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時間の矢・時間の環[詳細]


バーネット、ハットン、ライエルの世界観を問い直す

は「めぐる」か「過ぎ去る」か?



■目次より

第1章 悠久なる時間の発見
    悠久なる時間
    悠久なる時間をめぐる神話
    二分法について
    時間の矢と時間の環
    予告記載
第2章 トマス・バーネットの時間の戦場
    バーネットの扉絵
    教科書におけるバーネット像
    科学と宗教の対決なのか
    バーネットの方法論
    歴史の物理的過程
    時間の矢と時間の環:衝突と解答
    「時間の矢と時間の環」なる概念を鑑みた場合の知的パートナーとしてのバーネットとステノ
第3章 ジェイムズ・ハットンの地球論:歴史を持たない機関
    時間の深淵を描く
    ハットンの地球機関と悠久なる時間の準備
    ハットン伝説
    自らの伝説を無に帰すハットン
    必然的循環性の源
    ハットンのパラドックス:悠久なる時間の発見者は流れ去る歴史をなぜに否定したのか
    ボルヘスのジレンマとハットンのモットー
    プレイフェア:相違点をかかえた忠実なる伝記作家
    結論と展望
第4章 チャールズ・ライエル:時間の環の歴史家
    イクチオサウルス教授事件
    自ら紋切り型解釈を仕立て上げたチャールズ・ライエル
    ライエルのレトリックが収めた勝利:激変説のミスキャスト
    ライエルによる時間の環の弁護
    時間の環の歴史家ライエル
    ライエルの世界観の部分的氷解
第5章 境界
    ハンプトンの玉座とバーネットの扉絵
    さらに深遠な「矢と環」というテーマ




■著者紹介:スティーヴン・J・グールド Stephen Jay Gould 1942-2002

ニューヨークに生まれ、オハイオ州アンチオック大学卒業後、1967年、コロンビア大学で古生物学にて博士号を取得。1982年、エルドリッジとともに発表した「断続平衡説」により、進化論の正統派とされた漸進説に異をとなえ、世界中の研究者の注目を集めた。
1973年よりハーヴァード大学の地学教授として古生物学、地質学はもとより、科学史から進化生物学の最前線までを渉猟。創造説や擬似科学批判、社会生物学批判の頭目としても精力的に活動する。
1974年1月号より2001年1月号まで『ナチュラルヒストリー』誌に連載したエッセイが『ダーウィン以来』『パンダの親指』『フラミンゴの微笑』『ニワトリの歯』『がんばれカミナリ竜』『八匹の子豚』『干し草のなかの恐竜』『ダ・ヴィンチの二枚貝』(早川書房)としてつぎつぎに邦訳され、日本でも広範な読者を獲得。
単行本『人間の測りまちがい』(河出書房)、『個体発生と系統発生』(工作舎)、『嵐のなかのハリネズミ』『ワンダフル・ライフ』『フルハウス 生命の全容』『暦と数の話』(早川書房)も、日本版刊行のたびに話題をよぶ。
2002年5月20日逝去。

遺著となった大著『The structure of evolutional theory』も渡辺政隆訳で工作舎刊行予定。




■書評

池内了氏が年頭エッセイ「複数の時間を生きる:「生物時間」忘れた人類」で言及
(『朝日新聞』1997年1月14日)
「私たちは、螺旋階段を上るように、生物時間の環を繰り返し回りながら、物理時間の矢が示す方向へ進み行く時間の旅人なのである。生命は、「めぐる」時間と「すすむ」時間の組み合わせで進化してきた。私たちは、複数の時間が紡いできた自然の織物なのである(S・グールド『時間の矢・時間の環』工作舎)」



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