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ソバとシジミチョウ[詳細]

目次著者紹介ページ見本関連情報書評



あなたの庭に、今年も蝶は来ていますか?

幼少期の懐かしい自然体験には
ミヤマシジミという青藍色の美しい蝶がいた。
40年後、何度か記憶の場所を訪ねるようになり、
数年が経ったころだった。
ついに、土手の草地に無数のミヤマシジミが
舞飛ぶ光景と遭遇する……




■目次

はじめに

第1章 人と自然の歴史 生物としての「ヒト」から社会を創る「人」へ

「自分とは」の問から始めよう
ヒトという生物の一種
氷期のヒト、自然、メガファウナ
縄文期の人と森、草原
稲作がもたらした自然と社会
明治維新からの近代化の波
脱自然とアンダーユース
脱自然が人にもたらしたもの
衛生仮説とその発展
あらためて脱自然化の功罪を問う

第2章 里山の多様な生物 景観-生物-人間活動の相互作用について

親自然の暮らし
「生態系」とはなんだろう
里山という景観、モザイク性
米の生産力
里山の生物
モザイク性と鳥類
里山と野生動物
房総のシカ
シカはなぜ減らないのか?
里山の外来種
生息地のネットワーク
下総台地のジャノメチョウ
ネットワークの影
島のネコ問題と景観

第3章 ソバとシジミチョウ 共に生き活かされる「つながり」の不思議

記憶の場所での新たな出会い
ミヤマシジミとは何者?
ソバの実りとのコラボ
ミヤマシジミの生息地はどこに
ミヤマシジミの見つけ方
アリとの共生
寄生バエ
もう一つの寄生者センチュウ
最適な草刈りを探る
適切な管理の成果
生息地のネットワーク
河川の生息地
再導入の挑戦
偽穀物としてのソバ
ソバの花に来る昆虫たち
多様な昆虫の意味
畔の植物とソバの実り
景観モザイク性の意味
ソバとミヤマシジミ

第4章 人と自然のリアルな関係 人工資本で充満した世界からの脱却

小さな持続性に気づくこと
SDGsとハーマン・E・デイリー
自然と社会の関係図
「場」としての自然-生物-人



■ページ見本

カラー口絵ii-iii :ソバの花を訪れる虫たち

カラー口絵ii-iii:ソバの花を訪れる虫たち

カラー口絵ii-iii :畦畔や草地のにぎわい

カラー口絵vi-vii:畦畔や草地のにぎわい

本文「第3章 ソバとシジミチョウ」より:記憶の場所での新たな出会い

本文p.144-145 「第3章 ソバとシジミチョウ」より:記憶の場所での新たな出会い

本文「第3章 ソバとシジミチョウ」より:ミヤマシジミが四年で五倍の数に

本文p.144-145 「第3章 ソバとシジミチョウ」より:ミヤマシジミが四年で五倍の数に



■著者紹介

宮下 直 (みやした・ただし)

2016年から長野県上伊那郡飯島町でのミヤマシジミの棲息地の本格調査を開始し、町民や行政・関連団体との連携により保全のための研究活動が継続している。2023年1月には、NHKスペシャル「生きもの超・進化論」で紹介された。
自らも南信州飯田市の出身。1985年、東京大学大学院農学系研究科林学専攻修士課程修了。現在、東京大学大学院農学生命科学研究科生圏システム学専攻教授(農学博士)。生態学を専門分野とし、主な研究テーマは「生物多様性」。日本生態学会会長(2022-2024)、日本蜘蛛学会会長(2012-2017)。著書に『群集生態学』(共著、東京大学出版会2003)、『生物多様性と生態学』(共著、朝倉書店2012)、『生物多様性のしくみを解く』(工作舎2014)、『となりの生物多様性』(工作舎2016)、『人と生態系のダイナミクス1 農地・草地の歴史と未来』(共著、朝倉書店2019)ほか多数。




■関連情報

2024.3.19〜21 日本生態学会大会にて展示販売
横浜国立大学で開催される「第71回日本生態学会大会」の企業協賛展示に出展します。『ソバとシジミチョウ』の宮下直先生が日本生態学会会長である縁で、工作舎は今回が初参加。宮下先生の著書をはじめ、生物学系の関連書籍を展示販売いたします。学会参加者のみなさま、ぜひお立ち寄りください。

日時:2024.3.19(火)〜21(木)
大会公式サイト:https://esj-meeting.net/home_ja/
展示販売会場:横浜国立大学 都市科学部棟2F

2023.12.3 柏の自然と生きものフェスタ2023 著者講演
「今、なぜ生物多様性か?人と自然の関係から考えよう」

日時:2023.12.3(日)10:00〜11:30
会場:アミュゼ柏1Fプラザ
  (千葉県柏市柏6丁目2−22)
参加費無料、事前申し込み要
問い合わせ:NPO法人 かしわ環境ステーション

2023.12.2 ミヤマシジミサミット2023 著者講演
テーマ:「ミヤマシジミの保全手法」

日時:2023.12.2(土)13:30〜16:40
会場:長野県飯島町文化館 大ホール
  (長野県上伊那郡飯島町飯島2489)
プログラム:
・基調講演1 「長野県の絶滅危惧種と環境の変化」
        須賀 丈 氏(長野県環境保全研究所 自然環境部長)
・基調講演2 「『ソバとシジミチョウ』再考‐人と自然の関係を取りもどすには?」
      宮下 直 氏(東京大学大学院 教授)
・保全団体の活動報告
・パネルディスカッション など
入場無料(会場対面参加は事前申込み不要)
オンライン参加は事前申込みが必要
問い合わせ:ミヤマシジミ研究会

東京堂書店神田神保町店にてフェア
東京堂書店神田神保町店フェア


くまざわ書店武蔵小金井北口店にてフェア
くまざわ書店武蔵小金井北口店フェア




■書評

2024.8 土木学会誌「わたしの本棚」 日本総合研究所の長谷直子氏
…里山のような場所は減ってしまった。これにより生態系が変化したことで一部の野生動物が増え、農作物被害などをもたらしている。野生動物が都市部に出没するようになったというニュースを耳にする機会も増え、人と自然と生物の関係が何かおかしくなっているという実感ともリンクした。脱自然化はさらに、アレルギー疾患の増加や心の病を抱える人の増加など、新たな問題も引き起こしているという。人と自然の適度なつながりを取り戻すことこそが、生態系や人間社会の持続可能性のカギになると、宮下先生は締めくくる。… [土木学会誌へ]

2024.4.17 日本獣医生命科学大学 付属図書館ホームページ
…本書『ソバとシジミチョウ』の著者もまた、コトバ感覚がとんでもなく鋭い先生である。『古事記』に登場する「豊秋津洲」を「秋津洲というからには無数のトンボが飛んでいたのだろう」と、その光景を想起させてくれたり、「マンモスかわいい」という言い回しを紹介して「しかしケナガマンモスはアジアゾウサイズである」と教えてくれたりと、そのたび「さすがです先生!」とにんまりしてしまう。… [全文は日本獣医生命科学大学 付属図書館ホームページへ]

2024.1 日本生態学会ニュースレター 辻かおる氏(神戸大学理学研究科生物学専攻)
…本書を通したキーワードとなる、ヒトが昔からごく自然に環境と付き合ってきた「親自然」と、近年急速に進んでいる「脱自然」。SDGs を掲げた研究や、「自然との共生」を謳った取り組みの中にも、「脱自然」の潮流を推進するものも少なくないように感じる。「脱自然」化に伴い、生活が便利になり、科学技術が進歩したもの確かではあるが、私達は自然の中の一種にすぎないヒトである以上、「脱自然」をこのまま推し進めるのに無理があるのもまた自明である。環境問題に直面する現在において、「親自然」と「脱自然化」、この真逆ともいえる二つの思想の折り合いを今後どのように見つけていくのか? 私達は今どこに向かっているのか?を今一度考えさせられる1 冊となっている。…

海外ニュース記事に
本書『ソバとシジミチョウ』に結実した宮下直先生らによる絶滅危惧種ミヤマシジミの保全の取り組みの概要が、 Mongabay(米国の環境ニュースサイト)で紹介されました。この新聞は月100万件の閲覧があるそうです。
この記事を受けて、Christian Science Monitor’s weekly(国際的オンライン新聞)でも紹介。こちらのサイトは、月に平均500万回以上閲覧されており、非常に影響力があるそうです。
東京大学大学院農学生命科学研究科・農学部のサイトより)

2024.1.12 日本応用動物昆虫学会 横井智之氏(筑波大学大学院生命環境系)
…ぜひとも世代や分野を超えて多くの方に読んでいただきたい.そして読了後は,現地を訪れることをお勧めする.著者の研究内容や活動の様子を文字で読むだけでは物足りない.この本でも述べられているように,生態系を五感で感じてほしい.それは難しく考えることではない.例えば,飯島町でふらっと店に入って,打ちたての蕎麦を一気にすする.お腹が満たされたら,白いソバの花咲く畑と黄金色の稲穂がみのる水田の傍を歩こう.熱心に農作業している人たちが見える.そして畔まわりを飛び交うミヤマシジミやほかの多くの昆虫たちが目にとまるだろう.その光景にこそ,人が自然やほかの生物とともにあるべき姿が見い出されるのではないだろうか.

2023.12.1 週刊読書人 三中信宏氏
人間社会の将来を生物学的に見据える
——絶妙な生体システムを存続させるために

『ソバとシジミチョウ』といういかにも耳あたりのよい書名からは、本書が生態学の最新の研究成果を踏まえた現代社会への問題提起と将来への提言を訴える内容は想像できないかもしれない。
…“ソバとシジミチョウ”はたしかにローカルな生物相の一部だ。しかし、そこから導かれる生態学的な知見は他のもっとグローバルな場面にも敷衍できるだろう。著者はそのことを身をもって示している。一読に値する新刊である。 [読書人公式サイト]

長野県飯島町広報誌「いいじま未来飛行」2023年11月号
飯島町でのミヤマシジミやソバの研究が本になり、研究の中心を担ってきた東京大学の宮下直教授や大学院研究者へのインタビューが掲載されました。
自然豊かで美しい飯島町の宝「ミヤマシジミ」
—小さなチョウがいつまでもこの街で暮らせるように—

…宮下:これまで自分がやってきた研究の集大成のようにまとめていきました。第1章では人と自然の関係性や歴史、第2章では里山の生物多様性、第3章で具体例として2017年からの東大チームの飯島町での研究の話があります。題し4章では人と自然の関係性をどう取り戻していくかのアイデアを書いています。写真をふんだんに使って、専門書のように難しく書かず、さまざまな方に読んでもらえるようにわかりやすい文章になっていると思います。… [飯島町公式サイトには「いいじま未来飛行」各号のpdfがあります]

2023.11.19 日本農業新聞
…日本の里山を舞台に繰り広げられてきた人、自然、生物の相互依存的な関係は、いかにして生じ、どんな問題を引き起こしてきたか。その関係性は、長大な時間で形成されたものに、ここ数十年で起きた新たな相互関係が上乗せされていると解釈できる。本書は、この重層的な視点に立ち、転換点を迎えた人と自然の付き合い方を模索している。…

2023.11.18 信濃毎日新聞
本書はソバとシジミチョウだけの関係を扱った学術書かと思いきや、さにあらず。人と自然と生物の関係が形成されてきた経緯をたどる分かりやすい歴史書であり、ネットワークのようにつながった3者の関係性を浮かび上がらせる、「謎解き」のような科学エッセーである。…

2023.10.11 農業共済新聞
…人と自然、生物の多様なつながりを生態学者の視点で解き明かし、生物多様性に寄与する人と自然の絆の復権を提唱している。






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