工作舎ロゴ 5月新刊『ジョルダーノ・ブルーノとヘルメス教の伝統』


ジョルダーノ・ブルーノとヘルメス教の伝統

『ジョルダーノ・ブルーノとヘルメス教の伝統』、
8/29 読売新聞 野家啓一氏書評

フランセス・イエイツの主著『ジョルダーノ・ブルーノとヘルメス教の伝統』が、科学哲学者の野家啓一氏に書評していただきました。

豊かなルネサンス精神

文字通り「待望の」翻訳である。1964年に刊行された原著は、近代の曙という従来のルネサンス像を一変させ、それをヘルメス主義とカバラという魔術的宗教が支配する時代として描き出し、思想史や科学史の領域に甚大な影響を及ぼした。(中略)

ルネサンスの熱狂的なヘルメス信仰は、一種のアナクロニズム(年代錯誤)に依拠していたのである。この発見こそ、後の科学革命につながる「ルネサンスと近代を分かつ分水嶺」にほかならなかった。
だが、本書が活写するのは、このアナクロニズムがもたらした宗教思想の豊饒性という逆説であり、魔術と科学が矛盾なく両立していたルネサンス精神の混沌と不可思議なのである。博引旁証によって鎧われた碩学の大著を単独で訳出された訳者の労に敬意を表したい。 全文は読売新聞サイトへ >>>


なお、読売新聞の粋な計らいで、見開きで対になるかのように『フランシス・イェイツとヘルメス的伝統』(M.G.ジョーンズ著/作品社刊)の、前田耕作氏による書評も掲載されています。これはイエイツ女史の評伝です。

『フランシス・イェイツとヘルメス的伝統』書評

著者は、1964年、イェイツ64歳、彼女を「世界的な学問舞台」へと一気に押し上げた記念碑的著作『ジョルダーノ・ブルーノとヘルメス的伝統』(『ジョルダーノ・ブルーノとヘルメス教の伝統』のこと)の生成に焦点をあわせながら、イェイツの不安と苦悩に満ちた個の形成と歴史意識の核の熟成を撚り合わせ、女性として探究者として生き抜いたイェイツのすべてを描き出そうと試みている。
「見ることができさえすれば、すべては歴史の私自身の人生の中にある」、イェイツはこの仄かな確信を抱いて科学と魔術が並び立つ地平を眺望しつづけたのである。






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