工作舎ロゴ 5月新刊『ジョルダーノ・ブルーノとヘルメス教の伝統』


ジョルダーノ・ブルーノとヘルメス教の伝統カバー旧 ジョルダーノ・ブルーノとヘルメス教の伝統

『ニューヨーク書評誌』書評

フランセス・イエイツの『ジョルダーノ・ブルーノとヘルメス教の伝統』がついに本日5/18発売となった。880ページもの大著にして高額のため、全国でも限られた主要書店に並ぶのみだが、長らく研究者・好事家に噂された名著を、ぜひ手にとって体感してほしい。なお上の表紙の金箔(黄色い部分)が左の予告時のものから、本番は右に変更された。この図は、ブルーノの著作『数学者たちに反対する諸論拠』に収録されたもので原著通りになった。つまり左は幻のカバーである。

さて、本書の内容に関する評価を紹介したい。訳者・前野佳彦氏の解説に、原著刊行時の書評(『ニューヨーク書評誌』)が引用されている。

ジョルダーノ・ブルーノは晩期ルネサンスから科学革命の時代への移行期を代表する雄勁な思弁的知性の一人であった。イエイツ女史の本著は、まさにこの移行の時代特有のさまざまな思潮の絡み合いをまざまざと示してくれるという点で特に啓発的なものである。それら思潮の中には、通例は注目されていなかった魔術という要因も思いがけない形で含まれていたことが明かされる。……イエイツ女史はブルーノがあらゆる点でこの移行期特有の時代精神を体現していたこと、そしてヘルメティズムの伝統は彼の時代においてそうであったように、ブルーノの裡においても活発な生命を保っていたことを明らかにした。

この引用を受けて訳者は次のように続ける。「この書評に対してはイエイツも会心の笑みを浮かべたことだろう。彼女が自身の著作の〈革命性〉(序を参照)を信じたとしたら、それはまさに自分が初めてブルーノにおける魔術的思弁に内在するヘルメティズムの契機の重要性に気がついたということ、その一点を廻っていると言っても過言ではないからである」。この序も引用しよう。

今まで誰一人としてブルーノをヘルメティズムとの連関で論じたことはなかった。わたしもこうしたヘルメティズム関係の先行研究に注意を払ってきたものの、しばらくの間は、ヘルメティズムとブルーノの関係に気づかないままだった。もちろんわたしはずっと以前から、ブルーノの著作、特に記憶を主題とした著作には魔術に関する記述が頻出することに気づいていた。しかしわたしはまだブルーノの魔術が彼の哲学の本質的部分を構成し、そしてその哲学はヘルメティズム的哲学という大きな範疇に包摂されるということを理解していなかった。ほんの数年前になって突然探していたものが見つかった。つまりわたしはルネサンス・ヘルメティズムこそがブルーノ理解の主な手掛かりであることを悟ったのである。ようやく正しい了解の鍵が発見された。…
本書が目指しているのは、…ブルーノをヘルメティズムの伝統の中に置くということ、それだけである。(序より)






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