩泉高校卒業後、上京。この頃より『平家物語』の世界に魅了され、仏教に関心をもつ。その後、仏教大学で学び、浄土宗僧侶となる。仏教経典・儀典研究会、高齢者生きがい問題研究会を主宰。埼玉県浦和市在住。




■ここがおもしろい!

著者の猪又明正は、捜査にあたった熊谷署特高の村松部長の縁戚にあたり、生前の村松氏から譲られた貴重な資料を元に執筆。
「救国埼玉青年挺身隊事件」関しては、松本清張が『昭和史発掘』(文春文庫)で言及しています。
この挺身隊の背後にいたのが陸軍中尉の栗原安秀。後に二・二六事件の主要人物として死刑になりました。このクーデターが実行されていたら、二・二六事件は起きなかっただろう、といわれる所以です。二・二六事件の関連図書としてお読み下さい。


昭和史おさらい 軍部が台頭し、戦争へ突き進んだ時代
昭和6年9月 満州事変
  7年2月 血盟団事件 右翼の血盟団が井上準之助前蔵相暗殺
    5月 五・一五事件 海軍将校ら犬養毅首相暗殺
   11月 右翼の児玉誉士夫による要人暗殺計画
  8年7月 神兵隊事件 右翼よる要人暗殺計画
   11月 救国埼玉青年挺身隊事件 右翼青年らの要人暗殺計画
  11年2月 二・二六事件 陸軍皇道派将校ら高橋是清大蔵大臣ら暗殺
  12年7月 廬溝橋事件——日中戦争勃発




■関連図書

昭和史発掘  松本清張  文春文庫
甦る戦艦大和  河井登喜夫=監修 3200円 工作舎



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