映像体験ミュージアム増補版[詳細]
羽化せよ(イマーゴ)、体験美術館!
──ここに来れば、あなたの心の中に
美しいイメージが生まれ育っていくことでしょう。
SF作家 小松左京(帯より)
「「映像」とは、単に動画だけを指すのではなく、
光と影で構成され、人間の心に浮かぶイマジネーションを形にしたものである。
この「映像」への探究が、各時代にさまざまな視覚的装置や
スペクタクルを生みだし、すぐれた映像表現やテクノロジーによる
現在の視覚文化の隆盛を創りだしてきた。
本書は、こうした映像史の広がりや
流れ、現代の多様なヴィジュアル表現を紹介し、
「映像」の多面性や新たな可能性を提示した画期的な展覧会
「映像体験ミュージアム──イマジネーションの未来へ」(2002-2003年全国巡回)の
公式ヴィジュアル・ブックを親本とし、
隆盛をみせるCG/デジタルコンテンツの過去から
現在に至る動向を探った展覧会
「ポスト・デジグラフィ」
(2006年8〜10月、東京都写真美術館)の
関連資料を増補した。
映像史の流れを追った詳細な年表は全面的に改訂。
さらにデジタル映像史・アート&テクノロジー史重要文献ガイドも新規に収録。
■目次より |
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序章 「視る」と「知る」 |
■本書に収録した資料・アーティスト・論考 |
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2006年「ポスト・デジグラフィ」展より 映像資料:ディドロ&ダランベール『百科全書』/CTGほか「サイバネティック・セレンディピティ」展資料 ほか収録アーティスト:岩井俊雄/河口洋一郎/木本圭子/松村泰三/森野和馬/山川晃・宍戸幸次郎ほか学生CGコンテスト受賞者/山上浩二/渡邉英徳ほか 論考:森山朋絵(東京大学大学院情報学環特任助教授)/飯沢耕太郎(写真評論家)/岩井俊雄(メディアアーティスト) デジタル映像史・アート&テクノロジー史重要文献ガイド:大口孝之(映像クリエータ/ジャーナリスト)/森岡祥倫(大阪成蹊大学芸術学部教員) ※木本圭子氏の作品を[Recommended Image]で紹介 >>> |
木本圭子 「Imaginary Numbers」2006年 |
2002-03年「映像体験ミュージアム」展より 映像装置・資料:キルヒャー『光と影の大いなる術』/ディドロ&ダランベール『百科全書』/アナモルフォーズ/カメラ・オブスクラ/日本、ヨーロッパの幻燈機・種板/アジア、ヨーロッパの影絵/科学雑誌『ラ・ナチュール』/カメラ・ルシーダ/ソーマトロープ/驚き盤、初期のアニメーション装置/ピープショー/各種3D装置/ステレオ写真/マレ、マイブリッジらの連続写真/パノラマ……アーティスト:横尾忠則/福田美蘭/minim++(近森 基+久納鏡子)/寺門孝之/永原康史/森脇裕之/久里洋二/IKIF(石田木船映像工場)/伊藤有壱/岩井俊雄/古川タク/藤本由紀夫/河口洋一郎/中ザワヒデキ/小田英之/モンキー・パンチ/木村卓/檜山 巽/橋本典久/八谷和彦/クワクボリョウタ/IDEAL COPY/三橋 純/明和電機 論考(2002年時の肩書きです): 高山 宏(東京都立大学教授)/岩本憲児(早稲田大学教授)/田中芳郎(東京芸術大学名誉教授)/赤瀬川原平(画家/作家)/坂根厳夫(情報科学芸術大学院大学学長)/森岡祥倫(東京工芸大学芸術学部教員)/平木 収(写真評論) 改訂版映像史年表:坂本 浩(九州産業大学芸術学部講師)+那須孝幸(鶴岡アートフォーラム主任学芸員) |
アナモルフォーズ |
■展覧会の概要 |
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今日、CG=コンピュータグラフィックスなど「デジタルコンテンツ」と呼ばれる多様な視覚分野は大きな隆盛を見せ、映画やテレビを通じてわれわれの日常となりつつある。本展では、歴史的作品を含む写真的リアリティ作品、リアルを超えた現代作品、体験型作品など、3つの切り口で展示を行なう。旧来の「デジタル」「アナログ」という単純な二項対立ではない、新たな、そして本来の「デジグラフィ」を探る。2006年、東京都写真美術館地下1F映像展示室で開催。
2006.8.12〜10.15 東京都写真美術館
主催 : 東京都/東京都写真美術館
■後援 : 文化庁
■企画協力:CG-ARTS協会/株式会社NHKエンタープライズ
■協力 : ACM SIGGRAPH/アルスエレクトロニカ・センター/川崎市市民ミュージアム/長崎県美術館/株式会社ポリゴンピクチュアズ/株式会社キャドセンター/ERATO 合原複雑数理モデルプロジェクト/平成18年度埼玉大学重点研究「ヒューマンインタラクションの解明に基づく人間支援の脱領域的研究」ほか・予定
■助成 : 財団法人 花王芸術・科学財団
■研究助成:Asian Cultural Council キュレーター交流プログラム
増補ページより 右 山上浩二「mamegal」2002年 左上 川口洋一郎『Gemotion Dance』in eAT金沢」2003年 左下 松村泰三「Digital Peep Show」2005年 |
「映像体験ミュージアム──イマジネーションの未来へ」展(2002-03年)
東京都写真美術館は、1990年の第一次開館時より、写真を含む広範な映像分野全体を体験するスペース「映像工夫館」を通じて、多くの映像展示・ワークショップを実施してきた。また、写真・映画発明以前から現在にいたる4000点もの映像装置コレクションも構築している。
本展では、「錯視と幻影」「動き・アニメーション」「3D・奥行き知覚」「拡大と縮小」「記録・ドキュメンテーション」の5つのテーマのもとに、貴重な映像コレクション、ならびに国内外のアーティストに依頼して制作された映像作品の蓄積などを改めて紹介。映像文化史を探るパッケージ展として、2002年3月を皮切りに、全国巡回(東京都写真美術館/倉敷市立美術館/福井県立美術館/せんだいメディアテーク/茨城県つくば美術館/福岡市博物館)が行なわれた。
2002.3.1〜5.19 東京都写真美術館
主催=東京都/東京都写真美術館/日本経済新聞社 文化庁メディア芸術祭協賛事業
後援=文部科学省メディア教育開発センター
助成=花王芸術・科学財団
協賛=東レ株式会社
協力=凸版印刷株式会社/ICAF実行委員会/日本ヒューレット・パッカード株式会社
2002.6.8〜7.28 倉敷市立美術館
2002.8.9〜9.2 福井県立美術館
2003.4.4〜5.5 せんだいメディアテーク
2003.7.26〜8.24 茨城県つくば美術館
2003.11.7〜12.14 福岡市博物館
■関連図書(表示価格は税別) |
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■書評 |
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●立命館大学 Library Navigator 2008.3. 105号 紹介
映像学部学生から新入生へのお薦めの1冊に選ばれました。
「“映像”は映画の誕生よりももっと前、聖書にだって書かれている概念なのだとか! 映像メディアが溢れる現在こそ、映像に関わっていく人間が“映像”を知る試みとして、映像概念を、人間が体験し表現してきた「視覚が芸術する」イマジネーションを、この本で味わってほしいと思います。」
●「美術の窓」2006.10月号紹介
幻燈機からアニメ、デジタルCGまで。 過去から現代までのヴィジュアル表現、「視る」ことへの欲望について概観する。