工作舎ロゴ 4月新刊ケプラー著『宇宙の調和』予告


ケプラー『宇宙の調和』表紙

ケプラー『宇宙の調和』表紙

歴史的名著、ケプラー『宇宙の調和(Harmonice Mundi,1619)』が、4月中旬刊行に向けて制作進行中です。上は表紙。ケプラーの5つの正多面体による宇宙モデルを3Dで表現してあります。
また、訳者・岸本良彦氏による解説から、本書の歴史的意義をご紹介します。

■解説より

…『宇宙の神秘』刊行後、グラーツでの最後の数年間に構想して温めてきた、調和による宇宙論の集大成が、『宇宙の調和』(1619)である。『新天文学』がひたすら観測データから惑星の運動と軌道を解明する、いわば近代自然科学の基礎を築き上げた著書であるのに対して、『宇宙の調和』は、いわばケプラーのあらゆる思索の総決算である。この書では、ケプラーが神学校時代から勉強してきた聖書、ピュタゴラス派、プラトン派、アリストテレス、ストア哲学、幾何学、ガレノス医学さらにグラーツで占星暦の作成にたずさわって以来の占星術理論と、『新天文学』で実測データにもとづいて確立した近代天文学とが響きあい、まさに調和している。ケプラーより以前には、当然のことながら、近代天文学にもとづく宇宙論はありえなかった。ロバート・フラッドの宇宙論をケプラーが余裕をもって反論したのはそのためである。しかしまた、ケプラーの3法則から万有引力の法則を導き出したニュートンによって近代科学へとさらなる一歩を踏み出したケプラー以降には、古代・中世思想の伝統を継承したこのような宇宙論の構想はなくなっていった。すなわち、『宇宙の調和』は科学史の分水嶺に立つケプラーのみが書くことのできたヨーロッパ思想史上の至宝と言えよう。「惑星の公転周期の2乗と太陽からの平均距離の3乗が比例する」という調和法則、いわゆる第3法則は、ケプラー研究者のカスパーが言うように、この至宝に輝きを添えるダイヤモンドのようなものであろう。







ALL RIGHTS RESERVED. © 工作舎 kousakusha