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生物多様性のしくみを解く[詳細]

目次著者紹介関連図書書評



危機は回避できる !

トキ、ミヤマシジミ、ベッコウトンボ、
カワラノギク、イシカワガエル……
なぜ、絶滅の淵にあるのか、その理由を知ることから始まる。

自然は一度完全に失われれば取り戻すことはできない。また、生物の種も一度地球上から絶滅すれば、いかに進化の力をもってしても復元することはできない。だが、今はまだ諦めることはない。完全に絶滅した生物は、そう多いわけではないし、自然にもまだまだ治癒力が残されているからである。

(第4章「生態系の治癒力」より)




■目次

序:人類の出現と病める地球生態系

第1章:共通のルーツ

生命の誕生と地球環境の形成
種の形態と、それぞれのライフスタイル
多様な生物に、共通するしくみ
共通のルーツから多様な誕生へ

第2章:生態系のしくみ

多くの種が棲める理由
  I:資源分割 II:「共生」関係  III:食物連鎖
生態系とそのつながり
生態系のバランスと平衡
ネットワークで維持されるバランス

第3章:問題の実態

減り続ける生き物たち
  I:ニホンオオカミ・・・ II:草原性の蝶たち・・・ III:熱帯林、渡り鳥・・・
増えすぎた生物
  I:野生動物  II:外来種   III:共通するしくみ

第4章:対策と治療

生物多様性を守る自然公園
生態系の治療
  I:トキの野生復帰  II:草原の生物を守る  III:外来種の駆除

第5章:多様性の原理

「生物の多様性」は、なぜ必要か
  I:自然の恵み、生態系の弾力性  II:「ただの虫」や「眠れる番人」
生態系の多様性=場の多様性
多様性の共通原理



■著者紹介

宮下 直(みやした・ただし)

1961年、長野県飯田市生まれ。伊那谷の豊かな自然に育まれ、子供のころから「生き物博士」と呼ばれた。1985年、東京大学大学院農学系研究科修士課程修了。現在、東京大学大学院農学生命科学研究科、生圏システム学専攻教授(農学博士)。2012年には日本蜘蛛学会会長に就任。日本各地の生態系や生息地のネットワークを科学的に検証し、第六の大量絶滅の危機を回避する方法を探究する。




■関連図書(表示価格は税別)

  • ガラス蜘蛛 M.メーテルリンク/宮下 直=解説 1800円
  • 滅びゆく植物 ジャン・マリー=ペルト 2600円
  • 屋久島の時間  星川 淳 1900円
  • 地球の庭を耕すと  ジム・ノルマン 1900円
  • ガイアの時代  J・ラヴロック 2330円
  • 新ターニング・ポイント  フリッチョフ・カプラ 1900円



  • ■書評

    2014.7.23 信濃毎日新聞にて著者・宮下直さんインタビュー
    自然界の異変 解決の糸口探る
    人間と動植物が共存する豊かな自然とは何か—。…かつては身近な存在だった昆虫や植物が急速に姿を消しつつある一方、シカやイノシシが急増するといった問題も起きている。「ばらばらに見える自然界の異変を読み解き、解決の糸口にしたかった」と宮下さん。…
    …宮下さんは日本が歴史的に築いてきた草地や中山間地の自然の再管理・再利用を提唱。「昔のようなやり方で手を入れるのは難しい時代だが、耕作放棄地へ放牧したり、草を家畜の飼料にしたり、バイオエタノールをつくったりするなど、さまざまな案が考えられる。新しい観点から経済ベースに乗せていく知恵を出し合っていくことで、豊かな生態系を取り戻すことができる」と訴える。

    2014.6.11 農業共済新聞「自著を語る」
    …最近各地で行われている野焼きや定期的な草の刈り取りも、今は絶滅危惧種となってしまった秋の七草や草原性の蝶類の復活に貢献しています。こうした農業の復活は一方で、数が増えて農業や生態系に大きな影響を与えているシカやイノシシの増加を抑える役割もあります。見通しの良い環境や人間活動のそれ自体が、野生動物の活動を制限しているからです。だから、人間活動と生物の多様性の保全は、決して対立するものではありません。私たちの暮らし方や考え方次第で、どうにでもなるものです。この本では、そうした知恵を随所で紹介しています。騙されたと思って、ぜひ読んでください。(宮下 直)

    2014.5.31 南信州新聞書評
    飯田出身、故郷での原体験が説得力に
    …子どものころから「生き物博士」と呼ばれるほどに昆虫や鳥類、クモ類など伊那谷の豊かな自然に親しんだ。同書ではそんな子ども時代の原体験や、原風景が文中のあちこちにちりばめられている。

    日本蜘蛛学会ニューズレター「遊絲」2014.5.26 書評
    …この本を読むまで、評者は地球規模での環境破壊を阻止する手立てなど存在しないだろうと考えていた。けれども、そう悲観的でもなさそうだ。自然のしくみを詳しく調べ、バランスが崩れた理由を正しく診断して、人間の営みをも考慮しての対策を見出せば、著者が言うところの「第6の大量絶滅」の淵から生物を、そして自然を救い出すことができるかもしれない。そのためには、科学者がその研究の成果を分かりやすく一般大衆に示すことが何よりも肝心だろう。この本は、まさにそうした役割を担ったものといえよう。(新海 明)




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