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ジュール・ヴェルヌの暗号[詳細]
Jules Vernes, Initie et Initiateur

目次著者紹介関連図書書評


『地底旅行』『海底二万里』『八十日間世界一周』

驚異の旅」の謎を解く


貧乏神父が金持ちになったという陳腐な事実と、
その原因を説明するための壮大な伝説群・史実群とを総称して
レンヌ=ル=シャトー事件と呼ぶならば、
本書の第一の主題は、ヴェルヌがレンヌ=ル=シャトー事件に
かなり深く通じていたという事実を明かすこと、
そしてレンヌ=ル=シャトーに関する情報が
「驚異の旅」シリーズのさまざまな作品の中に
どのように埋めこまれているのかを示すことである。……
(訳者あとがきより)



■目次より

第1部 秘儀伝授者ジュール・ヴェルヌ フリーメーソンに奉仕する作品

1 ヴェルヌの暗号あるいは「謎の見本市」
  ジュール・ヴェルヌの謎
  明かすわけにいかなかった秘密
  トロバール・クルスと鳥の言語
  いたずら好き、言葉遊び好き
  昔から確立している隠語術
  ヴェルヌ「方式」
  注意せよ! 言葉遊びにはもう一つ別の遊びが隠されている…

2 宝は円の中にある
  『ジャンガダ』、ヴェルヌの暗号小説の原型
  ヴェルヌの全作品は暗号で書かれた巨大なメッセージである
  ウロボロスの蛇と円環の強迫観念
  宝は円の中にある
  ゲームの規則を知るだけでよい
  それでは検討を始めよう!

3 フリーメーソン会員ジュール・ヴェルヌ
  ヴェルヌとジュール・ダン氏
  地球の中心へのイニシエーションの旅
  『黒いインド』
  地球ノ内部ヲ訪レヨ、ソシテ誤リヲ修正セヨ、サレバ汝隠サレシ石ヲ見イダサン、
  あるいは『黒いインド』の神秘的探求
  『黒いインド』と『魔笛』:二つのフリーメーソン作品
  ヴェルヌとスコットランド・フリーメーソン

第2部 ジュール・ヴェルヌとレンヌ = ル = シャトーの王家の宝

4 ソニエール神父の宝
  ベランジェ・ソニエール
  最初の宝の発見
  謎の墓石
  降って湧いた財産
  ベランジェ・ソニエールの黄金はどこから出てきたか
  ソロモン神殿の黄金
  クレキエの謎と七枝燭台
  メロヴィスの子孫
  人もし我にシオンを語りなば
  偽物と偽物使用法
  『我アルカディアにあり』あるいは変造された墓石の謎
  ブデ神父のアルス・プニカとレンヌ = レ = バンのケルト環状列石

5 『クロヴィス・ダルダントール』あるいはレンヌ = ル = シャトーの秘密
  山の名前を持つ奇妙な船乗りについて知ることのできる場所
  クロヴィス・ダルダントールとメロヴィング王朝の黄金、あるいは宝の鍵
  名前の向こう側、あるいは言葉の力
  マジョルカ島の秘密
  オラン、黄金の手掛かり
  円環状の旅
  どう考えても塩にまつわる話が問題となっている
  ニコラ・プッサンとパクトロス川
  奪いとられるのを待っている宝
  そしてもしカタリ派が……
  ……聖杯と永遠の生命の塩

6 ヴェルヌとブデ神父の秘密
  薔薇、十字、レンヌ = ル = シャトーの「大いなる建築家」
  ジョルジュ・サンドと悦ばしき耕作者
  アクセル
  十字架の徴の下に、あるいは天使たちの秘密
  ヤコブと浅瀬の守護天使
  グノモンと穴の徴
  歌姫とハプスブルク家

第3部 ジュール・ヴェルヌと薔薇十字団の秘密

7 ヴェルヌと薔薇十字団
  アナトール・フランスとサン = シュルピス教会の天使
  アナトール・フランスとガバリス伯爵
  19世紀の薔薇十字団
  薔薇十字団員の世界一周
  ガストン・ルルーと『神秘の王』
  『綱渡りのドロテ』
  薪割り職人団とカルボナリ党

8 ヴェルヌとアルセーヌ・リュパンの秘密
  『カリオストロ伯爵夫人』とレンヌ = ル = シャトーの謎
  黄金の鍵を持つ男アルセーヌ・リュパン
  ここにもエマ・カルヴェの影がある
  奇厳城の秘密と歴代のフランス国王の財宝
  アンティフェール船長とアルセーヌ・リュパンの財宝

9 ヴェルヌと黄金の夜明け団
  黄金の夜明け団
  ドラキュラあるいは血の道
  ドラゴンと、魔術による不死
  カアルパチアの城にドラキュラの足跡を追うヴェルヌ
  不死の物語
  マティアス・サンドルフと血まみれの伯爵夫人

10 ヴェルヌと空洞の地球
  『緑の光線』の秘密
  薔薇十字団ブルワー・リットン
  ヴェルヌと地球の中心への旅
  空洞の地球
  「世界の王」と黒い力
  空洞の地球への入口レンヌ = ル = シャトー

第4部 昔トゥーレに王がいた

11ヴェルヌとバヴァリア啓明結社
  見たところ一貫性のない政治思想
  ヴェルヌあるいは貴族的無政府主義
  スパルタクスと奴隷たち
  バヴァリア啓明結社の精神的後継者ジュール・ヴェルヌ?
  バヴァリア啓明結社とボヘミアの旅

12 霧の中の杯
  霧の中の天使の爪
  『ポルフィルスの夢』
  Dei Mater あるいは紋章言語
  そして、徳利明神を飲め
  クロス・パッティの陰で、聖ジルの徴の下に
  おお、デメテルよ、子馬の母よ、黄金のありかを教えたまえ
  P・S
  天使の徴とアレクサンドル・デュマの秘密
  霧の中のナイチンゲール、あるいは『80日間世界一周』の秘密
  バヴァリア啓明結社の陰で
  『明らかにされた謎』

13 夜と霧
  ルドルフ・フォン・ゼボッテンドルフ、薔薇十字団からトゥーレ協会へ
  霧の中の黄金の杯
  極あるところ、緑児見いださん

第5部 黄金の砂から黄金のNへ

14 ネモ船長の秘密
  黒い天使
  夜に血を少々
  復讐者ネモ
  黄金の砂から黄金のNへ

15 神と向き合うヴェルヌ
  襲撃事件
  メランコリアの黒い太陽
  不死への旅立ち
  我アルカディアにあり  



■著者紹介:ミシェル・ラミ Michel Lamy

1948年フランスのビュイ= ド = ドーム県に生まれる。銀行の管理職をつとめるなど、経済の専門家である一方で、歴史、文学、秘教主義、伝統文化について、独自の研究活動をおこなっている。
著書に『バスク地方の秘密の歴史』(1980)、『ジャンヌ・ダルク』(1987)、『テンプル騎士団』(1994)などがある。




■関連図書

  • 北極の神秘主義  極地の神話・科学・象徴性・ナチズム ジョスリン・ゴドウィン 3800円
  • 超人の午餐   危険で痛快な大暴言小説 ルイ・ポーウェル 1600円
  • 薔薇十字の覚醒  隠されたヨーロッパ精神史 フランセス・イエイツ 3800円
  • バロックの神秘  タイナッハの教示画の世界像  エルンスト・ハルニッシュフェガー8000円
  • 綺想の帝国  ルドルフ2世をめぐる美術と科学 トマス・D・カウフマン 3800円
  • キルヒャーの世界図鑑  地下世界からバベルの塔まで ジョスリン・ゴドウィン 2900円
  • 星界の音楽  音楽の霊的次元 ジョスリン・ゴドウィン 3200円
  • 音楽のエゾテリスム  秘教的音楽の系譜 ジョスリン・ゴドウィン 3800円
  • 英国心霊主義の抬頭  19世紀末の社会精神史  ジャネット・オッペンハイム 6500円
  • 時間の矢・時間の輪  地質学的時間をめぐる神話と隠喩 S・J・グールド 2524円
  • 迷宮  都市・巡礼・祝祭…迷宮的なるものの解読 ヤン・ピーパー 4200円
  • 地下他界  アジアの地下世界と聖なる山 萩原秀三郎 2400円
  • 蜃気楼の楽園  聖なる山と神々の謎を解く ヘルムート・トリブッチ 3800円



  • ■書評

    風間賢二氏(『翻訳の世界』1998年3月)
    ヴェルヌの全著作は「思想性皆無で、子供向けの科学的衣裳をまとった単なる冒険小説」ではないという本が訳出された。……  ヨーロッパ最大のミステリのひとつにレンヌ = ル = シャトー事件があるが、この謎めいた事件を背景に、ヴェルヌはフリーメーソンを始めとして、様々な秘密結社と関連していたことを彼の作品は暗号として語っているというのだ。科学啓蒙家にして生粋の合理主義者と思われていたヴェルヌは、実は、オカルティストであったというのだから驚かされる。また、ヴェルヌばかりか、デュマ、ルソー、ルブランなどもレンヌ = ル = シャトー事件と秘密結社という視点から再解釈されていることも興味深い。
    まあ、ヴェルヌが神秘主義者であったかどうかはともかく、ひとつの歴史的事件を軸にして、評価の定まった作家の別の顔をあぶりだしていく著者のオブセッションに脱帽の一冊である



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