2月の新刊『ハンセン病 日本と世界』
2月にハンセン病フォーラム=編『ハンセン病 日本と世界―病い・差別・いきる』を刊行します。ハンセン病患者に隔離を強いた「らい予防法」廃止から20年。ハンセン病に関する報道や書籍を目にすることが多くなりました。そうしたなか、ハンセン病を多角的に捉え直す画期的な本をお届けします。
『あん』の作者・ドリアン助川、『ハンセン病文学全集』を編んだ加賀乙彦、療養所慰問を行う杉良太郎をはじめ、元患者、日本や世界で支援活動を行う人々など、総勢41名がさまざまな視点でハンセン病について語り、綴ります。療養所や生活用具の写真、病人を描いた絵巻や写本図版なども多数収録し、ビジュアル面からもアピールしたオールカラーの本。目次はこちら。
A5判変型並製、376ページ(オールカラー)、本体2500円、発売は2月上旬になります。どうぞよろしくお願いいたします。
療養所の現在 いのちの檻
小説『あん』の顛末 座布団一枚分の居場所 ドリアン助川
隔離と社会復帰 病み捨ての戻り道 伊波敏男
ハンセン病を撮り続けて ひとりと世界の物語 富永夏子
違例と救済―「癩」が歴史を語っている 松岡正剛
■目次
はじめに ハンセン病とは1章 いのちの出会い
療養所の現在 いのちの檻 写真=川本聖哉テレビ出演での出会い 私は何も知りませんでした サヘル・ローズ
山下道輔さんの記録 孤高の人 黒崎 彰
ある「語り部」の証言 怨念を消した後に 平沢保治
桜井哲夫さんを描く 幻の泪 木下 晋
ベトナムと熊本、療養所慰問記 遠山の金さん、恵楓園へ行く 杉 良太郎
医療と制圧活動 いつか「らい菌」とも共生できる 湯浅 洋
2章 語りのかたち
資料館収蔵品より 日々の道具 写真=永田陽一小説『あん』の顛末 座布団一枚分の居場所 ドリアン助川
戦後ハンセン病治療史と文学 「鼻の周辺」の周辺 佐藤健太
ライフストーリーを聞く 〈語りえぬこと〉をめぐって 蘭 由岐子
『ハンセン病文学全集』を編む 忘れてはいけない歴史の真実がある 加賀乙彦
愛楽園と「歌声の響」 「うた」の生まれた島
3章 こことむこう
療養所記録写真から 隠された「共和国」隔離の島で生きる ここがふるさと 中尾伸治
隔離と社会復帰 病み捨ての戻り道 伊波敏男
草津・湯之沢部落 病者にとっての「生きていく場所」 廣川和花
回復者と服でつながる ナグモ洋品店、本日も営業中 谷岡聖史
隔離と大衆社会 伝染る恐怖をめぐる制度と人情 武田 徹
4章 世界と結ぶ
ハンセン病を撮り続けて ひとりと世界の物語 富永夏子海外取材現場から 「不可触民」になるということ 華恵
ドキュメンタリー・ディレクターとして 〈病い〉を撮る 浅野直広
生きた歴史・生きられる場所 中国南部の隔離村を訪ねる 岡原功祐
日本財団とハンセン病制圧 いまだ闘いの途上 田南立也
世界の回復者の証言・アメリカ ハンセン病とスティグマの肖像 ホセ・ラミレス・ジュニア
世界の回復者の証言・ブラジル 九歳の少女のひとりぼっちの旅 バルデノーラ・ダ・クルス・ロドリゲス
世界の回復者の証言・インド 「リトル・フラワー」から ランバライ・シャー
国連決議と日本財団 差別の問題に世界が取組む 横田洋三
対談・ハンセン病制圧活動をめぐって
人類史の負の遺産に挑む 高山文彦+笹川陽平
スティグマとしてのハンセン病
違例と救済―「癩」が歴史を語っている 松岡正剛
アンケート
池田清彦・菅 直人/安倍昭恵/渥美雅子/金子兜太/麿 赤兒/村上陽一郎 /湯川れい子/香山リカ/制服向上委員会(野見山杏里・木梨夏菜)
回復者による写真作品
加藤 健/田中 栄/入江 信/伊藤秋夫/山本勝正
資料篇
ハンセン病年譜/グローバル・アピール/世界のハンセン病の制圧状況/棄民の島/国内ハンセン病療養所・資料館マップ/ハンセン病を読む