感覚の力[詳細]
Worlds of Sence
「薔薇とよばれているあの花は、
たとえほかの名前でよばれても、
その甘い香りにかわりないはず」
——シェイクスピア
この有名な台詞はいまや通用しないといってもいいでしょう。
現代の薔薇は見た目の美しさが重視され、香りの無いものばかりだから。
薔薇が象徴的に示す嗅覚から視覚への移行。
西洋文化が、そして現代社会がいかに視覚中心なことか。
この文化に染まらずに育った狼少女などの野生児たちの超人的な感覚、
文字=視覚文化を征服者の道具とみなして拒絶したアンデスの人々、
熱によって世界を認識するブラジルの部族…。
古今東西の時空を超えた感覚の世界に旅し、
感覚が文化に支配され、また文化を支えていることを明らかにする。
■目次より |
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1 薔薇の香り:西洋における花のシンボリズムと嗅覚の凋落
2 自然の知覚力:「野生児」の感覚能力
第2部 異文化の感覚
3 他者の匂い:嗅覚記号と文化的カテゴリー
4 反文化としての文字文化:アンデスの人々の書き言葉体験
5 感覚の世界
付録 感覚の言葉
■関連図書 |
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