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にほんのかたちをよむ事典 [詳細]

目次内容執筆者紹介関連図書書評


イメージの国、ニッポンの謎を解く

かた(型)+ ち(魂)で、かたち。
縄文から現代まで、天皇から町人まで、
暮らしも信仰も、芸能も物語も、 季節も争いも、
政治や経済さえも、 いつも「かたち」に寄り添っていた。
ひとつの「かたち」に万感を込め、 「かたち」のかけらに万象を観る。
日 本 の 謎 は 「かたち」 で 解 け る。



にほんのかたちをよむ事典写真
背表紙、裏表紙の写真はこちら



■目次より

1—かたちのことば

1・000 形/ 形質

1・01 かたちの見取図
形体/ 形態◎表面◎
色/ 色彩/ 色彩論◎明暗/ かげ
硬軟◎感覚/ 知覚/ 認知
心象/ イメージ◎虚実◎構造
システム◎モデル◎系統

1・02 かたちと方法
構成/ 構築◎調和◎省略◎変換
翻訳/ 造語◎分類◎パラフレーズ
コラージュ◎作図/ 投影
設計◎遠近法◎プロポーション
自己組織化◎錯視/ だまし絵
装飾

1・03 世界をかたどる
宇宙/ 世界◎間/ 空間/ 時間◎場
次元◎無限◎縁起◎混沌/ 無秩序
人工/ 自然/ 天然◎天地
左右/ 上下/ 表裏

2—かたちのかたち

2・000 民族芸術学

2・01 天象と地象
星座◎天文学◎風◎雪◎雪形◎霞
火◎水◎流れ/ 蛇行◎渦/ 螺旋
花/ 桜◎富士山◎洲浜

2・02 物怪と異界
妖怪◎天狗◎鬼◎龍◎地獄/ 極楽

2・03 道具と暮らし
風呂敷◎旗/ 幟◎火消◎武器
数珠◎てまり◎折り紙◎水引
しめ縄/ 御幣◎千木/ 鰹木◎凧
ものさし◎文房四宝◎和紙◎螺子
車◎橋◎家◎柱◎庭/ 借景
垣/ 生垣◎墓石

2・04 遊芸と芸道
能◎文楽◎歌舞伎◎香道
喫茶◎茶道◎剣道◎囲碁/ 定石

2・05 文字と数と謎
漢字◎書/ 書体◎書道史◎花押
数/ 数字◎和算◎算額
パズル/ 考え物◎魔方陣
継子立◎タングラム

2・06 図形と象徴
点/ 線/ 面/ 立体◎円◎三角形
方形◎菱形◎五角形◎六角形
八角形◎フラクタル◎多義図形
充填

2・07 記号と文様
陰陽◎+と×◎巴/ 卍◎星/ 九字
青銅器文様◎銅鐸文様◎石垣刻印
寺院刻印◎呪符瓦◎鹿子
唐草/ 唐花◎吉祥文◎香之図
島/ 縞◎○△□

2・08 メディアと様式
仏画◎屏風絵◎絵巻◎浮世絵
本◎絵本◎看板◎暦◎地図
唐様/ 唐物◎キリシタン
阿蘭陀好み◎象篏◎俗悪趣味
朦朧体◎縮み志向◎流行

2・09 からだと衣装
頸◎耳◎舌◎腕◎指◎腹◎脚
刺青◎衣装◎袖◎裾◎衿
被り物◎下駄

3—ひととかたち

3・000 身振り

あそぶ◎あるく◎いのる
いわう◎うつす◎えがく
おどる/ おどけ/ まう◎かく
かこむ◎かさねる◎かざる
かなでる◎からす/ かれる◎きく
きる◎くむ◎けす◎けず(づ)る
ころす◎さとる◎すかす◎すく
すてる◎する◎すわる◎たたかう
たたく◎たつ◎ちぎる◎つっこむ
つなぐ◎つむ◎とく◎とぶ◎なく
なぞる/ なぞらえる◎ぬく
ねじる◎のろう◎ひく◎ふく
ぼかす◎まく◎まぜる◎まとう
みる◎もやす◎やく◎やぶる
やる◎わく◎わたる
わらう◎わる




■内容より

◎理解できない言葉をありがたいと思うのは、 「意味」とは別に価値が生まれているからである。
◎日本人は、3 次元空間に住んでいることを、 明治維新まで気づかなかった。
◎四畳半にも、左勝手と右勝手がある。
◎シデあるいは御幣は、天の声としての雷 つまり「紙なり」を表現する。
◎日本の庭では、水は流れていなければならない。
◎大文字山の大の字も 魔除けの星形五角形である可能性がある。
◎×は悪そのものであるとともに、 悪を払うものである。
◎唐草風呂敷の歴史は浅く、明治30 年代にはじまった。
◎江戸時代の「わくわく」は、 肝が潰れる寸前の状態を表していた。
◎「みる」という意味を表す漢字は約200 に及ぶ。
◎日本では、ひもは神の力を呼び込む 生命的存在とされていた。
◎東洋では、空を飛ぶために 必ずしも翼を必要としない。
◎「ぼけ」の振る舞いは、「つっこみ」があって はじめて進展し、構造性を持つ。
◎殺生のもともとの意味は「生かすか殺すか」だった。
◎建物の組み方を最も簡素に、 また厳粛に表しているものが鳥居である。
◎我々は積極的に無常、虚無に身を投じ、 味わい続けてきた。
◎平安時代には髷を露出することは 恥ずべきことだった。
◎浮世絵に見る限り、 日本女性は深爪型が好みのようである。



■執筆者紹介:

◎特別寄稿

阿部楽方+ 井上隆明+ 伊部京子+ 岩渕 輝+ 遠藤八十一+ 岡田保造+ 鹿島 享+ 河本英夫+ 木村重信+ 佐々井 啓+ 白石晃子+ 須賀崇江+ 高木茂男+ 高橋美矢子+ 竹迫祐子+ 田中秀隆+ 寺山旦中+ 中山 茂+ 西垣安比古+ 畑 正高+ 原 秀三郎+ 広井 力+ 牧野和春+ 三倉克也+ 水木しげる+ 村松俊夫+ 安田容造+ 吉田柳二+ 米今由希子+ 和田直人

◎形の文化会会員(執筆時)

相田武文+ 荒川 紘+ 粟野由美+ 一戸良行+ 今井祝雄+ 大形 徹+ 岡本正志+ 金子 務+ 楠本健司+ 小町谷朝生+ 小山清男+ 笹本純+ 清水達雄+ 末房由美子+ 関 三平+ 高木隆司+ 高橋理喜男+ 竹沢攻一+ 田淵晉也+ 辻元よしふみ+ 中川素子+ 羽鳥昇兵+ 花岡永子+ 一松 信+ 前田富士男+ 三田村〓(俊の「にんべん」を「たへん=田」に)右+ 三井直樹+ 三井秀樹+ 宮崎興二 + 向井周太郎+ 村井俊子+ 桃谷好英+ 森 貞彦+ 森 毅+ 柳父 章+ 山口義久

◎形の文化会

数学者、森毅を初代会長に、1992年発足した学際的な学会。文化諸領域に見られる「かたち」を科学的・文化的・歴史的視点に立って総合的に研究し、研究者、芸術家、技能保存者などが一堂に会し、学際的、広域的、創造的対話を図ることを趣旨とする。 現会長はアインシュタイン研究で著名な金子務。小町谷朝生(文星芸術大学教授/色彩論)、宮崎興二(京都大学教授/図形科学)らも編集委員に名を連ねる。『形の文化誌』はこの会の会報誌(年刊)として、1993年から2004年まで全10号を刊行。詳しくはこちら



■関連図書(表示価格は税別)

  • ジオメトリック・アート  C.シュワーベ+石黒敦彦 工作舎 3900円
  • カオスの自然学  テオドール・シュベンク 工作舎 2400円
  • 生物への周期律  アントニオ・リマ=デ=ファリア 工作舎 4800円
  • 形の冒険  L.L.ホワイト 金子 務=解説 工作舎 2200円
  • 形の文化誌 形の文化会=編 工作舎 2000〜2600円



  • ■書評

    2012.2.26 北國新聞、岩手日報 など高山宏氏書評(共同通信配信)
    領域横断の「知」の宝庫
    …世界的デザイナー、杉浦康平氏によれば「かたち」は「かた」と「ち」が結び付いたもので、「ち」の語源は「いのち」「ちから」にあるという。杉浦イズムの色濃い出版社から出た本書は、またひとつの「ち(知)」のパラダイムの終わりと新編成の始まりを意識しているように思える。
     難解な論考もあるが、水木しげる先生が自分に妖怪が憑いたと言い放つ「妖怪」の項には大笑いした。寺田寅彦から福岡伸一にいたる理系文系融合型の「知」に興味がある読者にはこたられないアイデアの宝庫だ。…
    *2/26掲載:北國新聞、岩手日報、徳島新聞、3/4:福島民友、中國新聞、大分合同新聞、南日本新聞、3/10:沖縄タイムス、3/11:宮崎日日新聞

    2012.2.7 HONZ 新井文月さんブログ書評
    カタ【型】+ チ【魂】
    …本書の特徴は、豊富な図版とデザインの美しさだ。フラクタル図形の項目では、シダの葉や『冨嶽三十六景』の大波のイラストが美しいし、凧の項目では、解説文中に凧上げのイラストが大胆に挿入されていて面白い。またカバーの裏表紙の図版には金箔が使用され、栞紐は2本で紅白の色使いなのだが、これを発見した時は嬉しくなってしまった。こうなると新しいインクの匂いまで芳しい。日本文化と美術・芸術を好む方にとっては鉄板の一冊だろう。それでも事典にしては面白すぎる内容だ。冒頭で本書は異色ともいえる本、と伝えているがこの本が流布される事を願う。 …全文は[HONZ 新井文月] [新井文月ブログ アートで明るく]へ

    ダ・ヴィンチ 2012年3月号で紹介
    66名の執筆者が、日本文化のかたちについて考察した事典だ。明暗、遠近法、富士山、天狗、折り紙といったさまざまな項目から、日本文化の本質が透けて見える。ダ・ヴィンチへ

    2012.2.3 週刊読書人 飯倉義之氏書評
    「かたちの四面体」の観点から論ずる 多面的かつ複層的な視座を導入
    …「かたち」とはなにか、を論ずることは困難を伴う。形の文化会は「かたちの四面体」と名付けた思想・形象・認知・数理の各々の観点から「かたち」を論ずることで、本書に多面的かつ複層的な視座を導入していることに成功している。そこから、かたちをめぐる概念を論じた「1 かたちのことば」、日本文化におけるかたちの具体的なありかたを図像を用いて示した「2 かたちのかたち」、かたちを生み出す人間のみぶりや動きの機能を捉えた「3 ひととかたち」の、三つの視点が導き出される。…三層が重なられることにより、「かたち」の外郭が思考の薄明のうちに浮かび上がってくるようである。…(国際日本文化研究センター機関研究員・民俗学専攻)

    2012.1.15 産経新聞書評
    平成4年2月、大阪府立大学で設立総会を開いた形の文化会(金子務会長)が設立20周年を前にして編纂(へんさん)した。副題は「イメージの国、ニッポンの謎を解く!」とあり、日本文化に焦点を当てた「読んでおもしろい事典」になっている。…




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