地球の庭を耕すと[詳細]
Why We Garden
ジム・ノルマンは真の音楽家だ。
だから足を地に着けて、大切な自然とコミュニケーションを図る。
忘れかけていた当然のことが、
“正々堂々”と書かれている。
宮本亜門(演出家)
■目次より |
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序章 ローカルな庭
いま、この場から/「支配」ではなく「参加」する現場倫理から環境美学へ/じつは、たった一歩のところ
1月 一本の庭 冬至=誕生の兆し
セコイアの未来/時のメッセンジャー木を植えること/深い絆のまなざし
2月 どこにもない庭 トマトの種蒔き
庭めぐりという旅/ユートピア・家庭・菩薩道楽園症候群に要注意
3月 土壌の庭 花のパレード
土壌の歴史を照らす/過剰消費の背後で自発的開業へ/豊かな土づくり
4月 心ある庭 春を告げる
シカと表意フェンス/植物に意識があるならキャベツとの語らい
5月 ノウハウの庭 早期の灌水
長続きする庭を/大地/地球を経験する「根づく」いのち/骨格がほしい
6月 半現実の庭 バラの香り
自然界にない大輪の花/フラワーパワーの現実美意識について
7月 癒しの庭 ナメクジとの深いかかわり
ガイアを知るために/ハーブガーデンアルカロイドの薬効/庭に薬草博物誌
8月 捕食者の庭 冬野菜のために
まさか、シカが!/汗は報われる自然の輪の一員として
9月 聖なる庭 池ができた!
極北の地にて/生きて夢見る地球の断片ディープガーデニング/道(タオ)にいわく
10月 雑草の庭 竹が安くない理由
草取りこそが/利口なオニアザミもっと謙虚になろう/ガイアの選択
11月 創造の庭 段々畑へ石運び
場と芸術の関係/「大地の美学」があった玄関先を花と香りで/共進化する自然
12月 政治の庭 きょうの空は
もう一本のセコイア/根なし人間の自由とは「場の感覚」を醸成する
■関連図書(表示価格は税別) |
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■書評 |
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◎宮迫千鶴氏(『婦人之友』1997年10月)
……私の友人たちは雑草の共生する庭を愛してくれる。なにしろ私たちはジム・ノルマンが『地球の庭を耕すと/植物と話す12か月』(星川淳訳、工作舎)の中で「雑草に注意を向けることは、園芸家にたくさんのことを教えてくれる」という「ホリスティックな意識をもった有機園芸家」でありたいのだ。だから「非有機園芸家」のように除草剤に飛びつかない。
もっともそういうふうにいうと、ちょっとばかりカッコつけすぎているかもしれない。もう少し時間があれば、もう少しはそこに園芸家がいるという気配のある庭になるのだろうが、悲しいかな我が庭はいまのところ自然の力を眺める場になっている。しかしそういうふうに眺めると雑草もまたひどく美しいのである。 ちなみにこのジム・ノルマンの庭についての考察は、園芸という行為を通して地球(ガイア)の現在をエコロジカルに語った骨太なガーデニングの本である。哲学あり、生物学あり、農業論あり、食物論あり、精神医学あり、癒しをめぐる考察ありと、多面的な知性が横溢している。いわゆるハウツーものにあきたらない時に、美味しいコーヒーでもかたわらにおいて、知的園芸をするつもりでよむと楽しい。そういっていいなら男性的な園芸論だ