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三つの脳の進化
Triune Brain in Evolution[詳細]

目次著者紹介関連図書書評



各界を震撼させた「三位一体脳モデル」の全貌!

いったい人間の理性は、もの言わぬ外部世界……宇宙……と
内部世界……情動脳・反射脳……の暗黙のメッセージを
聴きとるほどに進化したのだろうか。
人間の脳は、長い生物進化の歴史を内蔵している。
人間が前期哺乳類から受け継いだ「情動脳」内で
内部世界が外部世界に出会う場所が確信の座であり、
この確信を定型化して表現したいという「理性脳」の衝動は、
人間が爬虫類から継承した「反射脳」から生まれてくることを
神経生理学的、臨床的研究によって示すことが本書の目的である。



■目次

第I部 三つの脳の進化:知性の前駆活動に果たす役割

まえがき
1 主観脳の学:主体的認識論“エピステミクス”に向けて
  1・1 はじめに
  1・2 客観性と主観性
  1・3 “エピステミクス”
2 脳研究の新しい展開
  2・1 三位一体モデル
  2・2 用語の操作論的定義
  2・3 脳の臨床比較神経行動学
3 中枢神経系と前脳の役割
  3・1 前脳の発生
  3・2 前脳と動物行動
4 自律神経系と大脳辺縁系の役割
  4・1 自律神経系の同化・異化作用
  4・2 自律神経系の同化・異化作用と情動
5 反射脳の構造とはたらき
  5・1 反射脳の構造
  5・2 反射脳と動物行動
  5・3 反射脳の異縁性認識と瞬間学習
  5・4 爬虫類の行動戦略
6 反射脳の臨床観察
  6・1 反射脳の損傷による精神障害
  6・2 神経科学的考察
  6・3 結果の要約
7 反射脳と人間の定型行動
  7・1 前言語的思考としての行動
  7・2 人間と爬虫類の行動比較
  7・3 人間と爬虫類の戦略比較
8 哺乳類型爬虫類セラプシド
  8・1 哺乳類型爬虫類の進化
  8・2 進化への問題点
  8・3 絶滅の原因
  8・4 定向進化
9 哺乳類型爬虫類から哺乳類への進化
10 情動脳の構造とはたらき
  10・1 情動脳の構造
  10・2 辺縁系という考えの発展
  10・3 情動脳の実験的・臨床的観察
11 情動視床体と家族行動
  11・1 神経行動学的発見
  11・2 母性行動
  11・3 アソビのはじまり
  11・4 音声交信のはじまり
  11・5 コメント:文明の萌し
12 情動脳の障害と心身性てんかん
  12・1 心身性てんかんの歴史
  12・2 病因と病理
  12・3 主観の脳神経機構に向けて
13 心身性てんかんの現象論:基本的・個別的情動の顕在化
  13・1 心理学的情報の主観的表現
  13・2 情動の分析
  13・3 基本的欲求に関連した情動
  13・4 心身障害と基本的情動の異和
  13・5 個別的情動の異和をともなう発作
14 心身性てんかんの現象論:一般的情動の顕在化
  14・1 一般的情動の型
  14・2 発作時にあらわれる一般的情動
  14・3 超越感覚
  14・4 快・不快に分類できない情動
  14・5 発作にともなう複合症候
  14・6 結びと検討
15 心身性てんかんの現象論:定型的・情動的行動の顕在化
  15・1 心身性てんかんと無自覚行動
  15・2 単純な身体・内臓の反射運動
  15・3 単純な擬模倣反射
  15・4 単純そして複雑な擬情動反射
  15・5 無秩序な反射行動
  15・6 結びとコメント
16 自意識と記憶に結びついた辺縁系のはたらき
  16・1 進行性記憶喪失の歴史的考察
  16・2 臨床病理学的考察
  16・3 自意識の神経機構
  16・4 記憶の抗原・抗体モデル
17 情動に結びついた理性脳の進化とはたらき
  17・1 理性脳と前脳顆粒皮質
  17・2 前頭拡大と頭蓋骨の定向進化
  17・3 前脳障害の歴史的症例に対する臨床的考察
  17・4 ロボトミーから得られた知見と反省
18 理性・情動脳系の進化と知性の前駆活動
  18・1 知性の前駆活動としての泣き・笑い・アソビ
  18・2 泣き・笑いの脳神経機構
  18・3 利き腕と言語機能の偏在
  18・4 涙の進化論
  18・5 アソビの進化と創造行動
19 理性脳:小脳系と計算・予測機能の進化
  19・1 運動機能に関する仮説
  19・2 言語機能に対する機械的・数量的欲求
  19・3 計算と予測に果たす役割
  19・4 未来の記憶
  19・5 人間にとっての脳の意味
20 エピステミクスとエピステモロジーの将来
  20・1 R-複合体(反射脳)の比較行動学的再考察
  20・2 大脳辺縁系(情動脳)とエピステミクス
  20・3 認識論の袋小路からの脱出

第II部 三つの脳と現代 法橋登

1 品格と三つの脳
2 恋愛と三つの脳
  2・1 恋愛の三点セット
  2・2 反射脳による求愛行動の定型化と擬行動
  2・3 反射脳に萌した恋愛の母性愛的要素
  2・4 反射脳の異縁性(よそもの)認識から求愛へ
  2・5 社会行動としての求愛
  2・6 理性脳による恋愛の進化と断片化
3 三つの脳と三つの言葉:シンボル、サイン、シグナル
4 宿命、自由意志、確信、五蘊説
5 ハミルトンの包括適応度とマクリーンのエピステミクス
6 自由意志の進化論と心の物理学
  6・1 はじめに
  6・2 自由意志の進化
  6・3 自意識の臨床医学
  6・4 心の物理学
7 三つの脳と現代
  7・1 情報科学時代の新しい天才たち
  7・2 人工世界と現実世界
  7・3 宇宙と神
  7・4 無からの創生ということ
  7・5 分子生物学の夢
  7・6 脳の高次機能と超越体験
  7・7 息念の法



■著者紹介:ポール・D・マクリーン Paul D. MacLean

神経生理学者、臨床精神科医。「大脳辺縁系」の命名者。1913年、ニューヨークに生まれる。エール大学、エディンバラ大学卒業。1940年にエール大学で医学博士号を取得。エール大学、ワシントン大学、ハーバード大学、チューリヒ生理学研究所を経て、1957年に米国国立精神衛生研究所に入所。同年から71年まで、同所神経生理学研究所所長。71年から85年まで、同所脳進化と行動研究所所長。85年より同所嘱託。1971年米国神経病理学協会特別賞、72年米国哲学会カール・スペンサー賞、86年ソビエト連邦医学アカデミー賞などを受賞。2007年逝去。




■関連図書

  • 脳科学と芸術 恋う・癒す・究める 小泉英明=編著 3800円
  • 生命とストレス 超分子生物学のための事例 ハンス・セリエ 2200円
  • 精神と物質 意識と科学的世界像をめぐる考察 E・シュレーディンガー 1900円
  • 個体発生と系統発生 進化の観念史と発生学の最前線 スティーヴン・J・グールド 5500円
  • 分節幻想 動物のボディプランの起源をめぐる科学思想史 倉谷 滋 9000円 



  • ■書評

    平田明美氏(『教育新聞』1995年8月10日)
    「これは一般にはむずかしい本だが、専攻分野の如何を問わず、理科の先生方には新しい世界を開く面白い本に違いない。……
     神経生理学者であり、比較神経行動学者で臨床精神医学者でもある著者は、「存在」の認知など脳のメカニズムを、情動脳、理性脳、反射脳の三位一体脳モデルでとらえ、神経生理学的、臨床的研究で解き明かしていく。
     訳者の法橋登氏が第2部として、「三つの脳と現代」というテーマで、品格、恋愛などの心の動きと「三つの脳の動き」について書いている」




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