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『社会実装の手引き』発売


『社会実装の手引き』写真

『社会実装の手引き——研究開発成果を社会に届ける仕掛け』が、本日7/9に発売となりました。主要書店ではすでに並んでいるところもあり、社会>行政や理工書>科学研究などの棚にあります。 写真で紹介します。


『社会実装の手引き』背
カバーはスミ+銀色インクで刷られているため、光にあてるとかすかに煌めきます。

『社会実装の手引き』中頁

『社会実装の手引き』写真
カバーを外した本表紙は銀色なので一層キラキラします。

「1990年代の新素材開発が華やかであった時代、大学の研究室からいきなりマーケットに飛び出して、あえなく討ち死にした例は枚挙にいとまがありません。…市場の課題を解決するには私の研究室における成果以外にはないという信仰です。信仰ですから何を言われようと聞く耳がない。…真のニーズを見誤るという過ちを繰り返さないために、社会の人々と研究者の徹底した対話を通して真の課題を同定しなければなりません」

これは「第2章 社会技術研究開発のすすめかた」のなかの「課題同定に必要な社会との対話」の一文です。
研究者にはかなり耳の痛い文章かと思われます。本書ではさらにに踏み込んで、研究者と社会をどのように結び付けるか、つまり行政や自治会、NPO法人などの仲介者との連携、問題の設計図をつくるなど、社会科学研究者向けのノウハウが詰まっています。詳細な目次をご覧ください。


■目次

はじめに

第1章 社会実装の具体例

研究開発成果実装支援プログラムの運営

こども
 01 e-ラーニングを核とする多様な学習困難に対応した地域単位の学習支援ネットワークの構築[正高PJ]
 02 発達障害の子どもと家族への早期支援システムの社会実装[神尾PJ]
 03 家庭内児童虐待防止に向けたヒューマン・サービスの社会実装[中村PJ]
 04 WEBを活用した園児総合支援システムの実装[安梅PJ]
 05 発達障害の子どもへの早期支援のための「気づき」・診断補助手法の実装[片山PJ]
 06 学校等における犯罪の加害・被害防止のための対人関係能力育成プログラム実装[小泉PJ]
 07 発達障害者の特性別評価法(MSPA)の医療・教育・社会現場への普及と活用[船曳PJ]
 08 エビデンスに基づくスクールソーシャルワーク事業モデルの社会実装[山野PJ]
 09 機能的近赤外分光分析診断法による注意欠如・多動症児支援システムの実装[檀PJ]
 10 エビデンスに基づいて保護者とともに取り組む発達障害児の早期療育モデルの実装[熊PJ]

安全・安心
 11 効率的で効果的な救急搬送システム構築[大重PJ]
 12 津波災害総合シナリオ・シミュレータを活用した津波防災啓発活動の全国拠点整備[片田PJ]
 13 油流出事故回収物の微生物分解処理の普及[斉藤・小谷PJ]
 14 投薬ミス・薬害防止のための、臨床事例を中核とした医療従事者向け情報交換・研修システムの実装[澤田PJ]
 15 物流と市民生活の安全に貢献するトレーラートラック横転限界速度予測システムの社会実装[渡邉PJ]  16 震災後の建物被害調査と再建支援を統合したシステムの自治体への実装[田中(聡)PJ]
 17 首都直下地震に対応できる「被災者台帳を用いた生活再建支援システム」の実装[田村PJ]
 18 農作物の光害を防止できる通学路照明の社会実装[山本PJ]
 19 ドライバーの居眠り事故防止のための睡眠時無呼吸症スクリーニングの社会実装[谷川PJ]
 20 高層ビル耐震診断に基づく帰宅困難者行動支援システムの社会実装[三田PJ]
 21 医師の高度な画像診断を支援するプログラムの実装[金PJ]
 22 間伐材を用いた土砂・雪崩災害警報システムの実装[下井PJ]

高齢者・弱者支援
 23 高齢者ドライバーの安全運転を長期間継続可能にする支援システムの社会実装[伊藤PJ]
 24 高齢者転倒事故防止のための移動能力評価システムの社会実装[塩澤PJ]
 25 医学的機能評価に基づく高齢者の排尿自立支援[本間PJ]
 26 高齢者の生きがい就労システムの社会実装[辻PJ]
 27 脳活動画像化装置による認知症予防プログラムの社会実装[田中(美)PJ]
 28 視野障害者自立支援めがねの社会実装[下村PJ]
 29 肢体不自由者のための自動車運転支援システムの社会実装[和田PJ]
 30 優良盲導犬の効率的育成と普及率の向上[鈴木PJ]
 31 手指麻痺者の日常生活支援のためのパワーグローブの社会実装[諸麥PJ]
 32 聴覚障害高校生への遠隔パソコン文字通訳での授業支援[玉田PJ]

環境・その他
 33 サハリン沖石油・天然ガス生産に備える市民協働による油汚染防除体制の構築[後藤PJ]
 34 国内森林材有効活用のための品質・商流・物流マネジメントシステムの社会実装[野城PJ]
 35 英虞湾の環境再生へ向けた住民参加型の干潟再生体制の構築[国分PJ]
 36 環境負荷の低減に資する持続的農業生産システムの実装[林PJ]
 37 分散型エネルギーの利用促進と農山村地域環境ビジネスの創出[両角PJ]
 38 大規模稲作農家への農業水利情報提供システムの実装[飯田PJ]
 39 急性白血病の早期診断を目的とした誘電泳動による細胞検出・同定法の臨床応用[今里PJ]
 40 女性の尿失禁予防・改善を目的としたサポート下着の社会実装[岡山PJ]
 41 旅行者と地域との共生に資する観光プランの作成支援技術の基盤化と社会実装[原PJ]

東日本大震災
 42 応急仮設住宅の生活環境改善のための統合的実装活動プログラム[丹波PJ]
 43 津波塩害農地復旧のための菜の花プロジェクト[中井PJ]
 44 震災地域の重金属等土壌汚染評価[土屋PJ]
 45 大型マイクロバブル発生装置による閉鎖海域の蘇生と水産養殖の復興[大成PJ]
 46 無水屎尿分離トイレの導入による被災地の衛生対策と災害に強い都市基盤の整備[清水PJ]
 47 津波堆積物の地球化学的判別による沿岸地域のリスク評価と社会的影響の予測[土屋PJ]
 48 東日本大震災被災者と救援支援者における疲労の適正評価と疾病予防への支援[吉田PJ]

第2章 社会技術研究開発のすすめ方

今そこにある課題
課題選択の留意点
課題が具備すべき条件
課題の発見—対象の観察と計測
対象の制御—課題解決案の提示
研究成果の評価
標準化の意味
社会技術におけるデファクトスタンダード
人々の行動基準を変えることの難しさ
企業の作業者も社会の人も保守的
課題同定に必要な社会との対話
研究者と社会をどのように結び付けるか
改革の発信は研究者から

第3章 社会技術研究開発の考え方

社会技術を研究する人のミッション(使命)
社会技術研究開発の包括的な運営
包括的社会技術の提案
実証の方法論をどう考えるか
課題発見の方法論[1]潜在している必要性の発見
課題発見の方法論[2]シナリオライティング
課題発見の方法論[3]問題の設計図をつくる
異なる知の集合と移転
異なる意見の習合
社会実装の達成期限

おわりに
参考文献
資料




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