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10月の新刊『周期律 新装版』


周期律 新装版

アウシュヴィッツ体験を持つユダヤ系イタリア人作家プリーモ・レーヴィの自伝的短編集。アルゴン、水素、亜鉛、鉄……化学者として歩んできた日々を、周期表の元素とからめて語る。科学と文学を高純度に融け合わせた逸品。

本国ではウンベルト・エーコが「イタリア文学の至宝」と絶賛した本書。日本でも1992年の初版以来、熱心なファンをもちましたが、ここ数年は品切状態でした。ところが、今年2017年7月15日に鷲田清一氏連載「折々のことば」(朝日新聞)でとり上げていただき、急遽復刊することになりました!

さらに訳者の竹山博英先生によると、レーヴィの代表作『アウシュヴィッツは終わらない』が原題の『これが人間か』に改題して、朝日新聞出版より刊行予定とのこと。同じ10月刊行予定ですので、ぜひご注目ください。



■目次より

1 アルゴン Argon/2 水素 Idrogeno/3 亜鉛 Zinco/4 鉄 Ferro/5 カリウム Potassio/6 ニッケル Nichel/7 鉛 Piombo/8 水銀 Mercurio/9 燐 Fosforo/10 金 Oro/11 セリウム Cerio/12 クロム Cromo/13 硫黄 Zolfo/14 チタン Titanio/15 砒素 Arsenico/16 窒素 Azoto/17 錫 Stagno/18 ウラニウム Uranio/19 銀 Argento/20 ヴァナディウム Vanadio/21 炭素 Carbonio

■著者紹介:プリーモ・レーヴィ Primo Levi

1919年、イタリア北部の工業都市トリーノで、ユダヤ人の家系に生まれる。祖父は銀行家、父は技師で、恵まれた知的環境の中で育つ。37年、トリーノ大学に入学し、化学を専攻する。43年9月、イタリアがドイツ軍に占領された際、レジスタンス活動に参加するが、12月に捕えられ、アウシュヴィッツ強制収容所に抑留。45年1月、ロシア軍により奇跡的に救出される。

 帰国後、化学工場に勤めながら作家活動を開始。収容所での体験を書いた『これが人間か』(邦訳:旧題『アウシュヴィッツは終わらない』、朝日新聞出版、2017)Se questo è un uomo(1947)で高い評価を得る。この本は世界中で、ファシズムの暴虐を告発する記録文学として、『アンネの日記』と並んで読み継がれている。その後、『博物誌』(邦訳:『天使の蝶』、光文社文庫、2008)Storie naturali(1967)、『形の欠陥』Vizio di forma(1971)などでは作風を一変させ、幻想小説風のアプローチで現代文明の病を諷刺。その背後にはアウシュヴィッツで得た人間存在への深い洞察が感じ取れる。1979年には『星型のスパナ』La chiave a stella(1978)で、イタリアで最も権威ある文学賞のひとつであるストレーガ賞を受賞。

 本書『周期律』Il sistema periodico(1975)のほか、代表作に、『休戦』(邦訳:岩波文庫、2010)La tregua(1963)、『リリス』(邦訳:晃洋書房、2016)Lilìt e altri racconti(1981)、『今でなければ いつ』(邦訳:朝日新聞社、1992)Se non ora, quando?(1982)、『溺れるものと救われるもの』(邦訳:朝日新聞出版、2014)I sommersi e i salvati(1986)、インタビュー集に『プリーモ・レーヴィは語る』(邦訳:青土社、2002)Conversazioni e interviste1963-1987(1997)がある。創作活動が円熟の極みに達した87年4月、投身自殺を遂げた。


■訳者紹介:竹山博英(たけやま・ひろひで)

1948年、東京生まれ。78年、東京外国語大学大学院言語科学研究科博士課程前期課程修了。79〜81年、ローマ大学留学。立命館大学文学部教授を経て立命館大学名誉教授。イタリア現代文学・民俗学専攻。

著書に『シチリア 神々とマフィアの島』(朝日新聞社、1985)、『マフィア シチリアの名誉ある社会』(朝日新聞社、1988)、『マフィア その神話と現実』(講談社現代新書、1991)、『マフィア戦争』(集英社、1991)、『シチリアの春』(朝日新聞社、1994)、『ローマの泉の物語』(集英社新書、2004)、『イタリアの記念碑墓地』(言叢社、2007)、『プリーモ・レーヴィ アウシュヴィッツを考え抜いた作家』(言叢社、2011)など。

P・レーヴィ関連の訳書に『これが人間か(旧題:アウシュヴィッツは終わらない)』(朝日新聞出版、2017)、『今でなければ いつ』(朝日新聞社、1992)、『溺れるものと救われるもの』(朝日新聞出版、2014)、『休戦』(岩波文庫、2010)、『リリス』(晃洋書房、2016)など。

その他の訳書にO・ファラーチ『生まれなかった子への手紙』(講談社、1977)、L・シャーシャ『真昼のふくろう』(朝日新聞社、1987)、G・レッダ『父 パードレ・パドローネ』(朝日新聞社、1995)、L・カンフォラ『アレクサンドリア図書館』(工作舎、1999)、F・フェリーニ他『フェリーニ、映画を語る』(筑摩書房、1985)、『映画監督という仕事』(筑摩書房、1996)、B・ベルトルッチ『ベルトルッチ、クライマックス・シーン』(筑摩書房、1989)、C・ギンズブルグ『ベナンダンティ』(せりか書房、1986)、『神話・寓意・徴候』(せりか書房、1988)、『闇の歴史』(せりか書房、1992)、『ピノッキオの眼』(せりか書房、2001)、G・アヤーラ他『マフィアとの死闘』(NHK出版、2000)、C・レーヴィ『キリストはエボリで止まった』(岩波文庫、2016)、編訳『現代イタリア幻想短編集』(国書刊行会、1984)などがある。






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