TRA[詳細]
超絶多次元コミック大全
トラック、トラップ、トランスジェンダー、
トラブル、トラウマ、トラ・トラ・トラ、
虎には虎の虎がある、虎思う故に虎あり。
唯虎独尊、虎軍奮闘、やれ打つな、
虎が手を摺る足を摺る。
デジタルなアナログ、
道理で不条理、
宇宙の果てか、重箱の隅か、
空想錯綜、妄想炸裂、
タイガー立石の超絶多次元作品集。
■目次より |
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みてみて劇場 | 「トトとポンチョ:宇宙人がいっぱいのまき」より |
■関連情報 |
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●ブックファースト新宿店 イベント&フェア
ブックファースト新宿店・芸術書コーナーにて、タイガー立石作品のパネルを展示したフェアを開催中です。 そして、4/10(土)にはデザインを担当した祖父江慎さんと、ゲストの美術家・伊藤ガビンさんによるトークショーを開催! 題して「タイガー立石にうっとらコンニャロメ!」。 |
●紀伊國屋書店新宿本店・別館2Fコミック売り場でフェア
紀伊國屋書店新宿本店・別館Forest2Fコミック売り場でフェア開催。特製ポスターを飾り、タイガー立石さんの絵本、祖父江慎さん造本の漫画、杉浦茂、タナカカツキの漫画など、関連図書も集めて展開中。新宿本店では1Fサブカルコーナー、6F美術にも置いてあります。どうぞお立ち寄りください。 |
■書評 |
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●週刊アスキー 2010.5.18 増刊号
私のハマった3冊 選者:近藤正高氏
没後12年を経て刊行された『TRA(トラ)』は、油絵や陶彫など多岐にわたる彼の仕事のうちマンガのエッセンスをつめこんだ一冊だ。そのなかには、僧侶たちがグニャグニャと変形し、ついにはドーナツにような姿になってしまうという、まさにトポロジーの概念を取り入れた作品もある。こうした変化自在こそタイガーが得意としたものだった。
●装苑 2010年5月号
見る者を無条件に圧倒する想像世界を凝縮したコミック大全となる本書は、21世紀の若い“タイガー初心者”の入門書にうってつけ。タイガーに引けを取らないほど奇想に満ちた祖父江慎による造本・構成も圧巻。狂暴的なパワーを放ちながらも、どこまでもエレガントな作品世界に酔いしれてしまう。
●デザインの現場 2010年4月号
伝説のアーティストのコミックを集大成!
岡本太郎や田名網敬一が若い世代に再発見されている今、そろそろタイガー立石にも、スポットライトを当てるべき頃合だろう。むしろ、そのナンセンスな世界観は、2010年の幕開けにふさわしいようにも見える。
…『TRA』のアートディレクションと構成を担当したのは、本誌でもおなじみ、祖父江慎。タイガーは1998年に没したが、祖父江の起用は未亡人直々の氏名だったらしい。その甲斐あって、タイガーのトポロジカルな感覚、言い換えると、奇妙奇天烈で、摩訶不思議なセンスを、本自体が体現した造りになっている。…
●美術手帖 2010年4月号
なかでも目を引くのは「コマ割」に対する指向性であろう。そこでは、漫画というメディアに真摯に向き合いながら、次元を軽々越境するかのような溢れんばかりの創造力があらわになっている。98年の56歳という早すぎる死が、今なお惜しまれる。
●HANAKO 2010.4.8号
その厚さおよそ3.5センチ、金色に光る背表紙もまぶしい『TRA』。美術、デザイン、絵本など、60年代から98年に亡くなるまで様々なジャンルで作品を発表してきたタイガー立石(立石大河亞)の漫画作品をまとめた一冊だ。
●2010.3.16 西日本新聞夕刊
1998年に56歳で亡くなった著者は漫画家や絵本作家、陶芸家など多彩な顔を持ち、ナンセンスギャグで赤塚不二夫に影響を与えるなど、クリエーターたちの創造力を刺激してきた。
●2010.3.14 読売新聞 椹木野衣氏
流儀外れ尊重したもの
渡欧時代から描かれた連作「コマ割絵画」は油絵だが、画面はマンガとして読むこともできる。逆に本書では紙に印刷されたマンガが、別の機会ではタブローとなり、果ては立体作品へと変貌を遂げている。つまり立石の試みとは、異なるジャンルに分断することで維持・管理されてきた諸芸術を、ひとつのイメージをめぐって貫通的にメタモルフォーゼさせる手法の、生涯にわたる探求であったと考えられる。異ジャンルの階層なき並列では近年、現代美術作家である村上隆の「スーパーフラット」が著名だ。…立石がアート(ART)や自分の名より尊重したものは、なんだろうか。
それこそが「トラ(TRA)」だろう。本書でもトラ(虎)はその縞模様を自在に操り、前衛も具象も抽象も伝統もサブカルチャーもすべてを潜りぬけ、いつのまにか宇宙の彼方へと姿を消してしまう。この隠遁の術にこそ「トラ」芸術の極意を見た。
●朝日新聞 ササキバラ・ゴウ氏
コマから生成される物語
その楽しさは、アイデアやスタイルの奇抜さももちろんだが、コマが次のコマに向かってどう展開していくかわからない、ダイナミックな読み味がもたらしている。すでに出来上がった物語をコマで表現していくのではない。コマから次のコマが生成されていく経過そのものが、物語やイメージを生み出し、読む者の気持ちをわくわくさせる。そんな、まんがを読む楽しさの原点を改めて実感させてくれる。
これを読むと、なんだか現代の多くのまんがの表現が、どこか窮屈なものに感じられてくるから不思議だ。
●2010.2.22 東京新聞夕刊コラム「大波小波」
タイガー立石の宇宙
彼は筑豊の炭坑作業員の子として育った。苦学の末に美術を学び、1960年代中ごろに読売アンデパンダン展の最終回に作品を出展できた。その後彼は漫画家に転身し、赤塚不二夫のもとでニャロメという猫のキャラを考案した。それは68年世代にとって反権力の象徴となった。…(中略)
出たばかりの『TRA』(工作舎)という分厚い作品集の頁を捲っていて、タイガーの描いた想像的世界、いや宇宙の広大さを改めて認識した。そこにはすべての事物が自在に変形し、純然たるノンセンスが出現する。地上にある事物はどうしてひとつの形態に縛られていなければならないのか。タイガー立石は生涯を通してこの形而上学の問いを探究していたといえる。現在のストーリー中心、原作者付きの漫画家は、彼のあり方に何を学ぶだろうか。
●南陀楼綾繁さんのブログ「ナンダロウアヤシゲな日々」
2010.2.17 タイガー立石『TRA』に狂喜
造本・構成は祖父江慎。タイガーの奇想が乗り移ったかのように、やりたい放題にデザインしている。『遊』掲載の「帯漫画」は折込みだし、上下さかさまに入れているのもある。カバーにはバーコードのシールが貼られているが、このシールがヒョウタンみたいなカタチでしかもバーコードが斜めに印刷されている。これだと機械に通せないからと、某取次で突っ返されたという。マンガの間に、一枚モノのイラストが多く挿入されている。タイガーのマンガは読むというよりも眺めるのにふさわしいものだから、イラストとマンガは地続きの関係にある。こんな本が、『虎の巻』の版元のひとつ(思索社からも同じタイトルの別の内容の本が出ている)である工作舎から出たのは、当然の縁だろうし、よく出してくれたと思う。
1999年にO美術館で開催された「メタモルフォーゼ・タイガー 立石大河亞と迷宮を歩く」展の図録と、本書があれば、とりあえずタイガー立石を知るには足りるだろう(まだまだ未紹介の作品は多いにしても)。5000円は決して高くない。全文は「ナンダロウアヤシゲな日々」サイトへ
●アイデア 2010.3月号紹介
発売直前ながら『TRA(トラ)』が早々に「アイデア」に紹介されました。「祖父江慎による造本と構成も秀逸」。