となりの生物多様性 [詳細]
きっと腑に落ちる。
微生物の力、花粉症対策、バナナの危機、
ハスの葉やクモ糸からの技術、色の名前、森と認証マーク、
市井のナチュラリスト…
私たちは多様な生き物と共にくらしている。
心を満たす持続可能な価値観の提案を、
多様な生き物のエピソードをまじえて綴る。
■目次 |
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第1章 多くの医薬品は生物多様性の恩恵
大村智博士が解く微生物の力微生物からのご利益は無限
第2章 「食」から見る生物多様性
豊かな魚食材があるくらし野菜、果物、穀物の歴史とともにある
野菜や果物を支える虫たち
第3章 健康な生活と生物多様性
体の健康と微生物の関係自然と人のほどよい距離
第4章 生物に学ぶテクノロジー
バイオミメティクスとは?生物から学ぶ無限の可能性
第5章 日本の文化と生物多様性
気候、地形がもたらすもの歳時記にみる生物
季語の多くをしめる生物
日本の伝統色と生物
第6章 生物多様性から未来を望む
もはや坂の上に「雲」はないトレードオフ解消のための政策を
認証制度を知る
革新的な技術開発があり得る
価値観の転換
教育について思うこと
おわりに
■関連図書(表示価格は税別) |
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■書評 |
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●公益財団法人日本自然保護協会会報「自然保護」2017年1・2月号
分かったようで分からない「生物多様性」を私たちの暮らしにかかわる話題から具体的に解説。…日々生物多様性に支えられていることを実感できる一冊。
●日本蜘蛛学会学会誌「Acta Arachnologica」書評
…著者はこれまでにも生物多様性に関する一般書や教科書を多く執筆されているが、本書はより幅広い読者を想定してか、これまで以上にカジュアルなワードで分かりやすい例えが用いられており、難しい事象であっても感覚的に理解しやすい工夫がなされている。例えば、第4章のハスの葉のもつ撥水効果の仕組みを運動会の「大玉ころがし」に例えている点は秀逸である。…一般の方々に生物多様性の大切さを伝えたいという著者の並々ならぬ意欲を感じる。…
●「伊那谷の自然友の会」会報誌「伊那谷の自然」書評
私たちは、「日常生活は生物多様性とは無縁である」と思いがちである。しかし、この本を読むとそれは全くの誤りで、一秒たりとも生物多様性の恩恵無しにはいきていくことができないということに気づかされる。医食住をはじめ、文化や文学から最先端技術に至るまで、私たちの暮らしを支えるほとんどのものは、地球上に生物多様性が存在していることの賜であったのだ。…
●2016.11.20 信濃毎日新聞書評
品種改良の見えない落とし穴
イタリアのトマト料理に韓国のキムチ。それぞれ両国の古くからの伝統料理だと思いこんでいたが、いわれてみればそうではないことに、本書を読んで気がつき、目からウロコが落ちた。
…作物は大きな実、おいしさ、病害虫への強さなど、工夫を重ねて品種改良されてきた。その結果として、優れた少ない品種だけが広範囲に栽培されることになるが、そこに落とし穴が生じる。どのような悪条件にでもオールマイティーに対処できる品種は存在しないので、むしろ「生物多様性が低い結果、とんでもない災禍」へと発展するのだ。…(評:瀧澤美奈子/科学ジャーナリスト)
●2016.11.15 朝日新聞夕刊エコ欄紹介
暮らしのそばにある「生物多様性」を紹介
すっかり市民権を得ているが、いま一つ意味がつかみにくい生物多様性について、「となりの生物多様性」は身近な暮らしに引きつけて説明している。
2015年にノーベル医学生理学賞を受賞した大村智さんが開発したイベルメクチンなど、多くの医薬品は微生物が作り出した物質がもとになっている。…
●環境ビジネスの求人サイト「エコリク」宮下直氏のインタビュー
社会のニーズに応えられる
広い視野を持った人材を育てたい
…千葉県のシカの研究にも取り組んできたのですが、途中からイノシシが出てきまして、まず数をどう推定したらいいか、その上でどう管理したら効率的か、という研究も行ってきました。うちの研究室では、2005年頃から生物の分布や個体数を予測するという研究を始めています。日本の流れもそうなりつつある、つまり仕組みを明らかにするだけでは問題解決にならない、将来どうなるか、あるいはどうしたら将来がどう変わるか、というシミュレーションを空間明示型でやるようになりました。野生動物の管理も希少生物の保全も、今はそうしたことが求められています。…
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●2016.10.30 日本農業新聞 池田清彦氏書評
触れ合いで共生に希望を
…本書は生物多様性を論じたというよりも、生物多様性にまつわる、さまざまな蘊蓄を披露した雑学本といってよい。扱う話題も医薬品や食材といった、生活に密接に関係している事柄から、ヒトと共生している腸内細菌の話、生物の持つ能力に学ぶ技術開発、はては花鳥風月の話題まで一般の人にも分かりやすく書かれており、読めば誰かに話したくなるような知識がいっぱいである。…
●2016.10.9 南信州新聞書評
物理学も俳句も、自然を表現する
…本書が決して理科系の書でないことを示すのが第5章。生物多様性はじつは私たちのもっと奥深いところでつながっている。それが「文化」であり「心」だと著者は言う。
気象や地形がつくり出す日本独自の自然条件は、社会にも文化にも多様性をもたらした。例えば歳時記や俳句、あるいは日本の伝統色。そこには多様な動植物が入り込んでいる。
著者は言う。「物理学と俳句の間に関連を見いだすのは難しいが、手法が違うものの、自然を表現するという点では共通している」
『生物多様性が人間の知恵を育て、それが巡り巡って生物多様性を守るというフィードバックの構図』と著者。ほしかったのは、そういう頼もしいオプティミスムである。
●自民党女性局機関誌『りぶる』2016年10月号紹介
生き物の面白エピソード満載
…生物多様性をキーワードに、生き物の面白さや持続可能な暮らし方を考えます。
●日経サイエンス 2016年10月号紹介
巨大台風や洪水など自然災害のニュースを見聞きしても、それだけでは環境に目を向けるきっかけになりにくい。著者は環境問題の背景にある生物多様性の危機を理解してもらうために、説得力があって面白いと感じた話題を集め、それらを掘り下げて本書を構成した。微生物の力を新薬に結びつけたノーベル賞科学者大村智博士、ヒトが体内に持つ細菌の多様性、ヤモリの足の接着やハスの葉の撥水機能を利用したバイオミメティクスなど、興味をひかれる話題が並ぶ。…