4月の新刊は、上方文化評論家、福井栄一さんの人気シリーズ第6弾、
『本草奇説——もの言わぬ植物たちも夢をみる』 。 【ほんぞうきせつ】と読みます。
草や花や木にまつわる、不思議なはなし、奇妙なはなし、滑稽なはなしを、
古典から精選して、やさしい現代語に訳しました。
内容は、
悲しむ茨(いばら)のはなし/
蒜(ひる)で打たれた鹿のはなし/
瓜を惜しんだ男たちのはなし/
鬼に追いかけられた神さまのはなし/
悲鳴をあげる橋のはなし/
官位を得た松のはなし/
空を飛ぶ琵琶のはなし
などなど、植物たちの奇譚が大集合。
福井さんの他の本と同じ体裁、B6判変型/丸フランス装。176ページ、定価 本体1800円+税。4月末発売予定。表紙絵は、毛利梅園「草木実譜」。スイカと瓜なのですが、なぜか不気味。お楽しみに!
■目次
まえがき
◆草蔓の章
茅 運命の分かれた兄弟のはなし/萩 喰われた萩のはなし/菊 逃げた定家のはなし/紫苑 父を亡くした兄弟のはなし/茨 悲しむ茨のはなし/葛 穴に閉じこめられた男のはなし/藤 藤のこぶのはなし/竹 竹取の翁のはなし
◆菜穀の章
水葱―大食感の聖のはなし/麻―虎退治のはなし/麦―頭をかかえる師匠のはなし/稲―絵のなかの馬のはなし/粟―粟が欲しい男のはなし/大豆―大豆の賭けのはなし/蒜―蒜で打たれた鹿のはなし/芋―芋粥好きの男のはなし/瓜―瓜を惜しんだ男たちのはなし/瓢―恩を報じた雀のはなし/蓮―池に生じた蓮のはなし/平茸―挨拶をして去った法師たちのはなし
◆果樹の章
梅―紅梅を愛した娘のはなし/桃―鬼に追いかけられた神さまのはなし/栗―栗を煮る僧のはなし/梨―悲鳴をあげる橋のはなし/柿―臆病な法師のはなし/柑子―機転をきかせた雅家のはなし/橘―愛された橘のはなし/柚―切られた柚のはなし/桜―奈良の都の八重桜のはなし
◆香木の章
檜―二股の檜のはなし/松―官位を得た松のはなし/杉―杉の梢で叫ぶ聖のはなし/桂― なにごとも見のがさない僧のはなし/紫檀―法華経の箱のはなし/白檀―口に芳香を得た男のはなし/楠―生きのびた仏像のはなし
◆喬木の章
榎―赤い衣を射た男のはなし/漆―老母の智慧のはなし/楝―大きな大きな楝の樹のはなし/槐―前世を記憶している男のはなし/椋―空を飛ぶ琵琶のはなし/槻―槻に登った尼のはなし/柳―引っ越した鳥のはなし/桑―蚤に救われた女のはなし/楮―けなげな猿のはなし
■著者紹介: 福井栄一 (ふくい・えいいち)
上方文化評論家。1966年、大阪府吹田市出身。京都大学法学部卒。京都大学大学院法学研究科修了。法学修士。四條畷学園大学看護学部客員教授。京都ノートルダム女子大学国際言語文化学部および関西大学社会学部の非常勤講師。上方の芸能や歴史文化に関する講演、評論活動を精力的に行い、マスコミ出演も多数。本書が通算42冊目の著作となる。剣道二段。
http://www7a.biglobe.ne.jp/~getsuei99/
【著者のひとこと】
昔ある国に、不思議な公園があった。そこに生える植物は人語を解して話ができるのだ。
「こんにちは、私は薔薇よ」「はじめまして。僕、チューリップです」「やあ、ワシは菊じゃ」と
皆が来園者に挨拶してくれるなか、ずっと押し黙ったままの植物があった。
係員に理由を訊ねてみたところ、
「ああ、無理もない。そいつはクチナシです。」
天網恢恢、奇奇怪怪の植物譚をご堪能下さい。
『本草奇説』
定価 本体1800円+税
【福井栄一さんのシリーズ】
・十二支妖異譚(じゅうにしよういたん) 定価 本体1800円+税
・解體珍書(かいたいちんしょ) 定価 本体1600円+税
・蟲虫双紙(むしむしそうし) 定価 本体1700円+税
・幻談水族巻 (げんだんすいぞくかん) 定価 本体1700円+税
・十二支外伝(じゅうにしがいでん) 定価 本体2400円+税