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シュレーディンガーの思索と生涯[詳細]

「波動方程式」を完成し、
量子力学の歴史に大きな足跡を残した
エルヴィン・シュレーディンガー
「猫のパラドックス」を案出し、
ボーアらの“描像なき理論”を強く批判したことは、よく知られている。
一方で、著作『生命とは何か』で分子生物学の出現を予言し、
また一方で、古代インドのヴェーダンタ哲理をもとに精神と物質の一元論を唱え、
生命論から倫理学まで網羅する幅広い哲学を展開したシュレーディンガー。
その思索と遍歴の生涯を紹介する、初の本格的伝記。



■目次より

序   福井謙一
第1章 ウィーン世紀末とウィーン精神
第2章 エルヴィン少年の夢
第3章 知への挑戦

  1 ボルツマン対マッハ
  2 無極のシュレーディンガーと双極のボーア
第4章 オーストリア帝国の崩壊
  1 軍役のとき
  2 量子論への接近
  3 父の死、母との別れ
第5章 探究の道
  1 二元論を超えて
  2 発見の予兆
  3 波動のパラダイム
第6章 遍歴の果てに
  1 チューリヒからベルリンへ
  2 亡命への旅
  3 ダブリン高等研究所
  4 祖国への帰還
後書き
写真で見る「シュレーディンガーの生涯」
参考文献/シュレーディンガー年譜/シュレーディンガー遍歴地図/
量子力学史ダイヤグラム/人名索引




■著者紹介:中村量空 Ryoku Nakamura

1948年兵庫県に生まれる。1977年名古屋大学大学院修了。専門は素粒子論。福井県立大学教授。理学博士。「統計力学的多体重層構造の理論」を提唱し、素粒子の世界における「相転移と自己組織化」の解明に取り組む。シュレーディンガーについては長年にわたり研究・考察を重ね、著書の訳出にもつとめてきた。
著書に『複雑系の意匠』(中公新書)、訳書にマインツアー『複雑系思考』(シュプリンガー・フェアラーク東京)、シュレーディンガー『わが世界観』(ちくま学芸文庫)、『精神と物質』(工作舎) などがある。2001年11月29日、52歳で永眠。




■関連図書

精神と物質 意識と科学的世界観をめぐる考察 E・シュレーディンガー 1900円
自然とギリシャ人 原子論をめぐる古代と現代の対話 E・シュレーディンガー 1900円
アインシュタインの部屋 上下 プリンストン高等研究所に集う天才たち E・レジス 各1800円
アインシュタイン、神を語る 宇宙・科学・宗教・平和 W・ヘルマンス 2200円
タオ自然学 現代物理学の先端から東洋の世紀がはじまる F・カプラ 2200円
量子の公案 現代物理学のリーダーたちの神秘観 K・ウィルバー編 2400円
断片と全体 ホリスティックな世界観への実験的探究 D・ボーム 1900円
ホロン革命 個と全体のシステム論 A・ケストラー 2800円
自己組織化する宇宙 自然・生命・社会の創発的パラダイム E・ヤンツ 3200円
地球生命圏 ガイアの原点 J・E・ラヴロック 2400円
ガイアの時代 地球生命圏の進化 J・E・ラヴロック 2330円


■書評

益川敏英氏(『日経サイエンス』1993年8月)
「……研究生活の中で何を考え、どのような思想と哲学で生涯を送ったのか? いやどのような環境で育ち、いかに精神形成をなし、あの激動の第2次世界大戦の混乱の中でどうしていたのか? また、あの波動力学はどのようにして生まれたのか? これらのいくつかに答えてくれるのがこの本である。
 絢爛たるウィーンと第1次大戦で荒廃するウィーン。その中でのウィーン精神。父親からの影響。ギムナジウムでのギリシャ哲学との出会い。祖国オーストリアの先達ボルツマン = マッハからの洗礼。この中で科学者シュレーディンガーは創られていく。波動力学の発見、第2次世界大戦とダブリンへの亡命、と著者は書き進む。著者は素粒子論が専門であるが、以前よりシュレーディンガーに深い関心をもち、その訳書も2編ある。その過程で著者が作り上げてきたシュレーディンガー像が語られている。……」



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