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恐怖の館[詳細]
The House of Fear

目次著者紹介関連図書書評


エルンストとの至上の恋愛の精華

「風の花嫁」とは誰だろう?
…花嫁は激しい生命と神秘と詩を燃料に、肉体を暖める。
彼女は本を読んだことはないが、すべてを飲み干した。花嫁は文字を知らない。
だがナイチンゲールは、花嫁が泉の石に腰かけて、読書しているのを見た。
自分に朗読していたのだが、動物や馬が近づいてうっとり聞き惚れた。
それは花嫁が、あなたたちが今手にしているこの真実の物語、
美しい言葉で書いた誠実で純粋な物語『恐怖の館』を呼んでいたからだ。

マックス・エルンスト(序文より)




■目次より

恐怖の館
 序文、またはロプロプは風の花嫁を紹介する マックス・エルンスト
 恐怖の館

卵型の貴婦人
 卵型の貴婦人
 デビュタント
 女王陛下の召喚状
 恋する男
 サム・キャリントン叔父さん

リトル・フランシス
 リトル・フランシス

キャリントン・アルバム

ダウン・ビロウ
 ダウン・ビロウ

1987年 後記



■著者紹介:レオノーラ・キャリントン Leonora Carrington

1917年4月6日、イギリスのランカシャーで、裕福な実業家を父にアイルランド人を母に、4人の子供の一人娘として生まれる。17歳で社交界デビューするが飽き足らず、父親の反対を押し切ってロンドンの美術学校に進む。1936年、ロンドンで開かれた国際シュルレアリスト展でマックス・エルンストの作品に打たれ、翌年本人と劇的な邂逅をはたす。エルンストを追ってパリ、さらには南仏に移り、シュルレアリスト・グループと交流。パリとアムステルダムの展覧会に出品するとともに、短編『恐怖の館』『卵型の貴婦人』を出版。1939年第二次世界大戦が始まり、ドイツ人のエルンストは強制収容所に送られ、キャリントンはスペインに逃れるが、精神病院に収容される。
回復後メキシコ人レナト・レドックと結婚、ニューヨークへ渡りシュルレアリスト・グループと再会。1942年以降はメキシコ在住。再婚したハンガリー人写真家のエメリコ・ヴァイズとの間の二人の息子ガブリエルとパブロを育てながら、絵画、版画、タピストリー、彫刻の分野で旺盛な創作活動を続ける。幻想小説『耳ラッパ』(工作舎)や多くの短編小説で、美術はもとより文学の分野でも国際的な評価を得ている。1997年10月、東京ステーションギャラリーを皮切りに、日本各地で展覧会が開催され、注目をあびた。
2003年7月19日より、東急文化村「ザ・ミュージアム」で開催された「フリーダ・カーロとその時代展」でも親友のバロとともにキャリントンの絵も公開される。




■関連図書(表示価格は税別)

  • 耳ラッパ  幻の聖杯物語 レオノーラ・キャリントン 2000円
  • 夢魔のレシピ   眠れぬ夜のための断片集 レメディオス・バロ 2500円
  • 夢先案内猫  フィニのワンダーランド・トリップ レオノール・フィニ 1400円



  • ■書評

    ◎ルイス・ブニュエル
    レオノーラの魂の深奥にて綴られたファンタジーは、彼女の絵の魔術的神秘の一端を明かしてくれる。

    ◎オクタビオ・パス
    レオノーラ・キャリントンのような女性の生命には、美しくも恐ろしいロマンティックな女神が甦る。

    ◎「シュールな動物的生命力」わたなべとしみち氏(bk1 2005/02/18) ★★★
    ……彼女の作品がグロテスクなユーモアを湛えながらどこかに巨大な不安の影を帯びているのは偶然ではないだろう。しかし「あまりにもパリ的」である多くのシュルレアリストの作品群の中で、カリントンの小説に登場する動物たちの生態にはたとえば『くまのプーさん』や『ピーターラビット』に通じるような透明さがあって、また後年メキシコに花開く女性シュルレアリズム(それは後にラテン・アメリカ文学に受け継がれるだろう)のおおらかな生命力を予感させる要素もあり、独特の魅力はいまも色あせない。 bk1サイト全文へ>>>




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