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17世紀末、植民地時代のアメリカ。 ボストン近郊の小さな町セイレムで、占い遊びに興じる数人の少女たちが、 突如、見るもおぞましい痙攣発作に襲われた。 「魔女の生き霊が、私たちを苦しめに来る!」 発作はあっという間に町中に広がり、多数の住民が魔女ではないのかとの疑いで投獄された。 「私は神に誓って魔女ではありません!」 真実か、それとも仕組まれた虚構か? 150人に及ぶ市民が獄につながれ、無実を叫んだ19人が絞首刑となった。 これがアメリカ開拓史に悪名高い《セイレム魔女裁判》だ。 この事件は、従来の史観では《聖職者による陰謀と、それと戦う市民》という構図で描かれてきた。 しかし著者は、現代の人類学・民俗学・心理学的成果を根拠に、 《魔術は本当に実在し、効力を発揮していた》という仮説のもと、 事件の全貌を洗い直し、その驚くべき実態を明かす。 |
■目次より | ▲ |
第1章 魔術 第2章 ニューイングランドにおける魔術 第3章 悪魔の誕生 第4章 魔女の捕らえ方 第5章 セイレムの魔術 第6章 虚言横行の田舎町 第7章 ドアは開かれた 第8章 魔女狩り 第9章 魔女狩り論争 第10章 良心の問題 第11章 見えざる世界のさらなる驚異 第12章 暗闇の闘争 第13章 後世への警告 |
■著者紹介:チャドウイック・ハンセン Chadwick
Hansen 1926- |
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1948年、イェール大学英文学科卒業後、ミネソタ大学で英文学の修士号(1951)、アメリカ研究の博士号(1956)を取得。ペンシルヴェニア州立大学、ミネソタ大学、アイオワ大学、イリノイ大学シカゴ校などで教鞭をとる。 専門分野は、アメリカの民俗文化・大衆文化、およびそれらと高級文化との接点の研究。エマソン、ホイットマン、マーク・トウェイン、アフロ・アメリカン・ミュージックとダンス、植民地時代アメリカの魔術などに関する多くの論文を内外の雑誌に発表している。 |
■関連書籍 | ▲ |
・バロックの聖女 聖性と魔性のゆらぎ 竹下節子 2400円 ・狼憑きと魔女 17世紀フランスの悪魔学論争 ジャン・ド・ニノー 3200円 ・ヴァンパイアと屍体 死と埋葬のフォークロア ポール・バーバー 3200円 ・犬人怪物の神話 西欧、インド、中国のドッグマン伝承 D・G・ホワイト 4800円 ・英国心霊主義の抬頭 19世紀末の魂の高揚 ジャネット・オッペンハイム 6500円 ・ルネサンスのエロスと魔術 想像界の光芒 ヨアン・P・クリアーノ 4800円 ・眠りの魔術師メスマー 近代精神医療の先駆者 ジャン・チュイリエ 2900円 ・子どもの神秘生活 生と死、神・宇宙をめぐる証言 ロバート・コールズ 3800円 ・アインシュタイン、神を語る 宇宙・科学・宗教・平和 ウィリアム・ヘルマンス 2200円 ・量子の公案 現代物理学のリーダーたちの神秘観 ケン・ウィルバー編 2400円 ・精神と物質 意識と科学的世界像をめぐる考察 E・シュレーディンガー 1900円 |
■書評 | ▲ |
◎巽孝之氏(『読売新聞』1991年8月12日) 「「魔術」は実際に存在したのだという観点からこの本は書かれている。もっともこの場合の魔術は神秘的ではなく心因的に存在したのであり、魔術への大衆的恐怖が裁判を促進させ、無実の血を流させたのであったと著者は見る。 すなわち「魔女狩りは、一社会の住民の大半が──事実であれ想像であれ──自分たちは敵に取り囲まれていると思い込むことにより、無実の人間と、罪ある人間とを区別する能力を失う場合にのみ、発生する」というのだ。とすればこの魔女狩りの構造を認識することは、今日の社会における「いじめ」や「えん罪」「差別」「思想犯」といった問題を洞察することにも通底する。またこの本において著者は、これまで狂信的な扇動者とされてきた牧師コットン・メイザーの名誉回復に努めている。民主主義がいかにあやういものであるかが描かれているが、異教的な自然信仰を封じこめようとしたキリスト教の内部矛盾とも読めるところがすこぶる今日的な書である」 |
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