工作舎ロゴ [注目の1枚]


11月の新刊2 福井栄一 『十二支外伝』


『十二支外伝』

11月の新刊の2点目は、福井栄一さんの人気シリーズ第5弾、 『十二支外伝——スーパー アニマル ミステリー ツアー』

十二支の奇談を集めた 『十二支妖異譚』を上梓して以来、安眠出来たことがない。狐、狸、鹿、熊など、十二支の選から漏れた動物たちが、夜な夜な、入れ代わり立ち代わり夢枕に現れて、「十二支ばかりにいい顔をして、俺たちの話は書かないつもりか。それで済むと思うのか」と責めるからだ。
そこで、十二支になれなかった動物たちの怪異譚も、古典から精選して現代語に訳しました。

内容は、
膳を跳び越えた猫/猫を狂わせる術/鼬(いたち)の薬効/貂(てん)とかまいたち/熊茶屋の女/憑いた狐をおとす妙薬/狐の相撲/人が狐を惑わす/心中した狸/人が白鹿になる/摸摸具和(ももんが)と梟/象のお手並み/獅子身中の虫/浦嶋太郎の子 などなど、動物たちの奇譚もまた、時に愉しく、時に哀しい。

福井さんの他の本と同じ体裁、B6判/丸フランス装。今回がいちばん厚く448頁なので、定価も少し高い本体2400円+税。11月末発売予定。表紙絵は、歌川国芳「鼠よけの猫」(画像提供:東京国立博物館TNM Image Archives)。猫好きにはたまりません。お楽しみに!



■目次

まえがき

◆猫の章

ねこ─猫

◆里獣の章

いたち─鼬/かわうそ─獺/てん─貂/もぐら─土竜/りす─栗鼠/くま─熊/おおかみ─狼

◆狐狸の章

きつね─狐/たぬき─狸

◆蹄獣の章

しか─鹿/かもしか─羚羊/ろば─驢馬

◆海獣の章

あしか─海驢/おっとせい─膃肭臍/とど─胡獱/らっこ─猟虎/くじら─鯨/しゃち─鯱/いるか─入鹿魚

◆飛獣の章

むささび─鼯鼠/ももんが─摸摸具和/こうもり─蝙蝠

◆異獣の章

はりねずみ─蝟/らくだ─駱駝/ばく─獏/さい─犀/ぞう─象/しし─獅子/きりん─麒麟/にんぎょ─人魚

出典一覧
あとがき



■著者紹介: 福井栄一 (ふくい・えいいち)

上方文化評論家。1966年、大阪府吹田市出身。京都大学法学部卒。京都大学大学院法学研究科修了。法学修士。四條畷学園大学看護学部客員教授。京都ノートルダム女子大学国際言語文化学部および関西大学社会学部の非常勤講師。上方の芸能や歴史文化に関する講演、評論活動を精力的に行い、マスコミ出演も多数。本書が通算41冊目の著作となる。剣道二段。
http://www7a.biglobe.ne.jp/~getsuei99/

【著者のひとこと】

十二支の選定基準は曖昧なので、
選ばれなかった獣たちの憤懣は大きい。

特に、稲荷の神使としてのプライドを傷つけられたキツネや
好敵手の犬に遅れをとったネコなどを見ると、
抱いた怒りと残した幻談の数は、
比例しているようだ。

疎外された獣たちの慰撫と、
奇譚を読む読者の愉しみ。
本書では、それらの両立を狙ってみた。




ALL RIGHTS RESERVED. © 工作舎 kousakusha