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美化された科学像の外見の下に、あまたの利害が見透かされる。 われわれの西欧文化は皮肉にも、 科学・技術が帯びている非科学的意味におそろしく無知なのだ。…… 科学史は、これまではひとつの回想くらいにしか思われず、 しかも科学は未来のためにこそあるとする科学者からは無視されてきたが、 今その科学史が批判の口火を切る。 |
■目次より | ▲ |
第1章 錬金術の今と昔 手仕事から神秘主義へ/立ち竜と処女の乳/金属の精と発育/ ボロス、ゾシモス、ニュートン/硫黄と水銀/夢の錬金術と現実の錬金術/ 三塩化アンチモンと賢者の石/テクノロジーではなく愛を…… 第2章 悪魔と神のあいだの近代科学 理論および社会的実践としての科学/なぜ近代科学は中国で生まれなかったのか/ 唯物論的偏見と観念論的偏見/聖書の伝統から機械論哲学へ/ 『イザヤ書』と経験論/《宗教》要因の本質と限界 第3章 数学:自己目的か道具か ケプラーと知的分業/数学はいつも自律していたわけではない/ 無理数を拒否すべきか/球面三角法の場合/《力学》は数学の天国である/ 大分裂:《純粋》対《応用》/戦争、教育、魔方陣 第4章 数学:神の科学か人間の科学か 数学者の方法を真に受ける/公理論的合理性と発見法的合理性/ 多面体とその変種/《可謬的》認識論のために/ 一様収束の問題:コーシー、アーベル、ザイデル/ 《証明分析》と開かれた数学/神話からの解放 第5章 ニュートン:最後の魔術師 アイザック・ニュートンのけしからぬ読書/ 学者にとってのヘルメス・トリス・メギストス/ 遺産:読解すべきメッセージ/遠隔作用と隠在的(オカルト)力/ 重力の彼方へ:ニュートンの神の遍在 第6章 科学、宗教、政治:ニュートンの場合 すべての物理学者はキリスト教徒であるべきか/聖書からの着想の重要さと限界/ 政治的、宗教的かつ認識論的な抗争/保守主義につかえる科学思想/ 英国国教会派と神の計画の探究/アイザック・ニュートン卿の《いびつな存在論》 第7章 マラー:怒れる物理学者 医者と哲学者にはじまる/そして流体の一大発見者として/ 向こう見ずなニュートン攻撃/幻想の終わり/科学アカデミーへの最終攻撃/ 科学社会学の始祖/マラーの背景:科学と大革命 第8章 物理学と非合理 物理学が開く精神への扉/手に負えないカテゴリーの混同/ ルドバ・フェスティバル/《起こりうる》事象しか《現実》には起こらない/ 量子力学、スプーン曲げ、イデオロギー/《科学的》観念論の高揚/ 科学と形而上学の《恥ずべき》関係/エーテルを援護する観念論/ 《心霊》科学と交霊術の介在/理想の科学と現実の科学 第9章 科学、反科学、貴族的科学 失われた潔白/科学の知はどこまで広がるか/《進歩》:神話か現実か/ 科学者の社会的干渉/《純》と《不純》の微妙な論理/ 実験・操作に走る思考様式/科学至上主義の問題/貴族的科学の偉大さと弱点/ 外的問題と内的問題/《専門化主義》の狭量/嫌われものの科学/危機の反映 第10章 聖なるものの科学的利用 科学の大聖堂/実験室の隠遁者/ヘッケルの神学/ ジャック・モノーの《認識の倫理》/掟と罪の生物学/数学的無限と宗教的思弁/ 神学者の後継/聖と俗をへだてる溝/実在的で非現実的な宇宙/ ウイルソンの社会生物支配/聖なるものの役割 第11章 科学は性差別主義か 男のアイデンティティを保証する科学/男性的器官としての頭脳/ 自然を支配し、あばき、押し入る/男らしさを救え/社会主義の曖昧な性/ 《女性的》ユートピアは他のユートピアより空想的か |
■著者紹介:ピエール・チュイリエ Pierre
Thuillier |
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パリ第7大学で認識論と科学史の教鞭をとるかたわら、雑誌“la Recherche”の編集にも参画。フランスの講壇哲学を批判し大きな反響を巻き起こした『官僚的なソクラテス』など精力的な執筆活動を展開。また科学および技術によってもたらされる社会的・認識論的な問題への関心から、『反=科学史』『アインシュタインと手押車:小さな疑問と大きな問題』(新評論)をはじめ、既存の科学史観を覆すユニークなアプローチを続けている。 |
■関連図書 | ▲ |
・科学の罠 過失と不正の科学史 A・コーン 3107円 ・科学の運 発見と逸機の科学史 A・コーン 2800円 ・ケプラーの憂鬱 孤独な天文学者の半生 ジョン・バンヴィル 2500円 ・ジェンダーの神話 [性差の科学]の偏見とトリック A・ファウスト-スターリング 2816円 ・ジェンダーは科学を変える!? 医学・霊長類学から物理学・数学まで L・シービンガー 2600円 ・女性を弄ぶ博物学 リンネはなぜ乳房にこだわったのか? L・シービンガー 3200円 ・科学史から消された女性たち アカデミー下の知と創造性 L・シービンガー 4800円 ・女性を捏造した男たち ヴィクトリア時代の性差の科学 S・E・ラセット 3200円 ・セックスの発明 性差の観念史と解剖学のアポリア T・ラカー 4800円 |
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