『生物多様性のしくみを解く』宮下直さん、自著を語る
4月の新刊『生物多様性のしくみを解く―第六の大量絶滅期の淵から』の書評が相次いでいます。中でも農業共済新聞では著者の宮下直さん自らが綴っています。
2014.6.11 農業共済新聞「自著を語る」
…最近各地で行われている野焼きや定期的な草の刈り取りも、今は絶滅危惧種となってしまった秋の七草や草原性の蝶類の復活に貢献しています。こうした農業の復活は一方で、数が増えて農業や生態系に大きな影響を与えているシカやイノシシの増加を抑える役割もあります。見通しの良い環境や人間活動のそれ自体が、野生動物の活動を制限しているからです。だから、人間活動と生物の多様性の保全は、決して対立するものではありません。私たちの暮らし方や考え方次第で、どうにでもなるものです。この本では、そうした知恵を随所で紹介しています。騙されたと思って、ぜひ読んでください。(宮下 直)
日本蜘蛛学会ニューズレター「遊絲」2014.5.26 書評
…この本を読むまで、評者は地球規模での環境破壊を阻止する手立てなど存在しないだろうと考えていた。けれども、そう悲観的でもなさそうだ。自然のしくみを詳しく調べ、バランスが崩れた理由を正しく診断して、人間の営みをも考慮しての対策を見出せば、著者が言うところの「第6の大量絶滅」の淵から生物を、そして自然を救い出すことができるかもしれない。そのためには、科学者がその研究の成果を分かりやすく一般大衆に示すことが何よりも肝心だろう。この本は、まさにそうした役割を担ったものといえよう。(新海 明)