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5月の新刊
『地方に社会システム産業をつくる』

地方に社会システム産業をつくる

5月の新刊は、『地方に社会システム産業をつくる—副業とIoTパワーを活用して』です。著者は野村総合研究所執行役員、理事などを歴任し、(株) ふるさと回帰総合政策研究所を立ち上げて活躍する玉田 樹氏。地方を活性化し、ひとりひとりの生活と地域を豊かにする方法を提示します。

「地方創生が言われてしばしの時間を経過してしまった。
これについては、すでに多くの施策が行われ、多くの議論が行われてきたにもかかわらず、地方は一向に上向く気配がみえない。誤解を恐れずありていにいえば、小手先の施策の羅列に終始しているからである。…
本書で述べることは、IoTを使った「社会システム産業」というものをわが国産業の中心に据え、そしてこれを副業者のパワーを借りて地方に興すことを、ひとつの地方産業の柱にしたらどうかという提案である…」(はじめにより)

では、IoTを使った「社会システム産業」とは何でしょう?
本書によると、医療福祉や生活文化などの個人生活にかかわる環境を向上させ、あるいは工場や作業現場の効率化、さらに交通問題、環境や防災問題などの社会を取りまく状況の改善を通して、社会全体のレベルアップを図ることを事業目的にした一群の企業が形成する産業のこと。(4章1節より)
具体的には「高齢者支援に郵便局網」「MaaS(Mobility as a Service)」「つながる家電」などが、すでに開始した「社会システム産業」の例として挙げられます。

副業フリーランスに支えられる「ギグエコノミー」、多数の異業種がネットワーク化する「花びら型産業」、ビッグデータを集積し実社会を支援する「マザー・プラットフォーム」、都会と田舎の住居を行き来する「二地域居住」…新たなビジネスモデルを提案し、地方創生のための骨太な提言を行います。詳しくは目次をお読みください。

2020年5月中旬発売。四六判上製、368ページ、定価 本体2600円+税




■目次

はじめに

Part 1 地方の所得格差を埋める「新しい産業」のありか

第1章 副業パワーと地方企業
 1節 副業パワーが地方の支援に回りはじめた
 2節 多様な働き方の台頭
 3節 地方企業の専門職を担う副業者
第2章 既存産業に代わる「情報通信産業」と「研究・技術サービス業」
 1節 既存産業では地方の格差は埋まらない
 2節 副業パワーと地方の「新しい産業」づくり
第3章 政府の地方産業政策と暗示された「社会システム市場」
 1節 地方産業政策の現在の位置
 2節 地方創生政策の限界
 3節 暗示された成長分野の「社会システム市場」

Part 2 社会システム市場と「社会システム産業」

第4章 円盤型市場に花びら型「社会システム産業」の登場
 1節 円盤型の「社会システム市場」
 2節 「社会システム産業」をかたちにする「花びら型産業」
第5章 花びら型「社会システム産業」の組織的パワーの獲得
 1節 付加価値を最大化するインテグレーション
 2節 花びら型「社会システム産業」を動態化する組織的パワー

Part 3 IoTを使って「社会システム産業」をつくる

第6章 IoTと社会システム産業
 1節 IoTは何を可能とするか
 2節 IoTによる現実社会支援
 3節 ライドシェア事業のウーバーが提起した二つの問題
 4節 現実社会の支援で表裏一体となる「IoT」と「社会システム産業」
第7章 円盤型市場の克服
 1節 円盤型市場のもつ特質への対応
 2節 IoTを使って「円盤型市場」を克服する三つの方法
第8章 モジュール、APIによるサービスの細分化
 1節 IoTによるモジュールとAPI
 2節 インダストリー4.0にみるモジュール化とAPI接続
 3節 Fin Tech の登場とMed Techの可能性
 4節 モジュールとAPIによる「円盤型市場」への対応
第9章 コミュニティ効果によるサービスの標準化とビッグデータの活用
 1節 コミュニティ効果の出現
 2節 コミュニティ効果によるサービスの標準化
 3節 ビッグデータの誕生と社会システム産業の「マザー・プラットフォーム」
第10章 「B'( Bダッシュ)」を加える「社会システム産業」のビジネスモデル
 1節 「社会システム産業」のB to B' to Cビジネスモデル
 2節 社会システム産業の例題としての獣害対策
 3節 「社会システム産業」の「二層×M層」構造
第11章 わが国に一大「社会システム産業」を誕生させる
 1節 「社会システム産業」時代へのひとつのシナリオ
 2節 新しい文明としての「社会システム産業」

Part 4 副業パワーで地方に「社会システム産業」をつくる

第12章 地方の新しい産業「社会システム産業」
 1節 地方に「社会システム産業」を叢生させる
 2節 地方の「社会システム産業」への政策的な期待
第13章 地方の「社会システム一万事業」の構想
 1節 IoTによる「社会システム一万事業」大作戦
 2節 「社会システム一万事業」大作戦は政府が行う「公助」
 3節 「社会システム一万事業」への地元「B'」の動員
 4節 「社会システム一万事業」の組織的対応
第14章 「二地域居住」政策の推進
 1節 副業者の「二地域居住」を政策の柱に据える
 2節 第2住民票の制度化
 3節 起業の場づくり
 4節 「住まう場」の確保
 5節 「二地域居住推進法」の制定
第15章 チャレンジする「発達」途上の国・日本

あとがき
出典

■著者紹介:

玉田 樹(たまだ・たつる)
(株) ふるさと回帰総合政策研究所 代表取締役社長。NPO日本シンクタンク・アカデミー理事。
1945年生まれ。(株)野村総合研究所において地域計画研究室長、経営コンサルティング部長、社会・産業研究部長、研究創発センター長、執行役員、理事などを歴任。
著書に『地方創生 逆転の一打』(ぎょうせい 2017)、『兼業・兼居のすすめ』(東洋経済新報社 2006)、『ユビキタス・サービス産業化の構想』(野村総合研究所 2005)などがある。






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